理想と現実をしっかり受け止めることが大事やと思うんですよ
――2年前、『未来』の頃にYu-Kiさんが「音楽をするのってこんなにしんどかったっけ」と話してましたよね。今作を聴いて、あの頃のメロフロートはもういないんだなって思いました。吹っ切れたんじゃなくて、乗り越えたんだなって。
Yu-Ki : 本当にそうやと思います。だって、『未来』の時期はライヴをしてて全然面白くなかったですもん。
KAZMA : 今、思い返したら当時のYu-Kiは疲れ切ってて、目もとろんとしてたよな。
Yu-Ki : 何かの毒素には犯されてましたね。そういう時ってアカンところばっかりに目が行くんですよ。不思議っすよね、人間って何なんやろう。
――いわゆる負の連鎖ですね。
Yu-Ki : あの時は結果を求め過ぎる自分がいたんですかね……。あとは、状況の変化についていけなかったんだと思います。インディーズの頃から比べると関わってくれる人が増えて、新しいキッカケもいくつかもらえているのに、ちゃんとモノにできている実感がなかった。
――そう思った原因はなんだったんですか?
Yu-Ki : 視野が広がったからこそ、自分の小ささが余計に見えてしまったのかもしれないです。「僕がやってきたことって、これだけにしかなってなかったんかな……」って。そんなことを思いながらライヴをしても、何も伝えられないじゃないですか。だから歌ってても面白くないな、って。
――Yu-Kiさんってすごく真面目な人ですよね。だからこそ、悪い方向から抜け出せなくなったんでしょうね。
Yu-Ki : 良くも悪くも真面目なんですよ。
――どうやって乗り越えたんですか?
Yu-Ki : 『未来』をリリースしたのが12月2日だったんですね。僕は大きいキッカケがないと、気持ちの切り替えをすぐに出来ないタイプで。「年が明けたら切り替えよう」って決めたんです。それが大きかったですね。
――直接関係ないかもしれないですけど、『僕は走り続ける』という作品はあの頃のYu-Kiさんに対するアンサーになっている気がしたんですよ。悩んで、悩み抜いた末に「走り続ける」ってストレートな答えになったのかなって。
Yu-Ki : ああ、そういう風にとらえてもらえるのは嬉しいですね。僕の中では曲は全部リンクしていると思っているので。そうやって解釈していただけるのはありがたいです。
――ちなみに、3人は初めてアルバムを引っさげたツアーも経験しましたね。
Yu-Ki : ありがたいことに、どこでライヴをしても毎回良い空気感で歌えるんですよ。それはお客さんに支えられている部分が大きい。
――じゃあ大盛況な感じで。
Yu-Ki : そんなことはなくて……。「どこでライヴをしても人って集まるでしょ」と思っていただけてる方がいるんですけど、実は僕らや他のアーティストも含めて、お客さんが入りきってない会場ってたくさんあるんですよ。
――正直ですね。
Yu-Ki : そこは隠さないで、逆に伝えていったら良いんちゃうかなって。今日は11月7日ですけど……ぶっちゃけた話、11月15日のZepp NAMBAは2階席ガラガラまで埋まり切っていないんですよ。そのことは僕らもツイッターで告知するつもり。
――会場を埋められない状況を伝えるのは辛くないですか。
Yu-Ki : でも、ライヴに来た人はわかるじゃないですか。理想と現実をしっかり受け止めることが大事やと思うんですよ。「もっと頑張ってお客さんで埋められるようにするから!」とか「身近で僕らのライヴに来れそうな人がいたら呼んでみてよ!」って言えばいいんですよ。まだ隠す時じゃないと思う。だって、まだステップじゃないですか。
――それこそ路上ライブを始めた当初は突っかかってくる人がいたり、酔っ払いにCDをメチャクチャにされたこともあったんですよね。
Yu-Ki : そんなこともありましたね。
――音楽のクオリティだけを上げるんじゃなくて、人に聴いてもらう環境を作ることから始めた3人なので。メロフロートの積み重ねを見ていると、背中を押される思いです。
Yu-Ki : 実は……音楽のクオリティを上げる方法は知ってるんですよ。
――えっ、どうすればいいんですか?
Yu-Ki : それは人間力を上げることやと思ってて。歌うのって人じゃないですか、だからこそ人の中身が上がっていかないと、どんな歌を歌っても伝わらないと思うんですよ。逆に人間として磨かれている人は、どんな歌を歌っても聴く人に刺さると思います。
――みなさんは人間力があると思いますよ。
Yu-Ki : いや、まだまだっす。
KENT : 全然薄っぺらいので僕らは。
Yu-Ki : それに僕らはどんだけ褒められても「まだまだです」って言っちゃうタイプなんですよね。でも、そうやって言っていただけるのは素直に嬉しいです。
――過去に「僕らのことはいくら悪く言われても良いけど、お客さんのことを悪く言うヤツは許さない」って話してましたよね。
Yu-Ki : ああ! 言ってましたね!
――そこをちゃんと口にできるのは、すごいと思います。そういうのを人間力って言うんじゃないですか?
Yu-Ki : 僕らは別に何を言われても気にしないですよ。音楽を好まない人に「なんで僕らの音楽を好きにならないの?」って言っても、それは違うじゃないですか。だけど、僕らの音楽を好きでいてくれている人は、生活の一部にしてくださってるんですよ。そこをけなすなよって思いますね。それは許せないです。
――その怒りはどこかへぶつけるんですか。
Yu-Ki : 怒りの矛先はけなした人に向けるんじゃなくて、結局自分たちに返ってくるんですよ。そういう人たちを認めさせられてないから、ファンの子たちに残念な思いをさせてしまう。だから、多くの人に自分たちの音楽を認めてもらうようになることが、関わってくれた人たちのためになるんやろうな、と思って。
前田太尊になるにはどうすれば良いか、常日頃から考えてます
――音楽を聴いてても、今日お話をしていても3人って本当に嘘をつけない人だな、って思いました。
DJ KAZUMA : ありがとうございます。
――ファンの方がメロフロートについてツイートしている文章を読むと「助けられました」とか「救われた」って書いているのを頻繁に見かけるんです。今作をリリースすることで、その幅がもっと広がれば良いなと思ってます。
Yu-Ki : 普段そんなことを中々言われないので……嬉しいです。
――最近は男性ファンも増えた印象ですけど、どうですか?
Yu-Ki : 特に飾る部分がないので、そこが男性にも好きになってもらえる理由ですかね。僕は最近『ろくでなしBLUES』を読み直してて。前田太尊になるにはどうすれば良いか、常日頃から考えてますね。
――答えは出ました?
Yu-Ki : 出ないっす! ひとつ出た答えは「これは漫画や!」ってこと(笑)。
――手に取った時点で気付くでしょ。
Yu-Ki : 前田太尊が(タバコの)ラッキーストライクを吸ってたんで、僕も吸ってみたり。読み進めていくうちに前田太尊が禁煙したので、僕もやめてみたり。
KENT : めっちゃ影響されてるやん。
Yu-Ki : 『北斗の拳』も好きで読んでて。人間って潜在能力の3割しか出せていないって説があって、残りの7割を引き出すためにどうしたらええんやろうって考えてますね。
――漫画の話が出ましたけど、僕もメロフロートに対しては近い目線で見てますよ。路上ライブから始めて、いろんな試練をクリアして。『ON THE ROAD』のツアーファイナルに選んだZepp NAMBAは、インディーズ時代の最後にツアーで歌った場所じゃないですか。そういう巡り合わせとか、階段を駆け上がっていく3人の活動を見ていると、少年ジャンプみたいだなって。
KENT : そうっすね、ヒストリーはあると思います。
Yu-Ki : ストーリー性は確かにあるなぁ……。タイミングが良いんですよね。別に狙ってそうしたわけでもないし、Zepp NAMBAを押さえられるかって運なので。そういう運とタイミングに助けられてる気がしますね。
――しかも『ON THE ROAD』のツアーが終わったら、今作のリリース記念イベントがあって、年末はワンマンライヴをやって……今年のメロフロートは相当忙しいですよね? 大丈夫ですか?
DJ KAZUMA : ヤバイっすね。月に1日休みがあるかないかですもん。
Yu-Ki : あるかなぁ……。
DJ KAZUMA : 11月はないですね、10月も休みなかったか。
Yu-Ki : スケジュールは一丁前です。ただ中身をついてこさせたいって、ライヴの本数を重ねる度に感じます。数字とかリアルなシチュエーションに遭遇する機会が多いわけじゃないですか。だからこそ、1回のライヴにいろんな人を呼ぶためにどうするか、とか。そもそも知名度がないから、分母が少ない中でいろいろ取ろうとしても難しいけど母体を増やしていきたいと思います。
――最後に2017年は3人にとって、どんな1年でした?
Yu-Ki : この作品は僕らにとって初めてのアニメタイアップなんですよ。だから、この作品をリリースしてどうなるか。今年も残り少ないですけど、ここからですね。
KENT : 僕らの2017年はまだ終わってないです。
――ありがとうございます。じゃあ、次回は持久走インタビュー?
KENT : そしたら一緒に走ってもらいますよ。
【メロフロート リリース情報】
『僕は走り続ける』
発売日:2017年11月15日(水)
通常盤
【CD】AICL-3437 1,000円(税込)
期間生産限定盤
【CD】AICL-3438 1,200円(税込)
※『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』描き下ろし絵柄デジパックジャケット
(通常盤CD収録内容)
01. 僕は走り続ける
02. 僕だからこそ君にあげられるもの
03. 僕は走り続ける -Instrumental-
04. 僕だからこそ君にあげられるもの -Instrumental-
(期間生産限定盤CD収録内容)
01. 僕は走り続ける
02. 僕だからこそ君にあげられるもの
03. 僕は走り続ける -Instrumental-
04. 僕だからこそ君にあげられるもの -Instrumental-
05. 僕は走り続ける -TV Size ver.-
【メロフロート ライブ 概要】
リリース記念イベント『メロフロートは走り続ける~メロフロートだからこそメロフローターにあげられるもの~』
◼日程
日時:2017年11月16日(木)/場所:タワーレコード梅田NU茶屋町店/開演19:00〜
日時:2017年11月17日(金)/場所:HMV栄/開演19:00〜
日時:2017年11月18日(土)/場所:イオンモール福岡 1Fイーストコート/開演13:00~
日時:2017年11月18日(土)/場所:キャナルシティ博多 B1F サンプラザステージ/開演16:00~
日時:2017年11月19日(日)/場所:タワーレコード渋谷店 4Fイベントスペース/開演12:00~
日時:2017年11月19日(日)/場所:タワーレコード横浜ビブレ店/開演18:00~
日時:2017年11月26日(日)/場所:デューク高知/開演12:00~
日時:2017年11月26日(日)/場所:デューク松山/開演19:00~
日時:2017年12月1日(金)/場所:タワーレコード難波店/開演19:00~
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