長野出身、東京を拠点に活動する3ピースバンドOs Ossos(オズオッソス)。メンバーそれぞれの多彩な才能が活きた、ノスタルジーを刺激する懐かしくも新鮮なサウンドは、一度聴いたら耳から離れない不思議な魅力を纏っている。彼らの音楽には、その実験的なサウンドと濁りのない言葉から描き起こされる明確な情景描写が同居していると感じた。
今回、ミーティア初登場となるOs Ossosのメンバー3人に、バンド結成の経緯、影響を受けたアーティスト、楽曲制作のプロセスなどをインタビュー。
Photo_Kiyono Hattori
Text_Saki Ito
――まずはじめに、Os Ossos(オズオッソス)というバンド名の由来を教えてください。ユニークな名前ですよね。
上原(Vo, G/U):ブラジルのマルコス・ヴァーリというアーティストの曲から引用しました。
櫻井(Ba/以下S):バンド結成した頃から「Sentimental boys」として活動してきて、ちょうどバンド名を変えようとしているタイミングで。当時よく聴いていた彼の曲の一節に「Os Ossos」というワードがあって、意味というよりは字面が綺麗で、生き物みたいで可愛いなと思って決めました。
U:瞬間的に特定の意味を感じさせない、字体としてのインパクトがある名前にしたかったんですよね。マルコス・ヴァーリは、おとぎ話のボーカルの有馬さんが教えてくれたんです。その後、メンバーみんなでよく聴くようになって。
堀内(G/ 以下H):ちなみに直訳すると「骨」という意味です。
U:死んでも残ります。
――なるほど。メンバーのみなさんは長野県出身ということですが、どういう経緯でバンド結成から現在に至ったのですか?
U:高校1年から卒業するまでの3年間は、長野県の上田市でバンド活動をしていました。
H:高校時代から、卒業したらみんなで上京してバンド活動を続けようと話していたんです。高校卒業後にそれぞれ東京で進学して、バンド活動を続けました。1年かけて制作したファーストアルバムをリリースした時、やっとひとつの作品を形にできたなと思いましたね。
S:ミュージックビデオも3本自主制作して(笑)。徐々に周りの反応も変わってきて嬉しかったですね。
根底にある音楽への意識は変わらず、常に新しいサウンドを作る。
――Os Ossosさんの曲を聴くと、唯一無二の新しさとどこか懐かしさを感じるキャッチーなメロディが耳に残ります。楽曲を制作するうえで、影響されたアーティストがいれば教えてください。
H:バンド結成当時はweezerとかよく聴いてました。ファーストアルバムを作った時も、weezerのアルバムの雰囲気を目指して作りましたね。
S:そこからメンバーそれぞれいろんなジャンルの音楽に派生していきましたね。やはり面白いサウンドとか、謎に満ちた発明的な音楽を作るアーティストには惹かれます。今一番会いたいのは細野晴臣さん。あの人の作品群には多大なる影響を受けています。
U:個人的に好きな音楽はたくさんあるんですけど、歌い手としての影響を考えると難しいですね。真似して歌うことでもないので。僕は、ベースのよっちゃん(櫻井)が持ってくる新曲の設計図の幅に影響を受けますね。曲の幅が、歌の幅に繋がっています。良い意味で癖が増えますしね。
S:根底にある音楽への意識は変わらないけど、常に新しいサウンドを作ることを考えてますね。
――曲と同時に、等身大で少し切ない歌詞も印象的でしたが、どういったタイミングで歌詞が思い浮かぶのですか?
S:気になるワードがあれば書き溜めておいて、そこから膨らませていく感じですね。書き方としては、具体的でストレートに書くのではなく、あえて抽象的に余白を残すようなイメージで書いています。歌詞に余白があるほうが、聴き手の受け取り方にも幅ができて面白いかなと感じるので。
――
楽曲の特徴として、ギターとベース、ドラムロールとメンバーが奏でるそれぞれの音がはっきりと聴こえるのも印象的に感じました。レコーディングする際、みなさんが意識してることがあったら教えてください。
S:無駄のない旋律というか、余計な音を鳴らさないように気をつけています。そういう点ではみんな抑制された中でやっているなと思うのですが、メンバーそれぞれの自己主張が強くなると、それはそれで奥行きがないものになってしまうので。
U:鳴らすべきものを手分けして鳴らしてる感じはありますね。
――
Os OssosのSNSは、良い意味で今の若いバンドらしくないというか(笑)。アナログな「生音感」を提供しているなと感じました。Instagramでは実際のスタジオ演奏のムービーを投稿したりなど。
U:今の温度感が伝わるような発信をしていきたいと思っています。
S:最近サポートドラマーが加わったこともあり、スタジオの空気が新鮮なんですよね。今はその新しい雰囲気を伝えたくて発信しています。意識せず自然に投稿しているので、オシャレなSNSではないんですが(笑)。
H:本当はオシャレなSNSにしたいんですけどね(笑)。
いまだに地元長野は本来の居場所だという感覚がある。
――
「Sentimental boys」名義で活動されていたころからのPVやCDジャケットも拝見しましたが、共通点はどれも「エモい」部分を感じました。みなさんが感じる、センチメンタルの起点や瞬間があれば教えてください。例えば、地元長野の風景や友達、東京の街並みだったり。
U:出身地の長野がバンド活動に大きく影響してるとは思いますね。上京してきてからかなりの年月が経ちますが、いまだに地元に対して本来の居場所という感覚があったりもします。メンバーでスタジオに入っているときも、「音の中に風景が見えるかどうか」という話にはよくなるし。
S:日本特有の四季が生む風景は、常にサウンドの中で表現したいなと思っています。特に、長野にいた頃の懐かしい風景や匂いなどを音に落とし込めたらとは思いますね。ジャケットに使用されている絵も、長野出身のイラストレーターの方々に僕らの音楽を聴いてもらい、描いてもらっています。
H:ちなみにミュージックビデオのディレクターも、僕らと同じ長野県上田市出身の映画監督の方で。自然と長野の人たちが繋がり合ったんです(笑)。
――長野コミュニティの力すごいですね(笑)。地元長野では、メンバーのみなさんが集まる場所などはありましたか??
U:長野にいた頃は学生だったので、ひたすら学校にいましたね。夏休みは学校の軽音楽部の部室にほぼ毎日いました。
S::校舎から少し離れてるから居心地が良くて。内緒で屋根裏に泊まったりとか。
H:当時は僕が部長だったので、鍵も持ってました(笑)。当時はバンドブームで、他にもコピーバンドをやってる生徒たちがたくさんいたんですが、僕たちは高校1年生から自分たちで楽曲を作り始めたんです。
――最後に、はじめてOs Ossosの音楽に触れるリスナーに届けたいメッセージをお聞かせください。
U:さっきのSNSの話にも出てきたように環境によっていろんなパターンの見え方があると思うし、ライブでも違う面を持ったOs Ossosを楽しんでもらえたらいいなと思ってます。「彼らの楽曲が好きだ」と胸を張って言ってもらえるような発信をしていけたらと思います。
H:僕らはもともとCDやレコードのようなアナログツールが好きだから、ついサブスクを批判しがちだったんですが、でもよく考えたら物凄い便利なツールだと思って。今まではアルバムを完成させるのに1年から2年くらいかけていましたけど、もっと短期的に出していきたいなと思ってます。最近は音源とライブでのパフォーマンスの違いをあえて出しているので、ぜひライブに来ていただいて、生音ならではのアレンジを楽しんでもらいたいです!
S:Os Ossosとしてはごく自然に、嘘を排除した音楽を作ってきたつもりなので、僕らが表現する感覚を好きになってくれるひとが増えてくれたら嬉しいですね。
Os Ossos オフィシャルHP
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