圧倒的な歌唱力と特徴的な歌声で魅了し続ける永遠の82歳、島爺。昨年には3rd Full Albumをリリースし、全国ツアー2019~三途ノ川~を開催。同年10月には実在する孤高の地下芸人の半生を描いた超妄想スペクタクル映画『東京アディオス』の主題歌を担当するなど、精力的に活動の幅を広げている。そして、今年6月3日には初となる全作詞作曲ミニアルバム「挙句ノ果」のリリースと夏のライブ「島爺爆誕祭 挙句ノ宴」を控えている彼が、今、どんな思いで曲作りをしているのか、自身の過去の音楽体験や創作活動のインスピレーションなど、率直な思いを語ってもらった。
色、言葉、擬音ー。抽象的なイメージから生まれる楽曲たち
――「箱庭の理」がリリースされました。「命の理」という言葉に思いを馳せながら、歌詞に込められた意味を考えました。ゲームのストーリーとも関係性があるのかと思いますが、楽曲に込められた想いや、制作する上でこだわられたことがあれば教えてください。
基本的にはゲームに込められているメッセージに沿うよう制作しました。僕自身の考え方とも合致していたので作りやすかったですね。主題歌なので、なるべくゲームに寄り添うものにしたくて、でも近づきすぎてネタバレになってしまってもいけないし…そのさじ加減が難しかったですが、最終的にはゲームの名刺代わりになるような曲へと着地できたと自負しています。
――島爺さんのつくる楽曲には、本を読んで物語の世界に引き込まれるような、そんな力があると感じています。楽曲を作る上でどんな思考のプロセスを経て1曲が完成するのでしょうか。
ありがとうございます。思考というよりはほぼイメージですね。作り始めの時期は思い浮かぶ色とか言葉とか擬音とか、そういうものを羅列することから始めます。一応起承転結のようなものも考えますが、そこまで重要視していません。引き込まれたのだとしたら、聴き手の方のトリガーとなるフレーズと僕のイメージが近かったのかもしれませんね。
――
アニメや漫画が好きだと伺いましたが、これまで観た・読んだなかで、より心に残る作品があれば教えてください。また、その理由もお願いします。
『天元突破グレンラガン』ですね。とにかく熱量がやばいです。笑ったり泣いたり感情を揺さぶられますし、まぁ見ていただければ分かるんですが、最後のほうとかは無茶苦茶です。宇宙より大きいロボットになったりします。「思いの強さ」みたいなテーマは、ややもすれば根性論的な捉えられかたをされがちだと思うんですが、グレンラガンに関しては説得力があるというか、何故か納得してしまうというか…。熱さ・真面目さとバカバカしさのバランスが凄く良くて突き抜けているんだろうなと思います。名作です。
「ブリキノダンス」から9年。“歌いたい曲”を歌い続けてー
――野球少年だった学生時代から一転、音楽の道へと歩まれていますが、島爺さんの音楽の原体験や影響を受けたアーティストについてお聞かせください。
両親がよく聴いていた歌謡曲や童謡などが原体験だと思います。今でも不意に鼻歌で出てきたりもしますし、聴くと何故か落ち着きます。僕自身が音楽を志したのは邦楽ロックの影響が大きいですね。歌モノでギターがギャンギャンゴリゴリ鳴っていれば大抵聴いてました。
――現在、ニコニコ動画の『ブリキノダンス うたった』の再生回数は1200万回を超えています。当時を振り返っていただき、どんな想いからブリキノダンスをカバーされたのか、それによって多くのリスナーに支持を受け、どんな感想を抱いたか、また、当時どんなアーティストになりたいと思っていたかを教えてください。
カバーした時はその他の「歌ってみた楽曲」と同じで、ただ単純に歌いたかったから・気持ち良かったから歌っただけなんです。物凄い再生数になっていって、本家のボカロ曲ではないカバーである申し訳なさと、「この曲の気持ち良さを分かってくれたんだなぁ」という嬉しさが混ざって、何とも言えない心境でした。600万か700万再生を越えた辺りでもう数が大きすぎてよく分からなくなり、そこからは若干他人事のように感じられて来たのを覚えています。当時も今もそうですが、「〇〇なアーティストになりたい」みたいなことは全く考えてなくて、ただただ歌いたい曲を歌いたいように歌わせていただいているだけですね。
――ニコニコ動画でアップしていた当時から現在に至るまで音楽を通して伝えたいことに変化はありましたか? 島爺さんにとって、この9年間で転機となったことや特に思い入れのある楽曲、ライブでの思い出があればその理由とともに教えてください。
伝えたいことも特に明確なものはなくて、あるとすれば「音楽は楽しいねー」とか「楽しんでやるのが一番だねー」みたいなふんわりとしたものですね。この9年間ぐらいが丸ごと転機みたいなもので、じわじわと9年かけて少しずつ変わってきた感があります。その中心にいるのはやはり「ブリキノダンス」で、「ここまで連れてきていただいた」「僕とみなさんを繋げていただいた」と感じているので、ライブでやる時も一層感慨深いです。
聴いてくれる人や支えてくれる人が大きなモチベーションに
――圧倒的な歌唱力と鋭い切れ味でリスナーを魅了し続けている島爺さんですが、楽曲を制作する上で、ライブをする上で、最もモチベーションになっていることはなんでしょうか?
やっぱり僕だけが楽しんでいるわけじゃなく、楽しみにしてくれている人や実際に楽しんでくれている人をネットを通して実感できることだと思います。一人でもそれなりに楽しくやっていたでしょうけど、ここまでのモチベーションを保てているのは、聴いてくれる人や支えてくれる人のおかげなのは間違いないです。
――制作活動のインスピレーションとなっていることやもの、「孫」のみなさんにより響いてもらえる楽曲を生み出すためにふだんの生活で心がけていることいて教えてください。
Twitterのタイムラインをよく見ることくらいでしょうか。あまり意識して「お孫さん」に響くように作ろうとは思っていなかったりするんですが、時代の空気感だけはちゃんと見ていたいので。「見る」というより「眺める」感じですが。
――今、新型コロナの影響でさまざまなライブやイベントが中止せざるを得なくなっています。音楽は人の心を癒したり、元気にしてくれたり、ときには命を救うものであったりもすると思います。島爺さんはご自身のtwitterでも想いを発信されていますが、改めて、アーティストとしてこのような状況についてどのように感じられているか、音楽にできることとは何かなど、いま感じられていることがあればお聞かせください。
僕が関わった作品で癒されたり奮い立つ人もいれば、雑音としか思わない人もいます。聴く人によって価値があったり、無かったり、邪魔だと思われることもあるのが音楽なので、食事や呼吸や睡眠のように「無くては死んでしまうもの」では無い以上、状況によって削られてしまっても仕方ないのかな、と。ただ、どんな時であっても音楽を必要としている人がいるのも事実で、そういう人に必要としているタイミングでちゃんと届くように、自作曲であろうと「歌ってみた」や「弾き語り動画」であろうとコツコツと作り続けていかないとな、と思っています。今回の騒動では、イベントを運営するかたやライブハウスのかた等、普段アーティストを支えていただいている裏方の方々の生活が心配です。自粛が長引いて何か月も仕事がなかったら生きていけません。一日でも早く日常が戻ってきてくれることを願っています。
――6月にリリース予定のオリジナルミニアルバムタイトル「挙句ノ果」(アゲクノハテ)について、どんなアルバムになりそうか、お答えいただける範囲で内容について教えてください。
「島爺」としての活動だけでなく、今まで音楽に携わってきた全ての期間の総まとめ、といった感じでしょうか。バンドをしていた頃には作れなかった、みなさんの支えが無ければ作れなかったものになっています。
――今年の夏の「島爺爆誕祭 挙句ノ宴」にかける想いや意気込みをお願いします!
趣味で始めた「歌ってみた」がメジャーでの活動に繋がり、挙句の果てには自作曲の音源まで作るに至りました。今までの活動を振り返ると共に、新たな島爺の誕生をみなさんに祝っていただきたいと思っています。今までに歌わせていただいたボカロ曲に「挙句ノ果」収録の自作曲を織り交ぜ、みんなとぶち上がりたいです。2020年8月2日 ZEPP TOKYO、よろしくお願い致します!
【ミニアルバム情報】
「挙句ノ果」初回限定盤(CD+DVD)初回限定スリーブ仕様
WPZL-31748/9 ¥4,000(tax out)
2020.06.03(Wed) Release
【ライブ情報】
「島爺爆誕祭 挙句ノ宴」 OFFICIAL 3次先行(抽選)
日程:2020年8月2日(日)
場所:Zepp Tokyo
OPEN 16:00 / START 17:00
1Fスタンディング ¥5,000(税込)ドリンク代別 (*4歳以上チケット必要 *整理番号順のご入場となります。)
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