1月27日、生誕五周年を迎えるバーチャルアーティスト・IAと、同じく生誕二周年を迎えるONE。(読み方はそれぞれ「イア」と「オネ」)
1月25日には、アニバーサリーに先駆けて1stライブ 『PARTY A GO GO』のBlu-ray 及びDVDが発売、またIAとONEのコラボ曲『Into Starlight』がiTunes、LINE MUSICをはじめとするダウンロード配信 / 定額配信にてリリースされました。
ファンの間では屈指の人気曲である『Into Starlight』。
27日にニコニコ生放送、ビリビリ動画、Facebook Liveで世界同時配信される記念特番内の目玉企画、新曲を含むARライブにおいても同曲は披露される予定となっており、1月21日に事前収録が行われました。
今回のARライブで披露される『Into Starlight』のミーティア的注目ポイントの一つが、運動視差を利用した演出です。
昨年末の紅白歌合戦に出場したPerfume『FLASH』のステージで用いられた『ダイナミックVR』と同等の面白い演出が、今回のIAとONEのパフォーマンスの一部で、二十秒ほどに渡って使用されています。
(紅白のPerfumeの演出に使用された『ダイナミックVR』の解説動画。二枚の巨大なスクリーンに映された映像の上に二人の男性が立っています。正しい角度から見ると人物が光るキューブの上に居るように見えますが、別の角度から見るとただ床に映し出された映像に立っているように見えます。二人の男性が、撮影しているカメラの映像で見るとまるでデジタルデータの中に入り込んでいるかのようです)
これはVR?
それともトリックアート?
凄いのは分かるけれど、何がなんだか……な人もまだまだ多いはずな、この運動視差の演出。収録現場で目にする時と、実際に完成した映像をモニターで見た時とでは大きく体験の質が変わるような演出でもあります。
紅白歌合戦のPerfumeを見た方なら、まだまだ記憶に新しいであろうこのちょっと不思議で、そして最先端の演出にフォーカス。
演出を手掛けた、株式会社ドワンゴの方に、そもそも今回の演出はどういうもので、どこが注目ポイントなのか話を聞いてみました。
株式会社ドワンゴ ニコニコ事業統括本部マルチデバイス企画開発部 岩城さんにインタビュー!
――今回のIAさん、ONEさんのARライブでは『Into Starlight』にて昨年末の紅白歌合戦のPerfumeと同様の、運動視差を用いた演出が行われているそうですね。そもそも、この演出がどういうものなのかお聞かせ願えますか?
岩城:今回の演出は「奥行き」に関するものです。人間が奥行きを知覚する仕組みのひとつに「運動視差」というものがあります。
運動視差を利用した演出とは、一種のトリックアートのようなものです。
例えば、床に描かれた穴で、人が落ちるようなポーズをとっている写真を見たことがあると思います。あれは一定の位置から写真を撮ると、本当に落ちているように見えますが、他の位置からだとそうは見えないですよね。
今回、撮影現場には複数のカメラがあったと思うのですが、そのうちクレーンのカメラと三脚にセンサーを取り付けています。センサーで、どうカメラを動かしたか、カメラがステージに対してどこに位置しているのか、いまカメラがどういうズームをしていて、どういうフォーカスなのか、全てリアルタイムに情報を把握しています。
カメラの位置を常に測定し、そこからの映像をステージのLEDに投影するわけです。
――運動視差を用いた演出は『Into Starlight』一曲を丸々通して行われたわけではないですよね?
岩城:そうですね。本当はもっと効果的に、派手に演出を使いたいとも考えていたのですが制作期間の関係もあって、今回は二十秒ほどとなりました。
『Into Starlight』の3分50秒過ぎから、演出を行っています。『浮かぶ 幻 私を高次元に誘うけど 』という歌詞から、『めぐる かなでる まるで 夢見たように』までです。
ニコニコ生放送、ビリビリ動画、Facebook Liveでの実際のARライブ映像の放映時には、ここでカットがクレーンからのカメラに切り替わります。
他の曲では背面のLEDにずっとIAさん、ONEさんの影が映し出されていると思うのですが、この箇所では影が消えるんですね。二十秒余りの背面のLEDの映像を見て、「おっ!?」と思ってもらえたら嬉しいです。
――運動視差を利用した演出をIAさん、ONEさんのARライブで実施することになったきっかけとはどのようなものだったのでしょう?
岩城:2013年の年末、小林幸子さんのカウントダウンライブの際に今回のものと同様の、運動視差を用いた演出を行ったんですね。このライブは全面にLEDを用いたものでした。
今回のIAさん、ONEさんのARライブは収録のみで、お客さんを会場に入れずに行うものということで単にARを使うだけでなく、もう少し色々と普段は中々出来ないような演出を試せないか、ということで演出を提案し、行うこととなりました。
(小林幸子カウントダウンライブの様子。床も含めた全面LEDが圧巻。カメラ位置から見た正しいパースをリアルタイムに測定、検出。カメラ位置に応じて、リアルタイムにレンダリングすることで、カメラの移動に連動するように映像が変化し、床と壁の絵が何処から見ても繋がった状態となる。運動視差を用いて、立体感、浮遊感のある演出が実現されている)
――その他、今回のARライブの注目ポイントを教えて頂けますか?
岩城:IAさん、ONEさんのARの質感に注目していただきたいです。より「本当に、二人がその場にいる」かのような仕上がりになっているかと思います。
今回のARライブでは意図的にカメラのフォーカス、ピントをずらすということもしています。例えば、顔にピントが当たっているのだけれど手元は完全にボケていたりというように――こういうずれやぼかしは、より実際の人間のライブ映像に近いものです。
――単に3DCGをステージに投影するだけでは、「人間」の映像に比べて輪郭がくっきりと出過ぎるものなのでしょうか。
岩城:そうですね。だからこそ、ARのライブを実際の人間のライブと同じように見せるというのはチャレンジでもありますし、こうした技術というのは地道な積み重ねの上に培ってきたものです。
――最後に読者、そしてIAさん、ONEさんのアニバーサリー特番を楽しみにしている方に向けて一言お願いします。
岩城:今回のARライブは事前収録されたものではありますが、映像の後処理というのは一切行っていません。リアルタイムにその場で動いているARのライブ映像をお届けします。IAさんとONEさんを本当にその場にいる存在として観て頂けるように、全力を尽くしました。お楽しみに。
IA 5th & ONE 2nd Anniversary -Special Talk & Live-
出演:IA、ONE
MC:事務員G、みるきぃぬ
▼タイムスケジュール
20:00 放送開始
http://live.nicovideo.jp/watch/lv286947699
2017年1月27日に生誕5周年を迎えるバーチャルアーティスト“IA”、
同じく生誕2周年を迎える“ONE”の、アニバーサリー記念特番です。
IA & ONEの最新情報はもちろんのこと、番組初出となるニュースをお届け!
また、IA & ONEによる新曲を含むARライブコーナーもお届けする予定ですので、ぜひお見逃しなく!
Interview&Edit_Arato Kuju
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