何この涙!?なんだ、この感情は!?
――MEETIAでは、インタビュイーの方に毎回「運命の出会い」をお聞きしていて。皆さんの「運命の出会い」を聞かせて頂けますか?
BASI:2004年の広島・SETSTOCKに出演した時の出来事なんですけど。本番を終えた後、木陰に移動すると休憩用のプレハブみたいな小屋があったんです。丁度その時ステージにはケツメイシさんが出ていたんですけど、木陰から僕はその様子を眺めてたんですね。
で、ふと木の向こう側を見たらなんか暴れてる人が居たんです。「何だろう?この人」と思ってよく見てみたら――、甲本ヒロトさんだったんですよ。横のプレハブをよくよく見てみたら、そこには「ザ・ハイロウズ」と書いてあって。
さっきも言った通り、ステージに出てるのはケツメイシさんなんですよ。ケツメイシさんの曲が流れている中で、ヒロトが暴れてる。「凄いもん見てんな!」って思いました(笑)。
その様子をじっと見てたら「何だ!?」と突然、ヒロトさんに言われて。
もう身体中に電気が走ったような感じがして――、僕はブルーハーツずっと聞いていたんですよね。何とか「ファンなんです」と言って、一緒に写真を撮ってもらえないですか?とお願いしたんです。すると「おお、良いよ!撮ろうよ!」と言ってくれて。スタッフの方にカメラはお願いしました。
撮影の時、ヒロトさんがカメラの向きを見て「おい、そっち逆光だぞ!」と言ったんですよね。ヒロトさんが「逆光だぞ」って言うの、やばいですよね(笑)。
写真見たら、足はルパンみたいに細くて顔もめっちゃ格好良いんですよ。神々しいオーラが出てるんですよね。
その後のハイロウズのライブで、『日曜日よりの使者』を歌いだして。その時はもう、感動してるとかを通り越して涙が先行して出てきたんですよ!「何この涙!?なんだ、この感情は!?」って自分でも不思議だったくらいで。「このままどこか遠く~」ってヒロトさんが歌った途端に、ぶわあって涙が出てきた。「音楽やってて良かった」と思いましたね。それまであった色々なこととか嫌なこととかもひっくるめて全ての感情が、その瞬間に降ってくるような感覚がありました。これが俺にとっての運命の出会いですね。
Rude-a:丁度今日、インタビューに来るまでの間にヒロトとマーシーの四十分くらいある動画を見てました。ルーツミュージックみたいなものを歌ってました。
BASI:おお、そうだったんか。俺とヒロトさんがやり取りをしてる数十分の間、木陰のプレハブの中ではマーシーがずっと腕を組んでた(笑)。その姿がめっちゃ渋いんよ!
――BASIさんが考えるブルーハーツやハイロウズの持つ、一番の魅力ってなんだと思いますか?
BASI:自分はブルーハーツだと『夜の盗賊団』が好きなんです。ISSEIが韻シストを聞くように、僕もブルーハーツを聞くと情景が浮かぶんですよ。
取れたての免許で、いつも笑っている。冷えたビールを一緒に飲もう。そういうのって誰もが過ごしてきている青春じゃないですか。日々抱えているジレンマであったり、不安であったりを一緒の目線で歌ってくれる人たちなんですよね。時にはスピードが早すぎて「どこに行っちゃってるんだろう」っていうような瞬間もあるんですけど、そういうぶっ飛んでいる時も格好良いし。
いまでも(同じ目線に)降りて来てくれる感じがあるんですよ。ハイロウズ以降はブルーハーツのあのまっすぐな伝え方とは、違う表現になっていったと思うんです。それでも、例えばハイロウズのラストシングル『サンダーロード』は、一緒に三脚を立てて写真を撮ろうという内容で。どんな眺めや景色よりも、二人並んだ写真がいいというような歌詞なんですけど「このまっすぐなアプローチ、ブルーハーツにもあったな」と感じるんです。一緒の目線で、並んで歌ってくれるようなスタンスがめっちゃ好きですね。
運命という言葉は信じない
ISSEI:運命という言葉を俺はあまり信じないんですよね。何事もなるようにしかならないと思っている人間なので。
ただ、俺はクリエイトしてなかったら本当にダメ人間だったと思うんですよ。そういう人生に向かうように線路を引いてくれた人間は居ます。高校の時からの連れで、いま絵を描いているおごししょうごっていう奴なんですけど。MUTANTでも彼が描いた絵を使って、俺がデザインをしてというように、二人三脚で服を作ってるんです。
俺、高校はデザインの学校に行ってたんですよ。普通の高校の友達とは違って、おごし君は一緒にクリエイティブな活動をし続けて、刺激しあった仲なんですね。俺は中学までは一匹狼みたいな奴で、要は友だちがいなかったんですけど、そいつと出会うことでアメ村とかミナミとか遊びに行くようになったんです。そこで色んなラッパーの人と知り合ったり、韻シストと出会ったりして。いまに繋がる全ての入り口が、よく考えたらおごし君だったんですよね。いまでも彼は俺にとって重要な存在で、デザインでも何でも兎に角迷ったら絶対相談する相手なんです。
運命というか、俺の人生にとってのキーマンですね。
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