sumika「願い」
sumikaもまた、タイアップでさらに注目度を増すアーティストだ。同バンドは、片岡健太(vocal,guitar)、荒井智之(drums)、黒田隼之介(guitar)、小川貴之(key)の4人から構成される。彼らの楽曲「願い」は、田中圭主演のテレビ朝日系人気ドラマ「おっさんずラブ-in the sky-」(2019年11月~現在放送中)の主題歌へと起用された。
同曲は、片思いする女性の届かない恋心を聴きやすいポップロックの曲調にのせた冬らしいミディアムバラード。シンプルなアレンジだからこそ、片岡健太の温かみのある声と彼によって書かれた切ない歌詞がすっと染み入ってくる。2019年の冬を代表する1曲へと仕上がっている。
sumikaは、神奈川県川崎市で2013年に結成された。結成から5周年の2018年には、日本武道館2daysを含むホールツアー「sumika Live Tour 2018 “Starting Caravan”」を開催。これまでにテレビアニメ「ヲタクに恋は難しい」のOPや、劇場アニメ「君の膵臓をたべたい」の主題歌など、数々のタイアップ曲を手がけてきた。紹介した楽曲「願い」は、sumikaにとって初となるドラマ主題歌。これを契機に大きな飛躍が期待されている。
マカロニえんぴつ「青春と一瞬」
マカロニえんぴつの楽曲「青春と一瞬」は、日本マクドナルド「500円バリューセット」CMソングへと抜擢され、話題を呼んだ。
ジャンルで区別すれば、sumikaの「願い」とおなじくポップ・ロックに分類されるであろう同曲は、先の曲とはまた違った味わいのあるポップソングとなっている。楽曲制作のテーマとなったのは、「青春」「仲間」といったどこか青臭くもあるキーワード。彼らは、「青春と一瞬」というタイトルに「退屈で早く大人になりたかったけれど、過ぎれば全力で愛おしい」というノスタルジアを歌った。
マカロニえんぴつは、はっとり(vocal,guitar)、高野賢也(bass)、田辺由明(guitar)、長谷川大喜(key)からなる4人組のバンドで、2012年、はっとりを中心に神奈川県で結成された。ポップ・ロックという埋もれやすいジャンルのなかで彼らの武器となっているのが、はっとりの感情を揺さぶる声と、メンバー全員が音大出身というアーティストとしてのバックボーンだ。彼らによって生み出された音楽は、「マカロック」と呼ばれ、日に日にファンを増やしつつある。
2019年に発表された彼らの楽曲では、紹介した「青春と一瞬」以外にも、8月リリースのデジタルシングル「Supernova」が、テレビ東京のテレビドラマ「びしょ濡れ探偵 水野羽衣」(2019年7~9月O.A.)のOPテーマとなっている。2020年、マカロックがさらなる音を響かせるのか。そこに疑いの余地はない。
須田景凪「MOIL」
終わりを務めるのは、須田景凪「MOIL」。同曲は、2019年8月公開のアニメ映画「二ノ国」の主題歌へと起用された。
ここまでに紹介した5曲と比べると、また違うルーツを感じられるこの楽曲。独特の言語感覚や、そこに込められた意味を想像してしまう映像がとても印象的だ。「なりたくない大人になってしまった」そのやるせなさや憤り、そのほか渦巻くさまざまな感情が、打ち込みをベースにしたポップへと昇華されている。
須田景凪(すだ けいな)は、2017年より活動を始めたシンガーソングライターで、過去には「バルーン」の名義でボカロPとしても活躍した。2019年1月に1st EP「teeter」でメジャーデビュー。さっそくオリコンウィークリーチャートで10位となると、続く2nd EP「porte」に収録された楽曲「veil」(TVアニメ「炎炎ノ消防隊」ED)と「MOIL」がタイアップを獲得し、注目度を急上昇させた。同EPは、オリコンウィークリーチャートで7位を獲得している。
今後は、元SMAP・香取慎吾が2020年1月にリリースするアルバムに、楽曲提供とフィーチャリングで参加する。来年のいま頃には、名前を知っていることが当たり前のアーティストとなりそうだ。
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