京都発のスリーピースバンド・Hakubi(ハクビ)は、結成からたった2年で大型フェスなどに呼ばれるようになり、入場規制がかかるほどの人気を見せていたが、ついにこの9月、1stアルバム『era』をしたがえてメジャーデビュー。片桐(Vo. & Gt.)、マツイユウキ(Dr.)、ヤスカワアル(Ba.)の3人に、バンド結成の経緯からアルバムの重要曲、今後の展望などを語ってもらった。飾り気のない素直な語り口から放たれるいくつものパンチラインに、近い将来の飛躍を強く予感させられるだろう。
Photography_Kiruke
Interview & Text_Sotaro Yamada
Edit:Miwo Tsuji
バンドを組んだのは「友達だったから」?
――まず結成の経緯について伺います。大学の軽音サークルでマツイさんが片桐さんに声をかけたことがはじまりだったそうですね。
マツイユウキ(以下、マツイ) : 当時の自分には将来やりたいことがなく、就職活動もする気になれなくて、唯一続いていたドラムで何かできたらと思っていました。片桐は同じ大学、同じ学科の友達で、サークルでも一緒にコピーバンドを組んでいたので、身近にいる友達だったから、というのが声をかけた理由です。
片桐 : ええっ! 「片桐がソロで弾き語りしてたのがめっちゃ良くて......」って時々言ってくれるからそれ期待してたのに、違うん!?
マツイ : もちろんそれもあるけど、友達と一緒に何かをするのが好きで学園祭でも放課後に集まってわちゃわちゃしたいタイプやから。歌がうまい人はそのサークルにもいっぱいいたけど、同い歳で、友達で、良い歌声を持っている、という3つがあったから声をかけました。
――おふたりはバンド結成以前から仲が良かったんですね。
片桐 : (マツイに)え、そう?
マツイ : なんかこんな感じ出してますけど、片桐は大学でいちばんの友達なんですよ。
片桐 : まあ一緒にライブ見に行ったりしてたしね。
マツイ : 京都から群馬とかまで遠征してたんです。
――それは、かなり仲良しなのでは? 片桐さんってツンデレなんですか?
片桐 : そうなんですかね?
マツイ : そうです(笑)。
――マツイさんに誘われた片桐さんは、その時どう思っていたのでしょうか。
片桐 : 私はその頃、自分の曲をあまり外に出していなかったんです。自分を出したら引かれちゃうんじゃないかと思っていて。そのライブでも、たしか自分の曲は1曲しか歌っていなかったと思います。でもマツイくんが「お前めっちゃいいやん!」って言ってくれて、その言葉がすごく頭に残ったんですよね。本当に本音で言ってくれているのがわかったから。自分のことをそんなに褒めてくれる人はいなかったからすごく嬉しくなりました。あの時のマツイくんの言葉がなければバンドはやっていなかったかもしれないです。
――勇気を出して歌ってみたら思ってもないような反応が返ってきたと。そのあと、マツイさんがヤスカワさんを誘ったんですよね。
マツイ : 一緒にコピーバンドを組んでいた子に声をかければ話が早かったんですけど、ベースの子は教職コースを取っていたから巻き込みにくかったんです。そんな時期に、アルくん(ヤスカワ)が「久々にバンドしたい」とツイートしていたのを見て、声をかけました。アルくんとは、ツイッターでフォローをしていたものの、実際には会ったことなくて。ただ、彼が昔バンドをやっていたことは知っていたので、思い切って連絡してみたのがきっかけですね。
ヤスカワアル(以下、ヤスカワ) : いきなりDMが来たんですよ。夜中の3時か4時頃に結構な長文で。そこに片桐のツイッターのリンクが貼ってあって、曲を聴いてみたら、良い曲だし、歌もうまいし、やってみようかなと。
マツイ : それで京都のスタジオ246で初めて3人で会ったんですけど、「はじめまして」「お疲れさまでした」みたいな感じで、超さっぱりしてました。
片桐 : 「知り合いの人誘ったわ」とか言ってたのに、いざ会ってみたら「はじめまして」とか言っていて。「えっ、知り合いじゃなかったの?」って思いますよね(笑)。だから3人とも頭下げて挨拶してました。
ヤスカワ : でも様子を見るような感じではなかったよな。普通にもう「バンドとしてやるか」みたいな感じで。試験登用みたいなのはなかった。
片桐 : ベースが入ってバンド活動を始められることがありがたかったから、試験登用というアイデアがなかった。
マツイ : 手続きみたいなのもなかったもんな。「バンド入ってくれますか?」みたいなやり取りもなかった気がする。
ヤスカワ : 違和感なかったよな。24歳になった今まったく知らん奴入ってきたらきついけど、あの時はそんなもんやと思ってたから。だんだん仲良くなっていきましたね。
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