何かと忙しい師走。予定がパツパツに詰まってくると、心の余裕も無くなってきてしまうものです。そんな時、「美しいものを見てリフレッシュする」のはいかがでしょうか。オススメしたいのが、表参道ヒルズ内の「スペース オー」で開催されている展示会『KIMONO ROBOTO(キモノロボット)』です。
『KIMONO ROBOTO(キモノロボット)』って、何?
『KIMONO ROBOTO(キモノロボット)』とは、日本の伝統文化に刺激を受けた世界的アーティストによって、新しく解釈された着物を展示する、というもの。世界各国で統合型リゾートを開発・運営するメルコが日本で取り組んでいるプロジェクトのひとつです。そのメルコリゾーツ&エンターテインメントの会長兼最高経営責任者であるローレンス・ホー氏は、『KIMONO ROBOTO(キモノロボット)』のパンフレットの中でこう語っています。
本プロジェクトにおいて、私共は文化財に匹敵する程の秀逸な着物23点の制作をいたしました。人間国宝、皇室献上作家の方をはじめとする着物職人にご協力いただき、100年以上にわたり使用されることがなかった製織技法を用いた精緻な作品の数々を作り上げていただきました。日本各地の特色が現れた素晴らしい作品が揃ったと自負しております。
(引用元:パンフレット)
今回は、その中の13点が展示されています。さらに、世界中のアーティストたちもプロジェクトに参加し、コラボレーションを行なっています。例えば、アイスランドの歌姫・ビョーク。彼女が最新ミュージックビデオで着用した着物「束熨斗文様振袖」が今回のメイン展示物です。その他にも、写真家のピーター・リンドバーグ、ファッション/スティルライフフォトグラファーの土井浩一郎、デザインユニットのウォーレン・レュプリア&ニック・ソーントン・ジョーンズが手掛けた写真や映像が壁面に映し出されるという仕掛けも。
インスタグラムやツイッターでも、多くの人が足を運び、その美しさに触れた感動をポストしています。
(引用元:Instagram)
面白いのやってるね表参道ヒルズ
ロボットの後頭部がアイアンマンみたいにカシャカシャ動くのほんとすこ#kimonoroboto pic.twitter.com/NARcL9fT9h— かう (@ktokkawu) December 3, 2017
展示品の撮影フリーだったんで、じっくり観察しながら沢山撮らせていただきました。
少しばかりアップ。でもホント現物見に行って欲しい。素材の質感とか、写真では伝えきれないことが多くて。#KIMONOROBOTO pic.twitter.com/sf4sorTHTf
— JUNO☆生きることから、逃げるな。 (@JUNOtypeR) December 3, 2017
(引用元:Twitter)
<『KIMONO ROBOTO』概要>
●期間:2017年12月1日(金)〜12月10日(日)
●時間:月〜土/11:00〜21:00 日/11:00〜20:00 ※最終日は16時まで
●場所:表参道ヒルズ本館 B3 スペース オー
●料金:無料
●関連サイト:http://www.kimonoroboto.com/
『KIMONO ROBOTO(キモノロボット)』に行ってきた。
筆者も「美しいものが見たい欲」がMAXになったところで、実際に表参道ヒルズに足を運んでみました。その様子をご紹介します。
まず、入り口にあるのは全体図。
1〜3:有松鳴海絞り
4〜5:浪華本染浴衣
6:江戸小紋
7:小千谷縮
8:阿波しじら織
9:大島紬
10:西陣織
11:加賀友禅
12:京友禅
13:束熨斗文様振袖
撮影フリーなので、ハッシュタグをつけてSNS投稿しましょう。
まず、目に飛び込んでくるのがこちら。「束熨斗文様振袖」です。金色のロボットの周りには2台のアームロボットが設置されていて、アームの先端にはカメラが。来場者はタブレットを使って着物のディテールを見ることができます。着物と羽織の色の組み合わせも素敵。
この着物をビョークが着用しています。
(引用元:YouTube)
こちらは有松鳴海絞りの鎧段絞りという作品。後ろの映像のロボットとお揃いです。有松鳴海絞りには何世代にもわたって受け継がれてきた技法が用いられているそう。この鎧段絞りは、松岡澄子さんという方しか作ることができないと言われているのだとか。とても貴重な着物です。
これは浪華本染浴衣。大阪ではもともと伊勢型紙を生地に糊置きして、その上から染料を注ぎ込む「注染め」という手法が使われていました。浪華本染浴衣はその手法の影響を受けたもの。
大正風と昭和風の2種類の着物が制作されたそうですが、どちらも本当に色鮮やか。美しいです。
こちらは、江戸小紋。一見地味に見えますが、もともと江戸小紋は単色染めの技法。江戸時代に贅沢を禁止する奢侈禁止令と言うものが出されたため、職人たちが遠くから見ると無地に見える緻密な模様づくりをし始めたことが始まりです。近くで見ると細かな格子状のような模様が入っています。
優しい色合いが印象的なのは、小千谷縮。見た目にも涼しい小千谷縮は、主に夏に利用されていたそう。カラムシという麻をすりつぶして糸を作るところから手作業で行なう、手間暇がとってもかかるものです。ちなみに、小千谷縮は1955年に国の重要無形文化財に指定されています。
一気に華やかになるこの3点は、手前から京友禅・西陣織・加賀友禅。
とにかく模様が繊細。例えばこれは京友禅の模様。16世紀の桃山時代の小袖を彷彿とさせるデザインで、完成までに1年以上かかったとか。
裏から見ると光が透けていて、別の美しさが楽しめます。
こちらの模様は加賀友禅。加賀友禅は着物をキャンバスのようにして、筆を使って精緻な図柄を写し込んで行く手法です。手書きされたとは思えないほど美しい……。まさに職人技です。
こちらは、お馴染みの西陣織。全部糸で書かれているとはにわかに信じがたい。しかも、手作業。最新のミシンにプログラムされたシステムを使ってるんじゃないかと疑ってしまうほど複雑かつ精巧。
この寸分の狂いもない刺繍が、全て職人の手で作り出されているとは。ため息が出ます。
自分の目で見て楽しんでほしい。
写真では表現しきれないほど、職人の繊細で美しい技術が味わえる『KIMONO ROBOTO』。短時間でもサクッと見られるので、ぜひ足を運んで自分の目で楽しんでみてください。ちなみに、会場では無料で撮り下ろした写真ポスターがもらえます。全6種類。6枚セットでももらえちゃいます。
開催期間は10日の16時まで。表参道のイルミネーションと併せて、美しいものに触れて癒やされてみては?
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