2. NUMBER GIRL『SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT』
大胡田 : NUMBER GIRL(ナンバーガール)に出会ったのは、中2か中3の頃でした。『鉄風 鋭くなって』というシングルをレンタルビデオ屋のCDコーナーで見つけてジャケ借りしたんです。真っ黄色のジャケットに小さいイラストが描いてあって、「何この雑さ、ヤバイ」と思って。CDジャケットって普通、気合いを入れて豪華にしようとするじゃないですか。そういうイメージとは正反対だったから、違和感がすごくあったんです。
大胡田 : それまでまったく聴いたことのなかったバンドサウンドでした。ボーカルのミックスも小さくて生々しかったし、歌詞の内容も、テレビの音楽番組などで聴いてきたようなものとは全然違って。音、歌詞の内容、言葉の使い方、全部が初めての体験だったんです。
(NUMBER GIRL『鉄風 鋭くなって』MV)
――その頃って、他にはどんな音楽を聴いていたんですか?
大胡田 : 日本のバンドをあんまり知らなくて、シェリル・クロウとかレッド・ツェッペリンとか、ビートルズなどを聴いていました。というのもその頃、LOVE PSYCHEDELICOにハマっていて、彼らのホームページに「リスペクトしているアーティスト」としてそれらの名前があったんです。その流れで日本のバンドも少しずつ聴くようになって。このアルバムは、歌詞カードもすごいんですよ。「もし自分でバンドをやることになったら絶対これをやろう」と思いました。まだやっていないけど。
――手書きで絵を描くところなんかはパスピエに受け継がれていますね。
大胡田 : 初期の頃にイラストに目を入れなかったのは、実は向井秀徳さんの影響が大きいんです。
――ほんとだ! ここから来ていたのか。
大胡田 : NUMBER GIRLにハマって以降、似たバンドを探そうと思ったけど、唯一無二すぎて似ているバンドがいませんでした。だからNUMBER GIRLも唯一神として崇めようと思って。知った時にはすでに解散していたから、DVDセットを買って家のテレビで見ながら、ひとりで大興奮していました。「これがライブなのか……」って。
――その頃はまだライブには行ったことなかったんですか?
大胡田 : そうなんです。実は東京に来るまで一度もライブに行ったことがなかったんです。地元にライブハウスがあるかどうかさえ知らない……。
――ちなみに、向井秀徳さんと会われたことは?
大胡田 : とあるライブにパスピエが呼ばれた時、向井さんも出てらして。泣きながらライブを観たあと、自主制作版のミニアルバム『ブンシンノジュツ』をお渡ししました。でも好きすぎて何も喋れなかったです……。すごい小声で(……ずっと好きでした……)ってお伝えしました。お酒を飲んで楽しくなってらしたし、絶対覚えていないと思うんですけど。
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