SEBASTIAN Xのヴォーカルとして知られている永原真夏は、2018年、ソロ名義として初のフルアルバム『GERAT HUNGRY』をリリースし、ツアーや自主企画イベントを成功させ、あらたな一歩を踏み出した。なかでも、自主企画『HOME GIRL』が好評だ。
『HOME GIRL』は、内装から衣装、楽曲構成やアレンジを永原自身がプロデュースするイベントで、2018年7月に第1回公演が東京・南青山MANDALAと京都・きんせ旅館で開催された。テーマは「部屋」。両公演ともにチケットはソールドアウトとなり、9月17日には東京・晴れたら空に豆まいてで第2回公演も開催(テーマは「アジア」)。いずれもアットホームな雰囲気で、普段とひとあじ違う演出などが評判を呼んでいる。11月17日には第3回公演も行われ(テーマは「銀河」)、年明けには第4回公演の開催も決定している(テーマは「みえないちから」)。
では、『HOME GIRL』とは、どのような経緯でうまれたイベントで、永原にとってどんな位置付けにあるものなのだろうか。そもそも、「SEBASTIAN X」や「音沙汰(おとさた)」といった彼女が抱える他のプロジェクトとの違いは何なのだろうか。永原へのインタビューを通して、その全体像を浮かびあがらせてみる。
Photography_Yasuyuki Kimura
Interview & Text_Sotaro Yamada
『HOME GIRL』のはじまり
――2018年7月に第1回が開催された自主企画『HOME GIRL』は、11月17日で第3回を数えました。この公演を始めようと思ったのはいつ頃で、そのきっかけが何だったか、というところから話を聞きたいです。
永原 : 始めようと思ったのは、ちょうど2018年3~5月の、『GREAT HUNGRY』リリースツアー中でした。音楽をする中で、ずーっとやってきているライブを、自分のイマジネーションやスタッフのアイデアにもっと近づけてもっともっと作ってみよう、と思ったのがきっかけです。
――単発ではなく「定期音楽会」にしようと思ったのはなぜでしょう?
永原 : 回を追うごとに変わっていくさまをお客さんと共有できたら、会場全体が共に成長する怪獣みたいになれるかな?と想像しました。せっかくやるなら余すところなく作り遊び尽くしたい、トライとエラーの精神です。
――『HOME GIRL』という名前の由来は何ですか?
永原 : 『HOME GIRL』は〝親友〟という意味です。自分の音楽やステージが、ばらばらの日々を過ごす人々が辿り着いた会場の中で、ひとつ、親友であれたらいいなと思い名付けました。
――“親友”ですか。
永原 : ライブにいらっしゃるお客さんの8割が女性なのですが、男性のお客さんからSNSで「まなっちゃんの音楽は僕にとって親友のイメージ」とメッセージを頂いて、それってなんだか素敵だなあと思った体験を経て、年齢や性別など、あらゆるボーダーを越えるキーワードかもしれないな、という想いも込めました。
――それは素敵ですね。お客さんの言葉がヒントになっているというのは、永原さんのライブ特有の親密感を反映している感じがします。
永原 : お客さんの意見を取り入れよう!と積極的にしているというよりは、自然と入ってくるかんじに近いです。ふと、言われたことを思い出したり。
「自分の世界へお招きする」
――永原さんは以前より、「自分の家にお招きするようなライブが理想」と語っています。その理由は何でしょう? 小さな会場にこだわりがあるんでしょうか。
永原 : それは『HOME GIRL』第一回目のテーマが〝部屋〟だったので、そのライブの説明として話したのを聞いてくださっていたのかな、と思います。
――あ、そうです。『GERAT HUNGRY』ツアー最終公演のMCでそうおっしゃっていました。以前から語っていたわけではないんですね。
永原 : そうなんです(笑)。「家」という言葉や意味に固執するつもりはなく、例えば「家」の部分を、「銭湯」「宇宙」「ふるさと」「旅」「物語」「夢」「胃袋」「旅」……など、言い換えても良いと思っていて、総じて『自分の世界にお招きする』という意味です。そして、その言い換えられる部分が、毎回のテーマとなります。
――なるほど。2回目は「アジア」、3回目は「銀河」、4回目は「みえないちから」、これらすべてが永原さんの世界を表すキーワードのようなものになっているんですね。4回目の「みえないちから」と、「胃袋」というのが特に気になりますね……(笑)。
永原 : 距離感や会場の広さなどは、それぞれに良さがあるので、広い・狭い、近い・遠い、どちらかに執着や拘りがあるわけではありません。ただ、『HOME GIRL』の会場や公演を更に大きくしていくことは、いまのわたしの、わくわくしている通過系目標地点です。
ソロ、SEBASTIAN X、音沙汰。それぞれの違いは?
――永原さんはおもに3つのプロジェクトを掛け持ちしていますよね。「永原真夏+SUPER GOOD BAND」、「音沙汰」、そして「SEBASTIAN X」。この3つは永原さんのなかでどういう区別があり、永原さんにとってどんな位置付けなんでしょうか?
永原 : それぞれ変化していくのですが、2018年末の現段階でいうと、まず永原真夏ソロは、自分がやりたいこととやるべきことをまるっと含めて、きらきらした場所へ汚れながら一人で向かう場所、というイメージです。時間も労力も一番費やして作っています。SUPER GOOD BANDはソロのバックバンド名で、ライブでも制作でも沢山パワーをくれる、とっても頼もしく、やさしいバンドです。
(永原真夏『あそんでいきよう』MV)
永原 : 一方、SEBASTIAN Xは、メンバー4人の主張を優先してつくっています。長くやっているバンドですね。音沙汰は、かなり気まぐれに、楽しくやっています。
(SEBASTIAN X『サディスティック・カシオペア』MV)
(音沙汰『ホームレス銀河』MV)
永原 : この1~2年、3つの活動を並行することを初めてやってみて、色々やるのはあまり向いていないな~と思ったので、来年からはその時期で、ひとつにピントを合わせて集中してやっていこうと思っています。
「天体には人の寂しさが詰まっている」
――今回開催された『HOME GIRL3』で、永原さんの曲には意図せず銀河のことを歌っている曲が多かったことが発覚しましたよね。これまで銀河について多く歌ってきた(もしくはモチーフに取り入れることが多かった)のは、自分ではなぜだと思いますか?
永原 : ずーっと夜型人間なので、夜に空を見上げることがたくさんあったからだと思います。お店もあまり空いてないし、みんな眠ってしまうし。そんなとき起きているのは星や月や風や暗闇くらいなもので、もしかして、自分のいる場所は本当はあっちなんじゃなかろうか、と思ったりします。人が何千年以上も想いを馳せ続けた天体には、人々の寂しさが詰まっているんだと思います。
――『HOME GIRL4』の開催がすでに決まっています。この定期音楽会は今後も続いていきますか?
永原 : 続いていくので、楽しみにしていてほしいです。なんなら永原真夏なんて知らないよ、ていう人でも、来たらとっても楽しめる音楽会にしていこうと思っています。
ライブ情報
SEBASTIAN X結成10周年企画第三弾
「ワンマン X 」
2018年12月23日(日・祝)渋谷WWW X
開場 : 17:00 開演 : 18:00
前売 : ¥3.300 (+1d)
出演 : SEBASTIAN X(ワンマン)
チケット情報
・ぴあ Pコード:127-587
・ローチケ Lコード:71320
・e+ http://eplus.jp/sebastianx-wwwx/
永原真夏主催 定期音楽会「HOME GIRL 4」
“爆音編”
2019年1月14日(月・祝)京都nano
開場:18:00 開演:19:00
前売:¥3,500
出演 :永原真夏+SUPER GOOD BAND / +共演者後日発表
2019年1月20日(日)東京 東高円寺二万電圧
開場:18:00 開演:19:00
前売:¥3,500
出演:永原真夏+SUPER GOOD BAND ワンマン公演
“アコースティック編”
2019年1月13日(日)京都 きんせ旅館
開場:18:00 開演:19:00
前売:¥3,500
出演 : 永原真夏+SUPER GOOD BAND / 坂口喜咲(ex.HAPPY BIRTHDAY)
2019年1月27日(日)東京 吉祥寺曼荼羅
開場:18:00 開演:19:00
前売:¥3,500
出演:永原真夏+SUPER GOOD BAND ワンマン公演
※曼荼羅公演のみ完売
全公演チケット情報
永原真夏officialメール予約
manatsu.info@gmail.com
公演名、お名前(読み仮名)枚数をご明記のうえご予約下さい。
永原真夏
オフィシャルサイト
SHARE
Written by