いまも超々ロングランをつづけている『君の名は。』の新海誠監督にフィーチャーした「新海誠監督作品 特集上映 2017」が、2月2日から下北沢トリウッドで開催される。
今回の企画は新海誠の商業デビュー作『ほしのこえ』の初上映15周年を記念したものだ。
映画『ほしのこえ』と下北沢トリウッド
(映画『ほしのこえ』予告編)
トリウッドは当時まだ自主制作映像作家だった新海誠の短編アニメーション『ほしのこえ』を上映し、彼の商業デビューを後押しした映画館として知られている。ファンからは「聖地」と呼ばれている場所だ。
<新海誠監督作品 特集上映 2017>
2/2(木)~2/24(金)のタイムテーブル・料金は
こちらの画像か、ツイートまとめをご確認下さい!
※2/25(土)以降は後日発表します。https://t.co/09MrFW2zNE pic.twitter.com/FGUNRaKOQk— tollywood (@tollywooder) 2017年1月30日
『ほしのこえ』がトリウッドで封切られたのは2002年2月2日。
この日、映画館には早朝から長蛇の列ができたという。そしてネットを中心に口コミで評判が広がり、トリウッドの当時の最多動員記録を更新する観客を集めた。
その後、DVDが発売されると、わずか数日で1万枚のセールスを記録するなど、『ほしのこえ』ブームが巻きおこる。そのブームは業界内外に波及し、わずか25分の『ほしのこえ』は大勢の注目を集めることになった。
たとえば、NHKは長寿番組「みんなのうた」の映像クリエイターとして新海誠を起用し、『笑顔』(うた・岩崎宏美)を製作することになるだろう。
また、『ほしのこえ』公開の前年の2001年に『動物化するポストモダン』を出版し、現代日本のポップカルチャーを分析していた当時新進の哲学者だった東浩紀や、批評家の大塚英志をはじめ、アニメーション監督や漫画家、ジャーナリストなど、様々な分野の著名人が新海誠に関心を注ぐようになった。彼らの言説の一部は『「ほしのこえ」を聴け』(2002年)に収められている。
東浩紀と大塚英志の二人は『新現実』という雑誌を創刊し(2002年)、その巻頭に新海誠の漫画『塔のむこう』を全編カラーで掲載した。これはのちの監督作『雲のむこう、約束の場所』(2004年)の原型と呼べる作品だ。
同作が公開された2004年は、大作が目白押しの「アニメ・イヤー」だった。
宮崎駿『ハウルの動く城』や押井守『イノセンス』、大友克洋『スチームボーイ』といった巨匠の映画が相次いで公開されているからだ。
だが新海誠の映画はそのなかに埋没しなかった。それどころか、非常に高い評価を獲得した。その年の毎日映画コンクールアニメーション映画賞を受賞したのは、じつに『雲のむこう、約束の場所』だったのである。
(映画『雲のむこう、約束の場所』予告編。声の出演は吉岡秀隆や萩原聖人など)
2002年2月2日の新海誠と2017年2月2日の新海誠
こうして、新海誠は着実にそのキャリアを積み重ねてゆく。
その第一歩をしるしたのが、下北沢トリウッドなのだ。
そのトリウッドにて、『ほしのこえ』が封切られた日と同じ、まさに2月2日に、新海誠監督の特集上映がはじまる。
過去にも何度か同様の企画があったとはいえ(すっかり人気監督なのだ)、『君の名は。』の歴史的大ヒットを経た今度の特集は、いわば凱旋上映といえるだろう。
これまでの15年を回顧し、これからの15年に期待する、記念すべき催しとなるはずだ。
<<上映作品>>
『ほしのこえ』(2002年/25分)
『彼女と彼女の猫』(2000年/5 分)
『雲のむこう、約束の場所』(2004年/91分)
『秒速5センチメートル』(2007年/63分)
他
下北沢トリウッド公式サイト
新海誠公式サイト
新海誠Twitter
Text_Hiroyuki Ozawa
Edit_Sotaro Yamada
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