代役が利くものはあんまり魅力を感じない
――SKY-HIさんのビジュアル表現に注目が集まる機会に今回なるとも思うんですよ。
SKY-HI:そういうことになるのかな。そうなると恥ずかしいですね、なんか(笑)。
――(笑)。ご自身で作品を制作される際、美術面に込めているこだわりを聞かせて頂けますか?
SKY-HI:これもちょっと繋がっちゃうんですけど、いかにシンプルに派手さを見せるか、っていう。多分、作り方としては二つしかなくて。
今回の『Double Down』のジャケットとかみたいに、要素としては少ないっていうか、引き算に近いんだけど、シンプルに引き算で出来ているからこそ、一発の派手、「ペンキ、ドカン」がやたら立つとか。ライブでも余計なセットをごちゃごちゃ置いたりとかしないからこそ、バンドと自分の空気感が伝わりやすかったりとか。照明の使い方とかも、どっちかと言うと実は一番俺が入る瞬間はギラッてした次の瞬間のピンスポット一本、とか。それはすごく派手じゃないですか。でもすごくやってることはシンプル。それかな、すごく。
だから、それの逆も多分あると思うんですけど。派手ゆえにすごくシンプルに感じるって。派手ゆえにシンプルに感じさせるか、シンプルゆえに派手さを感じさせるか、の多分どっちかしかない気がする、全て。
――例えば、派手一辺倒だとSKY-HIさんの目からはヴィジュアルとして統制が取れてないように見えたりしますか?
SKY-HI:いや、見る分には全然好きです。ただ、自分に合ってる・合ってないだけで。見る分には全然好きですけど。でもなんか、これもストリートアートの(話)に繋がるのかも知れないですけど、人間を感じない派手さは好きになれないですね。それはあるかも。
その人がやる意味みたいなのがないと、あんまり。他の人でも代役が利くアートはもう、それはアートと言っていいのかっていうところはあるから、代役が利くものは魅力を感じない。それだけですね。派手かどうかとかは、正解が人の数あるから。
ディズニーは派手だけど派手で素敵、みたいな。徹底してるしね。しかもミッキーに代わり利かないじゃないですか(笑)。あれはディズニーランドである必要があるし、やっぱりディズニーっぽいものってみんな作りたがるけど、ディズニーっぽい状態だとやっぱりコスプレにしかならないから、(ディズニーを)超えられることって少ないですよね。
だから、SEKAI NO OWARIがシンボルとして樹を生やしたりとかしたのって「独自性をいかに出すか」っていう(リスクが有る)。やっぱもう大変なんですよね、ファンタジックに生きるってことは。要はディズニーランドとかが目立ってるから、山のてっぺんに。だから下手なことすると全部「ディズニーっぽいね」ってなっちゃうじゃないですか。
(SEKAI NO OWARI「炎と森のカーニバル in 2013」ダイジェスト)
それでもああいうオリジナリティを出す――。めっちゃ大変じゃないですか、あのサイズの樹。しかも9月とかだったから、あれやってたのが。台風来たら終わる、っていう(笑)。でもそのリスクを背負ってでもやる必要がある、彼らじゃないといけない必要がある、と。そういうのはすごく覚悟が必要なことだと思うけど、リスクもあることだと思うけど、そういうものじゃないと惹かれないっていうのは確かにありますね。
本人としてはただただずっと頑張ってるだけ
――SKY-HIさんにとってこの2016年って、どんな年でしたか?
SKY-HI:いや、2016年、面白かったです。本当にたくさんの状況の好転っていうのを初めて感じられた、っていうのはあります。その前の年とかではじわじわと来てくれる人が増えるとか、そういうのでしかなかったのが、今年は本当にそういう意味では大きく変わった。大きく変わった、っていうか本当に、大きく変わるための一番重いオセロの一個目がひっくり返った感じの1年でしたね。
地道にひっくり返し続けて来て、いろんなメディアの人とか音楽関係者とか、そういう人たちが分かりやすく注目してくれるようになったのは、今年。
――最後に、展示の見どころを改めてお教えいただけますか?
SKY-HI:意外と濃さがあったよね。非常にわくわくする空間ではもちろんあるんですけど、すごい色味もポップだし、単純に楽しい、アトラクション感あって。わくわくする楽しさがありましたね。たった数年なのに、歴史を感じて。
――かなり感慨深いものがあったんじゃないですか?
SKY-HI:意外と振り返る暇ってそんなないじゃないですか。今(12月上旬)も「アルバムできたからまた曲作ろう」みたいな。リリース前だけど、多分そのアルバムがリリースされる頃にはいくつか新曲を作って手元に置いてるだろうし、ライブのことも考えなきゃだし。ライブの最中には次のツアーとか考えるわけだから。いざ振り返ったら、「ああ、やって来たんだな、いろいろ」みたいな感じがすごかったですね。もう一回行きたい。勿体無いね、(展示の下見の時には)ちょっと酔っ払ってたから(笑)。
スタッフ:年表の制作は結構手こずったんですよね。載せきれなくて、活動が。だからかなり端折ったというか。もうメインのものだけに絞った感じですね。他にもいっぱいやってることはあるけど、もうそこまで拾い出すととてもじゃないけど入りきらない。
SKY-HI:年表見てても面白かったですね。やってる本人としてはただただずっと頑張ってるだけでしたけど、なるほどな、と思いました。すごい、走馬灯のように。もう一回年表見たいな。
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