Negiccoが示した新しいアイドルの道
昭和から平成に至るまで、アイドルと恋愛は相容れぬものだとされてきました。「恋愛禁止」と明文化されずとも、アイドルとファンの間では暗黙のルールとして共有されており、恋愛をすることはアイドルとしての終焉を意味してきました(アイドルを自分の人生の一部として生きた松田聖子など例外も多数います)。アイドルである以上は恋愛することはタブーとされてきたという実情があります。
NegiccoのNao☆が結婚を発表したのは2019年4月。それでもなおアイドルを続けると宣言した彼女の周囲は祝福の声で溢れかえっていたのが印象的でした。2020年6月にはMeguも結婚を発表し、アイドルのまま結婚という流れを一層強めていきました。これにはローカルアイドルというNegiccoの特質もありますが、とはいえファンとの良好な関係性に驚かされます。2003年から続く彼女たちの地道な活動の成果が生んだのは間違いないでしょう。アイドルの生き方として恋愛を肯定してくれたNegiccoは新しい道を切り開いてくれたと言っても過言ではないでしょう。
多彩なNegiccoの楽曲
アイドルばかり聴かないで
Negiccoの結成10周年記念として、2013年にリリースされたシングル曲。楽曲のプロデュースに元ピチカート・ファイヴの小西康陽を迎えた意欲作です。「アイドルばかり聴かないで」と自虐的に歌ったかと思えば、「わたしを見ていて」と歌詞に登場する女の子を介してNegiccoだけを見てほしいと歌ってしまう矛盾や皮肉が痛快。脱力した「ざんねーん!!」の一言もインパクト抜群です。
光のシュプール
2014年にリリースされた「光のシュプール」は、Negiccoを中心に数々のアイドルに楽曲提供をしているconnieが作詞・作曲を担当。冬の恋愛がテーマの楽曲の世界観に合わせて、フィンランドでMV撮影が行われ、同地の文化に触れ合う3人の姿が印象的な作品になっています。冬の冷たさの中に、ほんのりと暖かさも感じる前向きな王道のアイドルソング。
愛は光
結成15周年を記念したベストアルバム「Negicco 2011~2017 -BEST- 2」に収録されている「愛は光」。作詞・作曲にKIRINJIの堀込高樹、編曲にKIRINJIというKIRINJIの世界観が表れた同作。冒頭、田園風景のなかで自転車を走らせる3人とは対照的にしっとりとピアノイントロが切ない。先にNegiccoがアイドルの新しい生き方を提示したと書きましたが、まるでファンの信頼関係をそのまま歌詞にしたよう。いかにもNegiccoらしい愛に満ちた楽曲です。
Negiccoはこれからもアイドルとして走り続ける
2020年8月25日には10ヶ月ぶりとなる「午前0時のシンパシー」をリリースするNegicco。シンガーソングライターの一十三十一を作詞・作曲に迎え、大人びたシティーポップな仕上がりになっており、新たな一面が引き出されています。多彩な楽曲提供によって、ジャンルレスな広がりを見せているのもNegiccoの強みだと再認識させられました。大人な3人をぜひ。
現在、新型コロナウイルス感染症の影響で観客を入れたライブは中止となってしまいましたが、新たにオンラインツアー「2020夏、配信巡り」として開催が決定。2020年8月15日から2020年8月30日の間に全5公演が行われます。前半の3公演はオケライブ、後半2公演はアコースティックライブとなっており、セットリストも異なるようなので、現場よりも気軽に参加ができるオンラインでの開催を機にぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
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