ササノマリイが待望の1stメジャーデビューシングル『タカラバコ』を11月30日にリリースする。本作の表題曲はササノマリイ自身もファンだったという『夏目友人帳 伍』オープニングテーマソング。できるかぎり作品に寄り添ったものにしようと電子音をできるかぎり廃し、暖かでキャッチーなサウンドがササノマリイのまた新しい顔を覗かせてくれた。カップリングの『透明なコメット』『バイバイ』も本当に素晴らしい。今回MEETIAではそんなササノマリイにインタビューを実施。3000枚のカットを使用したミュージックビデオ『タカラバコ』から、楽曲や歌詞についてまでをさまざまな角度から語ってくれた。
Text_MIIM
アナログだからできる表現の面白さを目指したい
――先日公開された『タカラバコ』ミュージックビデオのインパクトがものすごかったです。一度アナログに戻して、それをさらにもう一度デジタルに戻して映像を再構築するという案はどこから生まれてきたんですか?
ササノマリイ:畳谷哲也監督の案ですね。実は今回初めて僕のミュージックビデオをやっていただいた方なんです。撮っているときから「どうなるんだろう?」とわくわくしていたんですけど、素晴らしいものに仕上がってとてもありがたかったです。
――3000枚を超えるカットがミュージックビデオを構成するために使用されたそうですが、相当時間がかかったんじゃないですか?
ササノマリイ:1ヶ月くらいでしたね。逆にこんなに早くできるんだと驚きました。とてつもなく大変な作業だったと思います。
――1ヶ月でできてしまうんですね、それはすごい。ミュージックビデオのラストで、『タカラバコ』のミュージックビデオ自体がタカラバコの中にしまわれる、という演出もありましたが、あそこも見事でしたね。
ササノマリイ:あれも監督さんのアイデアですね。僕が歩いているときにこけたりしたんですけど、そこも「いいね!」って言ってくれて使ってくれたりとかして(笑)。とても素敵な監督さんでした。
――この「タカラバコ」という言葉自体はどの段階で生まれてきたんでしょうか?
ササノマリイ:サビのメロディーを書いている途中でつけた感じですね。サビ終わりの「宝箱にしまって」というフレーズは最初からあったので、そこからつけました。他の案も考えたんですけど、この曲はこのタイトルが一番しっくりくるなと。
――イントロの音色がとてもキラキラしていて、宝箱らしさをそのサウンドからも感じました。
ササノマリイ:そう言われると確かにそう聴こえますね(笑)。オケをつくったときはぜんぜん意識していなかったので。グロッケンを入れたいなと思ってグロッケンを入れて、オルゴールも入れて。一応『夏目友人帳 伍』のオープニングテーマ曲というところで、自分のイメージする「この音があうんじゃなかろうか?」という音を選んで入れたつもりです。
――『夏目友人帳』の作品自体からもけっこう影響を受けました?
ササノマリイ:もう全部ですね(笑)。曲は、今回『夏目友人帳』の主題歌ができるかもしれないってなったときに5~6曲書けちゃったんです。それを聴いてもらって、選んでもらったのが『タカラバコ』だったんです。今回5期ですけど、1期から4期までずっと好きだったので、自分が感じている『夏目友人帳』ってこんな感じだなというものを曲の1番では歌詞としても意識してつくりました。2番以降の歌詞はフルじゃないと聴けないものなので、僕の気持ちが前に出ていたりもしています。でも、自分の気持ちとして書いた部分でも、聴いてくれた人から「ここの歌詞は『夏目友人帳』のあそこのことじゃないかな」みたいな意見もあったりして、そう思ってくれるようなことが書けたんだなと感じて嬉しかったです。
――ササノマリイさんって「手作り感」や「遊び心」をすごく大切にされているイメージがあります。そこらへんは本作でも大事なキーワードとしてありました?
ササノマリイ:映像もとって出しみたいなアナログ感ではなくて、アナログの世界だけど面白いもの、アナログだからできる表現の面白さを目指したいなと常々思っています。今までお願いしてきた方たちは、自分の求めている表現に合致する以上に素晴らしいものをつくってくれたので、「ここはもっとこうして欲しい」と思うことがまったくなかったんです。僕の理想のはるか上を越えているので。
――とても良い信頼関係が築けてるんですね。
ササノマリイ:そうなんです。だからめぐまれてるなって思います(笑)。
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