オタクは魅力的な生き物
――自分のことをオタクだと思います?
綿めぐみ オタクだと思います。アニオタだと。
――オタクという言葉に対してどういうイメージがありますか?
綿めぐみ オタクは……魅力的な生き物だと思います。
――どうしてそう思いますか?
綿めぐみ アニオタに限らず、何か一つのことに対して、自分はこれが好きっていう誇れる何かを持ってることは、人間としてとても魅力を感じるからです。
――オタクって、昔はネガティブな文脈で使われることが多かったんですけど、今はそれがクールなものに変わりつつあると思うんですね。綿さんは、そういう時代の象徴的な一人という感じがします。……っていうとちょっとゴマすってるみたいですかね(笑)。
綿めぐみ オタクってファッションセンスも上がってきていて、万人受けするような見た目になってきたんじゃないかなって思います。だからむしろ、ザ・オタクみたいな、典型的なオタクの方に会えた時ほど感動します。
――自分のことを一貫してオタクだと思いますか? それとも、ある年齢から突然オタクになったと思いますか?
綿めぐみ もう生まれた時からオタクですね。
――ナチュラル・ボーン・オタクですね。
綿めぐみ はい(爽やかな笑顔)!
――すごい一途ですね。子どもの頃からずっと一貫して超好きなものがあるのって、むしろ珍しいことだと思います。アニメにハマる前に夢中になったものってありますか?
綿めぐみ ないんですよね、それが。アニメから始まっちゃったんで。
――綿さんが感じているアニメの魅力って何でしょう?
綿めぐみ それは難しい質問ですね……。私、主人公に尋常じゃないくらい感情移入しちゃうんです。普段、誰かに傷付くようなこと言われても全然泣いたりしないのに、アニメとかマンガだと感情の起伏が激しくなっちゃって、すぐ泣いちゃうんですよ。そうやって主人公目線で物語を追っていくので、自分以外の人生を体験できることが好きなんですかね。
――アニメのキャラクターって、現実の人間よりピュアなことが多いですよね。
綿めぐみ はい、確かに確かに。まっすぐな人が好きなんだと思います。嘘つかないとか、素直だったりとか。
――現実の人間はすぐ嘘つきますもんね。そういう意味では、アニメのキャラクターの方が信用できるのかもしれないですね。
綿めぐみ はい。アニメのキャラクターは絶対裏切らないので。
本当は内に秘めてる熱い思いがある
――いくつかのインタビューで読んだんですが、「私はこの次元に対してちゃんと生きることは諦めている」という発言がありました。これについて詳しく聞かせてもらえますか?
綿めぐみ 現実に期待して傷つくよりも、非現実的なバーチャルな世界にのめり込んで自分を投影する方が幸せになれる、という思いがあるんですよね。まあでも、いつまでも現実からは逃げてらんないんで、いつかは向き合わないといけないなって思うんですけど。
――たぶん今すごい向き合ってる時期ですよね。
綿めぐみ そうだと思います。周りからしたらそう見えてないかもしれないけど。昔から、結構やる気ない風に見られがちなんですけど、本当は内に秘めてる熱い思いみたいなのがあるんです。ただ、それを伝えるのはすごく難しいんで……。難しいんだけど、たぶん、私と喋ったことある人とない人とでは、全然私のイメージ違うと思うんですよ。
――確かに、我々も綿めぐみは人間じゃなくて概念かもしれないと思ってましたし。汗かいてるとこなんて想像できないですね。跳び箱とか飛ばなそう。ボール投げたら肩と腕折れるみたいな。
綿めぐみ 球技とか絶対できないですね(笑)。
――でも今日会ってインタビューさせていただいて、だいぶイメージ変わりました。
綿めぐみ 会えばわかってもらえると思うんですけど、全員と会うことはできないんで、それをうまく記事にまとめていただけたらなって思います。
このインタビューの完全版は、2016年10月1日にShiny Booksより発行されるカルチャー誌『アヴァンギャルドでいこうvol.6』に収録されています。
綿めぐみ
香港生まれ、インターネット育ち。アニメ、漫画、ゲームをこよなく愛する。
ネット上に公開した楽曲『災難だわ』で「謎の美少女」として注目を集める。3月16日に未収録2曲を含む、『災難だわ』の再販が決定。
公式LINEブログ(http://lineblog.me/watamegumi/)
公式LINE【@ watamegumi】
SHARE
Written by