IAはバーチャルアーティストであると同時に、セレブリティ
――12月2日~4日に日本で初開催された「コミコン」に、1st PLACE社として出展されることとなった経緯をお教えください。
村山:今年、IAのライブ上映キャラバンを1月27日IA4周年記念の日に東京からスタートし、1年かけて世界100都市で行なっていたのですが、1年の締めくくりとして、もう1度東京に帰ってきたいと考えていたところ、とても良いタイミングでコミコンの主催者様から弊社スタッフにステージのお話しを頂いたのがきっかけでした。
――村山さんとしては、コミコンにどのような印象を持ちましたか?
村山:実は私達は、ニューヨークコミコン(NYCC)では何度かブース出展や上映会を行なってきています。確か最初の出展はIAデビューより随分前、2008年だったと思いますが……。そして2014年にはIAの上映会、2015年にはNYCCの冠で初のNY公演を開催しています。ですので、概ねのイメージは出来ていました。NYCCでは来場者の大半がアメコミキャラクターのコスプレで来場されていますが、一体日本ではどうなるんだろう?と思っていましたが、手の込んだアメコミのコスプレの方も結構いらっしゃったのでとても新鮮でした。
(コミコン会場のメインステージではコスプレファッションショーが開催された)
――メインステージで実施された「IA 1st Live Concert in Japan “PARTY A GO-GO“」のライブ映像上映には、リアルのライブに負けない音圧と映像の美しさがあると感じました。ライブ収録時点で既に、その後のライブビューイングや高音質・高画質でのパッケージ化を意識しシューティングにも細心の注意をされたものと想像しますが、いかがでしょう?
村山:はい、そのとおりです。このライブはIAのアーティスト像やブランディングを知っていただく最適な表現方法だと感じていましたので、実に1年半以上の制作期間をかけ「IAらしさ」を追求しました。クオリティの妥協だけはしたくなかったので、何度も何度もリテイクを重ねながら丁寧に細部までこだわり抜きました。そして制作時点から、このライブは何らかの形で世界中のファンに届けたいと思っていましたので、映像制作においても会場のライブ感をいかに鮮度高く伝えられるか?ということを注力しました。
――「PARTY A GO-GO」はIAさんにとって初のワンマンライブであると同時に、世界7都市をめぐる大規模なツアーであったと聞いています。そもそも、こうしたワンマンライブの企画が立ち上がった背景をお教えください。
村山:2012年のIAデビューの時から、3周年にワンマンライブを!という目標を設定していました。しかし、その時点ではこんなに早く海外ツアーを行えるとは夢にも思っていませんでした。
海外ツアーの道が開けたきっかけは2015年にLAのANIME EXPO主催のライブです。この時、主催側との契約に時間がかかり、券売できないまま開催まで約1ヶ月を切り制作も大幅に遅延して危機的状況でしたので、今回は見送るべきだという声も多く、物凄く悩んだのですが、結果的には勝負に出て良かったと思っています。キャパ2000人がSOLD OUTになり、当日は想像を超えるファンの熱量を肌で感じることができました。このライブの経験が、IAの海外ツアーのビジョンを明確に描けるようになったきっかけだと思っています。
(ちなみに、この時点ではPAGGのライブコンテンツはまだ制作途中だった為、MMDにて同じ内容をほぼ1ヶ月で制作しました!協力して下さったクリエイターの皆様には本当に感謝しています。)
――IAさんのCGは、モデリング自体の美しさが特徴的であると同時に最大の魅力の一つでもあると思います。特に髪の毛のなびき方や、ちょっとしたはね方に細かいこだわりを感じます。かなり髪の毛の表現に時間をかけていると思うのですが、いかがでしょう?
村山:細部のこだわりポイントにも気づいて頂けて嬉しいです!IAのヘアスタイルはとにかく髪が長くボリュームが多いのが厄介でして……。しかし、だからこそあえて髪束(の表現)を端折ったりしたくなかったんです。こんなに長い髪だからこそ繊細に表現できた時のポテンシャルが高くなると。結果、制作チームの皆さんには相当なご苦労をおかけしたと思いますが、彼らが私達の意図を理解して細部までこだわり抜いて下さったからこそ、IAらしい上質感、繊細さが表現できています。
(IAのヘアカラーと衣装には統一感があり、ファッション面へのこだわりを感じる)
――ライブ衣装に抜群のセンスの良さを感じます。アッシュの髪色にアクセントとして入っているピンクと、衣装の色味やギターのカラーがきちんと揃えられていたり、会場で配られたペンライトと色が揃っていたり。IAさんの衣装はどのように決められたのでしょう?
村山:ありがとうございます。IAはヴァーチャルアーティストであると同時に、セレブリティでありたいという思いがあります。ですのでステージ衣装も、アニメや漫画の延長線上の「衣装」というよりは、リアルなファッションシーンをベースにおいています。今回のライブ衣装は、ライブ全体の構成や演出、楽曲と密接にリンクしています。IAが会場に舞い降りてくるオープニングと、ライブを終えて舞い上がっていくエンディングの演出では「真っ白な羽と真っ白なミニドレス」、PARTY A GO-GOのキービジュアルは「ポップなパーティドレス」といった風に、実際のライブ演出の一部として衣装とスクリーン映像の世界観を決めていきました。
あと、ピンクのメッシュヘアは「IA ROCKS」というボイスソフトで歌う時のモデルで、まさにメッシュとギターの色を合わせました。
(激しくステージを動き回る際の、腰まで届く髪の動きが非常に繊細に表現されている)
次のページはヴァーチャルとリアルの融合をライブでも表現する
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