7月27日、渋谷 WWW にてsooogood!初の自主企画『sooogood! Presents ”diamonds”』が開催された。ラインナップは今回のイベントの発起人のsooogood!、向井太一、LUCKY TAPESという、ユースカルチャーを象徴するような豪華3組。
開演30分前、会場の入り口に到着すると、「GINZAを毎月読んでます!」、「デザイナーが友達なんで、週末は中目黒の展示会に行ってきます」的な、感度の高そうなお客さんたちが列を作っていた。
曲・リックス・内面、すべてが完璧な向井太一
まずトップバッターを飾ったのは、メロウなサウンドを独自の解釈で生み出すシンガーソングライター・向井太一。
ファッションモデルの一面も持つ彼。優れているのはルックスだけでなく、歌声も甘く&色気も帯びている。(ちなみに、終演後は向井と写真を撮るために、たくさんの女性ファンが列を作っていた)
向井太一
1曲目はyahyelがプロデュースを手掛けたことでも話題の『STAY GOLD』。彼の歌声を聴くとひとたび、自分が今どこにいるのかを忘れてしまうほど不思議な引力がある。例えるなら、まるで海の中を深く潜っているかのような心地よさ。観客が彼の音楽に酔いしれる中、続いて披露したのは2017年のグラミー賞候補になったstarRoとの共作曲『SPEECHLESS』。時折、笑顔を見せて歌う向井に、女子だけでなく男の僕もドキッとしてしまう。
3曲目『TOUCH』を歌い終えたところでMCへ。「僕も一緒なんですけど、(みんなも)緊張してると思うんですよ。その緊張を少しでも柔らかく出来るように次の曲を聴いてください『SLOW DOWN』」。……なんだよ、あんなにカッコイイパフォーマンスをしておいて「緊張してる」なんて謙虚なことを言われたら惚れちゃうよ。音楽や見た目だけじゃなくて、中身まで2枚目かよ! なんて、変な嫉妬をしていると、演奏が始まった途端「ちょっと待って! 曲順を間違えた(笑)。でも、いいや『SLOW DOWN』」と、会場に笑いが起こる。天然キャラな一面も持ってるのかよ。君はどんだけ愛される要素が備わってるんだよ、ハイブリット人間め!と、気がついたら彼に夢中になっている僕がいました(笑)。
そして『THINKING ABOUT YOU』、『YELLOW』を歌い上げて、6曲目『GREAT YARD』に。ステップを踏んだり、ジャンプをしながら歌う向井を見て、観客も手拍子とともに多幸感のあるナンバーに心をときめかせる。最後は7月14日に配信された『FLY』。この曲はLUCKY TAPES高橋海プロデュース、歌詞のアレンジにはコピーライターの阿部広太郎が務めている。トップバッターとして最高のステージメイクをした向井に大きな拍手が送られた。
極上のロマンチックを提供してくれたLUCKY TAPES。
2番手は人気上昇中のバンド・LUCKY TAPES。高橋海、田口恵人、高橋健介にトランペット、サックス、トロンボーン、ドラム、パーカッション、コーラス、バイオリンを加えた10人で登場。
真っ暗なステージにほんのりとオレンジの照明が照らされる中、インストの『Lady session』から『レイディ・ブルース』に移りライブスタート。オシャレで軽やかなブラックミュージックを表現させたら、彼らの右にでる者はいないんじゃかなろうか。3曲目は高橋が女性目線で書いた『体温』。レコーディングの時、メンバーに「ヘドバンしろ」と指示したというだけあって、ゴリゴリのロックなフレーズが魅力だ。彼らのパフォーマンスに応えるように、観ている人も手拍子をしながらメンバーと一緒になって体を揺らす。
LUCKY TAPES
3曲目は高橋と女性コーラス・大比良瑞希の掛け合いが印象的な『贅沢な罠』。高橋曰く、この曲は冷めきった夫婦のことを歌っているのだとか。ボーカルパートももちろん最高だけど、間奏の重厚なギターとベースのユニゾンリフから2拍3連への展開がとにかくエモい。観ているコチラまで力が入って見入ってしまう。
ここでMCに入り、9月6日に新作EP『Virtual Gravity』発売とリリースツアーの決定が発表された。「ライブ行けば良かったな〜」と、指を咥えながらこのライブレポを読んでいる方は、10月9日の岡山公演でLUCKY TAPESと向井太一が共演するので是非!
高橋海
高橋健介
田口恵人
4曲目は新作EPに収録されている『Gravity』を披露。「Virtual Gravity 見えないものに振り回されて 悔やんだりして」というフレーズから始まる、しっとりとしたバラードナンバー。僕はあまりの素晴らしさに棒立ちになって、ついついメモを取る手を止めてしまった。
最後は指パッチンとゴスペルな歌唱から始まる『シェリー』。ロマンチックという言葉以外に思いつかない、あまりにキレイな高橋の声に僕も含む会場全体が息を飲んで見入っていた。
大物になる宣言!? 異端の存在sooogood!
トリを務めたのはsooogood!。ナット・キング・コールの名曲『Smile』のSEに誘われて、sooogood!がサポートのギター、ドラム、キーボードを引き連れて登場。
1曲目は疾走感のあるエレクトロなナンバー『S.S.L.』でスタート。「僕のミサイルが夜を越えて 星に突き刺さる」の歌詞に合わせてsooogood!が両手を合わせてミサイルを表現しながら、クネクネと独特なリズムで体を揺らしていたのが印象的だった。音楽にノっているというよりも、自分自身のパフォーマンスに陶酔しているように見える。パッと浮かぶのは岡本靖幸だけど、あのタイプのナルシズムとは違う新しいタイプ。
続いてはシンセのリフが特徴のエレクトロ・ナンバー『LOVEJAPP』。彼が曲間で「今日は頭がおかしくなるまで楽しみましょう」というように、彼の曲を聴いていると理性がなくなって、本能の赴くままに踊ってしまう不思議な力がある。お酒を飲んで頭を思いっきり揺さぶられた時のような、目の前の視界がぐわんぐわんに歪んで見えるような快楽。(気がついたら僕はこの時点でメモを置いて、体を揺らしていました)。
sooogood!
『NOT LOSER』を歌い終えてMCになり「今日はなんだか、2017年で一番素敵な夜にしたいと僕は思ってるんで。みんなにもそう思ってもらえるように最高の音楽を届けに来たんで最後までヨロシク」と、今日のイベントについて意気込みを語ると、R&Bとエレクトロを掛け合わせたような『PLAY WITH ME』へ。
6曲目は配信限定でリリースされたデビューシングルに収録曲『低血圧girl(+horns)』をLUCKY TAPESのサックスチームも加わえて、今日だけのスペシャルなアレンジを披露した。
「歌を人前でやるのは今年の4月にsooogood!を始めてから、歌うようになりました。歌の上手い人を見て「カッコイイな」って嫉妬したりとか、「もっと小っちゃい時から歌をやっておけば良かったな」とかいろんなことを思うんですけど……正直そんなことはどうでも良くて、僕が僕の歌を届けることがやりたいことだし、みんなに伝えたいこと。出来れば、みんながsooogood!を一緒に楽しんでくれて1つのムーブメントに僕はなるからついてきてほしいと思ってます」と話し、イベント名になっている『diamond』を一音一音噛みしめるように歌った。
終演後、sooogood!の楽屋を訪ねると「僕、これからマジで売れるんで今のうちにチェックしといてください」と言われ、第一声からそれ!?と思ったけど、とてつもないカリスマ性を感じた。
とにかく向井太一、LUCKY TAPES、sooogood!がそれぞれ最高の夜を魅せてくれたことは間違いない。
Photography_ハヤシサトル
Text_真貝聡
Edit_司馬ゆいか
SHARE
Written by