ハグレヤギ、解散後の活動について語る
――ハグレヤギの解散後、こういう活動をしていきたいという見通しがあれば教えてください。
山脇:とても壮大で、スポンサーがいないと出来ない規模のものから現実的なレベルのものまでいろいろありますね。
まず現実的なものとしては、絵画、音楽をセパレートしない活動の一環としてZINEを作ろうと思っています。スタジオでいま描いている展示用の絵はそのためのものです――――絵はコラージュ等によるもので、今後もまだまだ数が増えていく予定です。絵を展示し、縮小版をZINEにして。CDも売ろうと考えて、いまデモを作っています。
展示もしつつ、ZINEでもあり、音楽でもあるという形にしたいなぁと。これはまだまだ小規模なプランではあるんですけど、安直なものでも何でもいいからまず作ることが大事だと思ってます。いまは良い意味で無の状態なので、他人に向けてというよりまず自分に向けて作るつもりです。
あと、アトリエ(※宝田スタジオ)もいままさに改装中です。あと漆喰を塗って、という感じで。漆喰塗るのも、CDのデモ作るのも、ZINE作るのも同列で大事なことですね。
環境を作るのって、すごく大事じゃないですか。
僕は大学生のとき、そのことを良く分かっていなくて。学生の頃、先生に「卒業した後に何が一番大事か、分かるか?」と聞かれたことがあって。その時の僕は、「描き続けることと、名作を生むことです」と答えたんですよね――先生には「馬鹿」って言われました。
先生の答えは「環境」でした。「環境ほど、得るのが難しいものはない」と――先生の言っていた意味が、身に染みて分かりますね。環境というのはアトリエのような空間だけでなく、人もそうですよね。環境を作るのも、環境を維持するのも本当に大変です。
でも、その環境を作れない人は一生這い上がれないんじゃないかとも感じています。だからこそ、漆喰塗るのは大事なんです。
ハグレヤギの「運命の出会い」
――ミーティアではインタビューした方に毎回「運命の出会い」を聞いていて。お二人の運命の出会いを教えて頂けますか?
山脇:すごく難しい質問ですね。いろいろなものに運命を感じているからなあ……。
小杉:幸せ者だなあ。私の運命の出会いは、ハグレヤギですね。元々、私は「よーし、バンドやるぞ!」って感じでもなくて。単に大学の軽音サークルに入って、部室で一人で練習してたんですよ。
そしたら、山脇が部屋に入って来て(ドラムに)「合わせても良い?」って聞かれて。その瞬間から、私の人生が狂い出したんです。
山脇:そしたら俺、運命の人じゃん!
小杉:いきなり入って来て、いきなり「合わせようぜ」って。「うわあ、変な人来た」みたいな感じでした。学生の時だったのでもう何年も前ですけど、私にとっては大きな出来事でした。喧嘩は多いですけど、ハグレヤギのメンバーのことは皆好きです。
山脇:芸術を学び始めたのが、高校三年生からなんです。中学生の頃、僕はグレてて。高校生になってからも、ほとんど何も考えていないような日々を送ってて。ただ、馬鹿なくせに「大学には行きたいなあ」と思っていました。
美術の先生だったか、親だったかに「あんた、絵をやってみたら?向いてるわよ」と言われたのを鵜呑みにして、始めたのが美術だったんです。絵だったら、勉強しなくても芸大やムサビに入れると思ったんですよね。それが「運命の出会い」と言いつつも、地獄の始まりでした。
四浪したんですよ、僕。十八歳から二十二歳という素晴らしい時間、大学入るまでの間を僕は半分は引きこもるようにして過ごしたんですけど、その時間に出会ったものが「運命」ですかね。
その時間が無かったら、いまのような物の考え方は身についてなかっただろうし。十八歳から二十二歳という時期は、もの凄くいろいろなことを吸収できますよね。そういう多感な時期に、ジャガイモを二日間見続けたりしていました。そうすると、ジャガイモがジャガイモに見えなくなってきたりするんですよね。
クリエイティブとは何ぞや、って答えも出ていないようなことですけどそれについて考えていること自体が楽しいです。僕にとっては、人と話す喜びを教えてくれたものもアートです。絵だけではないです。そういう時期に出会った人も、本も、言葉もとても大事なものです。村上春樹もRadioheadも、よりアンダーグラウンドなものも知ることが出来たのがその時期で。アートとしか言いようがないですね、僕にとっての「運命の出会い」は。
ハグレヤギは青春のすべてだった
――最後に2月12日のラストライブに向け、意気込みをお聞かせください。
山脇:最後は、気持ちよく(ハグレヤギを)終わりたいですね。僕等も、お客さんも。気持ちよく終わるために、ライブをします。
ハグレヤギは青春の全てだったし、アートと同じくらい人生を教えてくれた空間でした。そういう場所だったからこそ、きちんと終わらせます。
小杉:ハグレヤギをやらなかったら、出会ってなかった人がたくさん居ます。お客さんもそうですし、イベンターの方、ライブハウスの人、こうしてインタビューしてくれてる方もそうです。ハグレヤギは本当に自分の場所ですね。
一度、この五年、六年、七年に区切りをつけて、お世話になった方にありがとうございましたと伝えたいです。
Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA
ハグレヤギ ラストライブ
2017年2月12日(日)東京都 Shibuya Milkyway
【出演】
ハグレヤギ(oneman show)
open 18:00/ start 19:00
前売 ¥2500 / 当日¥3000
http://eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002210535P0030001
コード:71700
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