ミーティアで紹介しているローチケ内のライブハウス情報ページBEATERがマンスリーでお届けするアーティストセレクション。毎日のようにライブハウスを駆け巡る担当者が自信を持っておすすめするバンド・アーティストをご紹介します! 第5回目となる今回は、個性派かつ実力者のスリーピースバンドを集めました。
「バンド」と聞いたとき、頭の中に思い浮かべるのはどんなスタイルや姿でしょうか? ギター、ベース、ドラム、フロントマンとしてのボーカル(時としてその人は弦のパートも兼ねていたり)。この4ピースは、バンド音楽においてもっとも基本的な要素として想像しやすいのではないかと思います。
もちろん、バンドのオフィシャルな形態として、そうとは限らないパターンも数多くありますよね。シンセなど、さらに多くのパートを抱えていたり、時には3ピースギターだったり。ソロ活動をしているようなシンガーソングライターも、サポートメンバーとしてバックバンドが必ずといっていいほど存在します。
そんななか、この世界には「3人で編成されているバンド」が数多く存在しています。それは多くのバンドにとってマジックナンバーなんじゃないでしょうか。ミューズ、グリーン・デイ、そしてニルヴァーナ…。
重なり合わせる音と音がシンプルだからこそ、それぞれのパートが一段と際立っていきます。素敵なスリーピースバンドって、人数が少ないからといって、迫力が弱くなったり物足りなさを感じたりすることはないですよね。また、スリーピースだからこそ引き出せるインパクトや個性もあるのではないでしょうか。それが私たちを釘付けにさせるのかもしれません。3人だとメンバー同士の人間関係も、心なしか解像度が高く音楽性が滲んでいる気がします。
それでは、個性あふれる実力派の3ピースバンドをご紹介していきますね。
NOT WONK
NOT WONKは、2010年に北海道の苫小牧で結成されたバンドです。メンバーはギターボーカルの加藤、ベースのアキム、ドラムスのフジで構成されています。2015年、アルバム『Laughing Nerds And A Wallflower』でデビューし、今年6月には3rdアルバムとなる『Down The Valley』をリリースしています。
埃っぽい部屋でパンクキッズが遊ぶように奏でるサウンドから、唐突にまるで心臓が飛び出てしまいそうなほどのエモーションを噴出させ、かと思えばまた素知らぬ顔で過ぎ去っていくような感覚。グランジとメロディックを彷彿とさせる飾らなさと、英語で連ねられるリリックが彼らの音楽性をさらに高めています。
paionia
福島県をルーツに持つ2人が2008年に結成したグループ、paionia。あれ? スリーピース特集なんじゃないの?と疑問に思った方もいるかもしれません。でも、彼らのTwitterをみてみると、ギター/ボーカルの高橋勇成、ベース/ボーカル菅野岳大にくわえて、ドラム/ボーカルに「未定」とあえて書かれているんです。これまで、サポートメンバーとしてplentyのドラムパート、中村一太や、髭・パスピエなどのサポートも務めた佐藤謙介が歴任しています。
paioniaというバンド名は、1989年から2010年まで活動した、ゆらゆら帝国の曲名から名づけたのだそう。当時の渋谷系トレンドを無視したゆらゆら帝国のスタイルにも重なるように、シティポップが再燃する現在においてサイケデリックでラフなギターサウンドと少しの泥臭さがpaioniaのオリジナリティを際立たせます。「跡形」MVも、インディペンデントさが感じられる作品。
(ライブ情報)
https://l-tike.com/artist/000000000473725/
Tomato Ketchup Boys
Tomato Ketchup Boysは、ギターボーカルの鈴木とベースの石川、ドラムスの武智で構成される静岡県浜松市発のバンド。その実力は折り紙つきで、2018年の「出れんの!?サマソニ!?」でも出演を果たしています。
オアシスを彷彿とさせる(本当に良い意味で)間延びした歌声と、軽快なギターサウンドが絶妙にマッチしてます。ちなみに、今年の3月には盟友のNo Busesと対バンでライブが行われていたんですが、私は行けなかったことを心から後悔しています。双方とも、90年代〜ゼロ年代頃のUKロックを再解釈しているような、ライブハウスで聴きたくなる日本のインディーバンドって気がしていて…。これからも大注目していきたい所存です。そしてまたコラボして!
Tomato Ketchup Boysのライブチケットはこちら!
Bluems
東京発の男女6人組ユニット、恋する円盤の元メンバーであるギターボーカルの大塚真太朗とドラムスの大塚薫平、そしてベースの辻本によって構成されているのがBluemsです。彼らも2016年に、「出れんの!?サマソニ!?」のファイナリストに選出されている実力者たちなのです。
ポップなメロディと大塚真太朗が歌い上げるキャッチーでキュートな歌詞は、老若男女に愛されそうなオープンリーマインドな感じもあり。なおかつ、彼らのアートワークは、響く人にはズンズン響く遊び心溢れるモチーフを隠し持っていたりします。2018年にリリースされたファーストミニアルバム「恋について」のアートワークをみてみてください。これ、2017年にサンダンス映画祭で公開されるや日本国内でも大きな反響を得た青春ラブストーリー『僕の名前で君を呼んで』へのオマージュじゃないですか! もし違っていたらそのセンスに脱帽です。過去のアー写もウェス・アンダーソンの『天才マックスの世界』みたいな配色(勝手に推理しました)だったり、メンバーそれぞれが『メッセンジャーズ』や『東京物語』などなど映画も好きそうなところがまた素敵です。
次回のBMSもお楽しみに!
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