アイドルの存在感とシンガーのスキルを持ち合わせたフィロソフィーのダンス。
2015年に結成された4人組アイドルグループ、フィロソフィーのダンス(通称 フィロのス)。NUMBER GIRLやBase Ball Bearを世に送り出したことでも知られる加茂啓太郎がプロデュースを担当し、本格的なR&Bとファンクを下敷きにした楽曲で注目を集めています。
楽曲が魅力のアイドルは数多くいますが、彼女たちはアイドルとしての存在感と多彩なビートの曲を歌いこなすだけのスキルを持ち合わせた稀有な存在です。そんな「ファンクアイドル」としての地位を築き始めたフィロソフィーのダンスの近年の歩みと、メンバーそれぞれの活動、そしてアンセムともいうべき名曲たちを紹介します。
Spotifyやオリコンでも1位に。フィロのスの快進撃の足跡を辿る。
ミーティアでは以前、セカンドアルバム『ダンス・ファンダー』がリリースされた直後にフィロソフィーのダンスを紹介しました。
この作品のリリース後、彼女たちは快進撃とも言うべきスピードで多くの人々に知られていきます。まず、2017年11月にはアルバムのリード曲「ダンス・ファウンダー」がSpotifyのバイラルチャート(SNSの話題度・再生回数を独自の指標で解析したチャート)で1位を記録。様々なストリーミング・サービスの公式プレイリストで楽曲が紹介され、普段アイドルを聴かないリスナーからも注目を集めました。翌年8月にリリースしたシングル「イッツ・マイ・ターン/ライブ・ライフ」はオリコンデイリーチャートで1位に。ストリーミングチャートとオリコンのセールスチャートの両方で1位に輝いた史上初めての女性アイドルグループになりました。
楽曲の認知度が高まるのと同時に、ライブの動員数も確実に増やしています。2018年6月には恵比寿LIQUIDROOMでの単独公演を開催。さらに年末には品川ステラホールでも、バックバンドを引き連れたライブを実施。1年で1000人規模のホール会場を埋められるだけのアイドルへと成長していったのです。
グラビア、歌、腹筋、ゲーム……。それぞれの個性が光るフィロのスの4人の魅力とは?
フィロのスの快進撃を支えているのは、バックグラウンドの異なる4人のメンバーの個性とソロでの活躍です。
リーダーの奥津マリリ(マリリ)は、フィロのス結成前にバンドやソロ・シンガーとして活動していたこともあり、まっすぐで伸びやかな歌声が魅力。さらにはグラビアアイドルとしても人気を集め、週刊誌「週刊プレイボーイ」からすでに二作のデジタル写真集を出しています。自分の胸のことを「マリチチ」と呼ぶコミカルなキャラクターも人気の秘訣です。
マリリと同じく、バンド活動をしていた日向ハル(ハルちゃん)は、持ち前のハスキーでソウルフルな歌唱力を生かしシンガーとして活躍。元ふぇのたすのヤマモトショウのソロ作品や、ラップグループの絶対忘れるなの楽曲にもボーカルとして参加し大きな話題を呼びました。また、テレビ東京の番組「THEカラオケ★バトル」にも出演し、小柳ゆきの「愛情」を歌唱。その歌声でお茶の間を沸かせました。
また、デビュー前よりアイドル活動をしていた佐藤まりあ(あんぬ)は、持ち前のスタイルを生かしモデルとしても活躍。特にバキバキに割れた腹筋から、「腹筋女子」と呼ばれるようになり、様々なテレビや雑誌、ネットメディアの女性向けトレーニング特集に登場。腹筋へのこだわりとトレーニング法について語っています。
独特のアニメ声の歌唱で楽曲に彩りを加える、十束おとは(おとはす)は自他共に求めるゲーマーっぷりを生かし、ゲーム系のメディアや番組に引っ張りだこ。格闘ゲームからRPGまで様々なゲームを好む彼女は、持ち前の知識でプレイヤーとしても司会やゲストとしても幅広い活躍を見せています。
こうして紹介するだけで、メンバー4人のそれぞれの魅力やキャラクターが際立っていることがわかります。そんなそれぞれの活動が、ファン層を広げるだけでなく、「フィロソフィーのダンス」というグループ自体の持つ独特の存在を作り出すことにも繋がっているのです。
フィロソフィーのダンスの時代を踊らせるアンセム5選。
彼女たちの大きな魅力の一つが、80年代のソウルやR&B、ファンク、ディスコを現代的に解釈した楽曲たちです。メインの作詞担当のヤマモトショウが紡ぐキュートながら哲学的な歌詞と、ブラックミュージックのファンキーなリズムをJ-POPとして表現した宮野弦士の作るメロディは、他のアイドルにはない個性になっています。そんなアイドルファンから音楽通までを唸らせ、踊らせるフィロのスの「ファンクアンセム」を紹介していきます。
「好感度あげたい!」
フィロのス初期の代表曲であり、ライブの定番曲。ディスコ調のストリングスが印象的なイントロが流れるだけで会場の熱気と観客の声援が一段と上がります。スラップベースのリズムに合わせて、マリリの伸びやかな声とおとはすのアニメ声、あんぬのキュートな声、そしてハルちゃんのハスキーな声が順繰りに入り乱れ、それぞれの声の魅力を堪能することができます。また、「好感度あげたい/有名になりたい」というコミカルなフレーズも、4人の素直な性格を知ってから聴くと、よりストレートかつエモーショナルに聴こえます。
「ダンス・ファウンダー」
セカンドアルバム『ダンス・ファウンダー』の表題曲。フィロのスの知名度拡大のきっかけになったこの曲は、今でもライブの終盤に歌われる人気曲です。重心の低いベースラインと、ファンキーなカッティング、そしてディスコ調のシンセサイザーサウンド、どのフレーズも「ポップで踊れる」ことに特化したような究極のディスコ歌謡です。メンバー4人のそれぞれの声で歌われる「新しいダンスを踊らせてあげる」というサビの歌詞は、まさに彼女たちの決意表明のように響きます。
「ラブ・バリエーション」
イントロのドラムのタムの音は、プライマル・スクリーム「Rocks」のような往年のロックソングを彷彿とさせます。そんな骨太なリズムに乗せて歌われる跳ねるようなメロディはポップでキュート。実はこの曲、メンバーのマリリがファンを公言するモーニング娘。へオマージュを捧げたもの。言われてみれば、独特の恋愛観を歌った歌詞や繰り返されるフレーズ、そして歌謡曲とR&Bのテイストを感じさせるメロディは、つんく♂のソングライティングに通じるものを感じます。のちにソウルバンドSCOOBIE DOの演奏によって再録されたバージョンも発表。よりエッジの効いたサウンドで楽曲の魅力を引き出しています。
「ライブ・ライフ」
「自由」と「生きる喜び」をテーマにした楽曲、と書くと一見難解そうに思えますが、フィロのス史上最もポップでキャッチーなディスコソング。彼女たち自身の歌う喜びとライブの非日常性を、多幸感たっぷりに歌います。また、シンガロングできるキャッチーなサビと手拍子をしたくなるようなカウベルのリズムは、ライブ会場に大きな一体感をもたらすもの。初披露された時からすでに大きな盛り上がりを見せ、タイトル通り「ライブ映え」する一曲になったのです。ちなみにキュートでセクシーな振り付けは、でんぱ組.incなどを手がけるYumikoが担当。かねてからでんぱ組ファンを公言していたおとはすはかなり喜んでいたようです。
「イッツ・マイ・ターン」
フィロのスの楽曲には「フィロソフィー」という名前の通り、哲学用語がよく出てくることでおなじみです。この「イッツ・マイ・ターン」もカントが認識論上の立場を逆転させた時に用いた「コペルニクス的転回」という比喩をモチーフにしたラブソング。コペルニクス的転回のように常識を塗り替えるような恋をするという歌詞は、アイドルの常識を次々と塗り替えていくフィロのス自身の立場とも重なります。すべてがサビのようで、サビがないようにも聴こえるメロディラインや動き回るベースライン、さりげなく変わっていくコード進行も、リスナーの「認識」によって聴き方も変わってくるようです。まさに、歌も歌詞もメロディもアレンジも、聴けば聴くほど新たな発見がある楽曲です。
モー娘。を彷彿とさせるキュートさとクールさ。全国ツアーも見逃せない。
4人の個性と洗練された楽曲で快進撃を続けるフィロのス。そんな彼女たちは秋から全国10カ所を回る全国ツアー『Glamorous4』を開催します。4人のライブでの佇まいは、クールかつキュート。キレのある歌とダンスを見せたと思えば、次の瞬間にはキュートな表情を見せます。そんな4人の姿を見ていて思い出すのは、全盛期のモーニング娘。です。フィロのスがモー娘。のような国民的アイドルになる未来もそう遠くはないように思えます。そして今回のツアーファイナルは2000人規模のライブハウス、新木場STUDIO COASTです。ますます大きなステージへと駆け上がる彼女たちのライブは、今こそ必見です。
公演情報
「Glomorous 4」
2019年11月17日(日)埼玉県 HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3
2019年11月23日(土・祝)茨城県 mito LIGHT HOUSE
2019年11月24日(日)宮城県 enn 2nd
2019年11月30日(土)福岡県 DRUM Be-1
2019年12月1日(日)熊本県 熊本B.9 V2
2019年12月5日(木)大阪府 umeda TRAD
2019年12月6日(金)愛知県 ElectricLadyLand
2019年12月8日(日)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
2019年12月14日(土)広島県 広島セカンド・クラッチ
2019年12月17日(火)東京都 新木場STUDIO COAST
フィロソフィーのダンス 公式サイト
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