LHW?所属のトラックメイカーMadogarasuの楽曲が使用された海外向けに制作された祭りPR動画
ーー基本的な話に立ち返ってしまうのですが、なぜ音楽とアートに特化したレーベルになったんでしょう?
Paranel 結局は、僕の心の中っていうことなんでしょうね、僕自身の特性が出ているんだろうなと。
ーー今回お話しを伺う上でいろいろと考えた時に、LOW HIGH WHO?すらもParanelさんの一つの作品なんじゃないのかな?と思えたんですが、その意識はいかがなんでしょうか?
Paranel その意識はあります。他のメンバーからも言われますし、YouTubeにアップしたMVについてのコメントとかを色々読んで、Paranel自身の創作性がLOW HIGH WHO?の中でかなり重要な位置を占めているんだよ、と教えられたりもして。
ーーそういった中で、2014年にレーベル方針を<映像、出版を交えた総合芸術プロダクション>へと一気に変えたわけじゃないですか。この方向性に変えていこうと思えた理由やきっかけはなにかあったんでしょうか?
Paranel 自分はこの10年近い間でいろんなものをクリエイトできるようになっているのに、それを発信しないでどうするんだ、なんで音楽レーベルという形で自分をセーブしているんだ、コントロールされてしまっている自分がすごくイヤだなと思えたのがきっかけなんです。グッズもCDと同じくらい売れているし、なにより音楽やアート以外のアーティストも自然と集まってきていて、やってみようと決断できました。
ーーレーベルショップや裏方として色々と作ってきたことが自信になって、1つのプロダクトとして成り立つのではないか?ということですね。
Paranel ええ。いま考えているのは、キャンバス生地をCDに入れられるようなケース型に仕上げて、アーティストの方に絵を描いて貰い、特殊パッケージ/オリジナル一点モノのCDとしてみたりとか。いま芸術家が作るハンドメイドのプロダクト製品、商品に注目が集まっているように思えていて、とあるブランド店でアーティストさんが直に描いた服が売れていくのを見て、ついにこういう時代がきたかと思えたんですよ。手作りのものに需要がある、時代とは合わないかも知れない、でも売れるか売れないかはさておき、意味があるなと思っているのでやりたいですね。
ーーやはり外からの影響を取り入れていく流れでもあるんですね。
Paranel いつでもそうですね。いろんなものを見てきて、なんでこういう風になったんだろう?と考えるのが好きですし、じゃあ自分には何ができることのなかで形にしたい、そういうのが好きですしね。
ーーそういった意志や熱量に影響を与えたものはありますか?
Paranel Anticonという海外のレーベルには影響をすごく受けました。アートの雰囲気も好きだし、やっている音楽も好きですし、すごく影響をうけました。
ーーいまのParanelさんに見えているビジョンやLOW HIGH WHO?の今後はどうなっていくでしょう?
Paranel うーん…LOW HIGH WHO?を終わりにしよう!とはいつも思ってますよ。僕らは常に必要な存在ではないだろうし、何者にも縛られないような表現力が僕らのウリではありますが、いつ消えても良い存在だろうと思っているんです。なので、今年なにやろうかな、今年で辞めるしなーなんて軽く思いながら過ごしてます。所属アーティスト個々には野心がメラメラとあるのは確かで、ドンドンと背中を押していきたい気持ちもありつつ、すーっとフェードアウトしていってもいいかな?と。
ーーでもすごく矛盾しているんですよね、LOW HIGH WHO?は終わらせたいんだけど、何かを作りたい!という欲求や創作意欲は出続けている、外からの影響を取り込んで一つの作品をアウトプットしていくことをやめる気がないと。
Paranel そうなんですよね。キングオブメンヘラかもしれないですね。結構周りの人も大変じゃないかな、みんな僕に振り回されているだろうし。
ーーその意味でいうと、このレーベルを10年間続けることができた情熱や理由に何か関係がありそうに思えます。
Paranel メンバーみんなと僕の関係性はすごく重要ですね。メンバーが作ってきた作品を聴いた時に、イマジネーションが物凄い勢いでトバーっと出るんです。僕自身もイマジネーションをたくさんを受けていますし、多分ですけど、他のメンバーも同じようにインスピレーションなどを受けて作品を作れていけている、上手い具合にサイクルがグルグルと回っているんじゃないのかな?と思います。
ーー今日伺っている話を合わせて考えていくと、LOW HIGH WHO?はParanelさんにとって一つの作品であり、他のアーティストとの関係性もあって非常に高いクリエイティヴィティを発揮できるフィールドとして成り立ってもいる。ここからは失礼ながらも想像の話ですが、ある意味ではLOW HIGH WHO?は完成した作品として成り立っていて、自分が深く参加しなくても成り立ちつつすらあるとお考えで、先ほどおっしゃっていた「LOW HIGH WHO?を終わらせたい」という言葉の裏には、Paranelさんの中でもう一つのレーベルを作ったり、大きなプロダクトを動かしたいという気持ちがあるんじゃないでしょうか?
Paranel ……すごいですね、よく分かっていただけたというか、よく気づきましたね(笑)。まだまだ構想段階で誰にも言ってないようなレベルですが、そういったことはいくつか考えていました。ただあまりにも大きな構想なので、どんなレーベルを作っていくかどうかは、今年の秋にもまた新しい人がLOW HIGH WHO?から出ますし、今後の僕らの動きを見ていてください。
Paranel
1981年生まれ、静岡出身、東京在住。芸術家と音楽家の顔を持つ。
2005年にNEL HATE名義「動物達の演奏会」を発表後、2006年にLOW HIGH WHO?プロダクションを設立。
WEBやパッケージデザイン、ミックス、マスタリング、映像など作品に纏わる物事を全て一人でこなすことで新しいレーベルモデルを完成させ、不可思議/wonderboy、daoko、Jinmenusagi、GOMESSなどをプロデュース、輩出させた。
2014年には初の自身のフルアルバム「タイムリミットパレード」がリリース。同年にはアニメのSTUDIO4℃作品「Tuzki : Love Assassin」の音楽全編を担当。NYのタイムズスクエアで公開された。
2015年に公開された「アリエル王子と監視人」のサウンドトラックも手がけた。
多様な表現で常に発信している。
Paranel / COASARU(@Paranel)さん | Twitter
LOW HIGH WHO? PRODUCTION
南米のインディオの言葉で「愛している」を意味する「ローハイフー」
アートディレクターParanelを中心に普遍的な「ぼくたちの今」を込めて 世界に届けるクリエイティブ・コミューン。
LOW HIGH WHO?オフィシャルサイト
ニューアルバム『オールドテープ』
2016年6月23日(木)発売
LIIP-1524 / 2,000円+税
[ 収録楽曲 ]
01. 温度
02. 嫌になる
03. 潜水艦
04. 映写機
05. 独房
06. 青い人
07. アパートメント
08. 四季
09. おばけの時間
10. パーティドレス
11. TWO
12. バイバイ
13. 川辺
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