東京・大阪 二つの「シーン」 ISSEI & KEN THE 390のファーストコンタクト
――今日は貴重な対談の場なので伺いたいんですが、ISSEIさんだったら東京のシーン、KENさんだったら大阪のシーンにどんな印象を持ってますか?
KEN THE 390 : 大阪は…やっぱ濃い人が多いですよね。あとは韻踏合組合とSHINGO☆西成がいる。相当キャラクターがしっかりないと生き残れないんだろうなと思います。大阪は悪い意味じゃなくて“狭い”と思っていて。少し活躍すると先輩と同じステージになると思うから、そこでいい影響を受けるだろうなと。逆に東京はけっこう有名になっても、(ラッパー同士が)会わないってことがザラにあるんですよ。例えばジブさん(Zeebra)に会わないままCDがめっちゃ売れてる人だっているし、そういうことが起こりえる。ただ、大阪である程度活躍して、韻踏合組合やSHINGO☆西成とステージが被らないってことはないんじゃないかな。そういった意味で、シーンの中での関係がより密なのは大阪なのかなって思います。
ISSEI : いうても大阪はイベントも東京に比べたら少ないですしね。ただ大阪の若手は、韻踏とかSHINGOさんみたいになりたいわけではないと思うんですよ。キャラ濃すぎるからなかば諦めてるというか、なので東京のラッパーに憧れてる人も多いんじゃないですか。でもそれってたぶんYouTubeがあるからなんですよね。昔と違って動画で東京のシーンもたくさん見られるので。
KEN THE 390 : フリースタイルはやっぱり大阪は上手い人が多いなと思います。
ISSEI : Rとかじょう、Reichiとかも東京へ巣立ってしまうような寂しさもあり…まあ大阪はレゲエの影響力が強いっていうのもありますね。自分にとっても東京は憧れの街です。
――あとはふたりの出会いについても伺いたいんですが、最初に会ったのはいつごろですか?
KEN THE 390 : 最初は熊井吾郎からだよね。
ISSEI : そうですね、熊さんとイベントやってる時に「KENさんだよ」って紹介されて、「存じてますよ」って感じで。そのあとにうちのレーベルにKOPERUっていうのがいるからPV撮ってくれないかって依頼を受けて。もちろんKOPERUのことは知ってるけど、知り合いではなかったんですよ。
全員 : へーーー。
ISSEI : いやもちろんコッペパンのことも知ってましたし、イベントもめっちゃカブるんですけど、いかんせんKOPERUがめちゃめちゃ人見知りなんですよ。控え室いっしょでも挨拶してこなくて。
KEN THE 390 : フフ…いま考えるとひどいやつだよね。
ISSEI : なんか俺も意地になって話しかけなくて。それでPVを撮るのが決まって、最初アメ村でミーティングしようってKENさんが来てくれて。KOPERUと俺ふたりでいいはずなのに、もう(KENさんが)親ですよね。でめっちゃ覚えてるんですけど初めましてのときに、KOPERUがKENさんの後ろにちょっと隠れてたんですよ。
全員 : ハハハー!!!
ISSEI : マジかよコイツと思って。めっちゃ気ちっちゃいやんて。あのときKOPERUは人生初スタバだったらしいですよ。でそのあとにKENさんの『無重力ガール』のPVを撮らせてもらって…そこからだいぶ撮りましたね。最近だと『真っ向勝負』のPVがけっこう当たって。あれ以降、『真っ向勝負』撮った人って形でも依頼が来ますし…KENさん様様です。
(KEN THE 390『無重力ガール』)
(KEN THE 390『真っ向勝負』)
KEN THE 390 : いえいえ。ISSEIくんはめちゃめちゃマルチなんでね。映像やってデザインやって、音楽やって、服つくって。クリエイティブなことを全部できるので。映像見ても差し込んでくれる字のフォントがいいとか、ちょっとした加工がいいとか、細かい部分のクオリティも高い。
ISSEI : 今日はよー寝れるわー。
KEN THE 390 : フフフ…でもほんといないんでね、ここまでマルチな人は。
ISSEI : ありがとうございます。
音楽としてのHIPHOPの時代
――少し話は変わるんですが、長年HIPHOPシーンを見てきたお二人に聞きたいことがありまして。2016年はフリースタイルバトルブームによって、日本のHIPHOPを取り巻く環境が大きく変化した年だったと思います。激動の2016年を終えて、率直にどう思いますか?
KEN THE 390 : 僕はデビューして10年以上経って、いまが一番いいときだと思ってます。なぜかっていうと、いまはラップ自体に興味を持つ人が飛躍的に増えたから。これまではラップに対して多くの人が“背もたれかかってる”状態だったんです。ただいまは聴く耳になってる人が増えているので、そうなってくると良さを説明しやすいし、聴く気になってる人に伝えるのって楽しいじゃないですか。だから逆にいまこそしっかり発信しなければいけないんじゃないかなって思います。AKLOやSALUが出てきたぐらいから、イケてれば一気にシーンの中心に行けるようになったし、さらにKANDYTOWNやBAD HOPとかクルーでも若手がどんどん出てきてる。去年はバトルが盛り上がった年だったけど、今年は去年の勢いだったり、投資を受けてカタチにする人がいっぱいいるはず。ようやく、アーティストとか楽曲が日の目を浴びるんじゃないかな。
ISSEI : たしかに…今年っすね。去年はブームだったですけど、B-BOYたちにとっては“準備期間”だったのかもしれないっすね。
KEN THE 390 : 余裕があるとHIPHOPに投資してくれるオトナが増えてくるからね。そうなればもっといい時代が来るんじゃないかな。
――HIOHOPシーンの人にインタビューして思うのは、「誰も浮かれてないな」ってことなんです。
ISSEI : たぶん“氷河期”を超え…そうって感じだからでしょうね。ここを逃さんみたいな。ただし大事なのは「お客さんにしっかり伝えること」ですよね。結局フリースタイルバトルでHIPHOPの扉を開けた子らは、やっぱイベントで見ててもバトルが終わったらトイレ行ったり、バーカン行ったり、ケータイいじったりとかもまだ多い。その子たちの心をしっかり掴む音源であったり、ステージングだったりっていうのは課題なのかなと思います。
KEN THE 390 : それはもうクオリティに尽きると思います。やっぱ人が行っちゃうのは、ライブのクオリティが低いんですよ。YouTubeの再生回数が上がらないのも同じだと思う。バトルっていうのはルールができてるからいろんな“お膳立て”があるんですよ。それに対してライブはすべてひとりでつくり上げなければいけない。歌詞もトラックもステージングも、すべて含めてエンターテイメントを見せなければ、それはバトルの方がおもしろくなっちゃうんですよ。ただBASIくんやSHINGOさんが出てきたら誰も帰らないし、バトルに負けないクオリティを見せてくれるし、なんなら超えてくる。そういうところをみんなで目指していかないといけないなと思います。
ISSEI : 俺もKOPERUといっしょに狙ってますからね。振り向いてくれた人たちをどう掴むかっていうのは常に考えてます。でもそれってやっぱりKENさんが言ったようにクオリティに尽きるので。バトルを見に来たお客さんも感動させるようなライブを見せようといろいろ企んでますよ。そういう意味でも『MUTANT CAMP 2017』はライブもバトルもあるので入り口としてもいいイベントですし、興味を持ったお客さんの心をUターンさせない人たちを集めてるので、ぜひ楽しみにしてほしいと思います。
ISSEI×熊井五郎 [1/26 MUTANT CAMPより]
◼︎KEN THE 390
–Offial website
–twitter
【関連情報】
緊急告知!!!『MUTANT CAMP2017 in OSAKA』 BES,APOLLOが参戦!
出演は出演はBASI & THE BASIC BAND、KEN THE 390、SHINGO☆西成、HISATOMI、KOPERU & ISSEI 、RUDE-α、 ちゃんみな
『MUTANT CAMP2017 in OSAKA』
日時:2017年3月30日(木)
会場:梅田CLUB QUATTRO
開場 18:00 開演 19:00
出演予定:BASI & THE BASIC BAND / SHINGO★西成 & DJ FUKU / KEN THE 390 / HISATOMI / KOPERU & ISSEI / RUDE-α / 梅田サイファーVS 渋谷サイファー and more
前売り : 4,200円(税込)/当日:4,700円(税込) *スタンディング(整理No.付)、ドリンク代別途必要、3歳以上チケット必要
主催/企画/制作:
NTTドコモ・PARCO・レインボーエンタテインメント・BROTH WORKS
※ dポイントカードの利用登録(無料)をするともれなく全員にドリンク代500円をキャッシュバック!!詳しくは会場内特設ブースにてご案内致します。
※ 出演予定アーティストは変更になる場合があります。
※ 出演者変更に伴うチケットの払い戻しは出来かねますので、予めご了承下さい。
問い合わせ:梅田クラブクアトロ 06-6311-811
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