「見る」絵画ではなく、「見られる」絵画を描きたい
――山脇さんは現在、ペインターとしての活動を主軸においていらっしゃいますよね。
山脇さんの絵画には動物が頻出します。他の画家の方であれば、もっと画面に「動き」を付けそうなモチーフだと思うんです。でも、山脇さんは顔のアップを描き、その動物の動きや背景が描かないことも多いですよね。
山脇:「見る」絵画ではなく、「見られる」絵画を描きたいというのがまずあります。ここ(※宝田スタジオ)には動物の顔のアップの絵は一枚しか置いていないですが、個展をした時には真正面からの構図の絵だけを揃えて、ギャラリーの四方に張り巡らせたんです。普通は「自分が絵を見る」感覚だと思うんですけど、その空間にいるとぶわあっと凝視されているような感覚になって――それは僕が意図していたとおりのもので、やりたいことでもありました。
本日、東京駅丸ビル1階のアシュペフランスビジューで展覧会のレセプションが19時からあります。
是非遊びにきてください!
新作に変わってます。https://t.co/Xft2Sb4AmQ pic.twitter.com/ExwJYbtmRL— 山脇紘資(ヤマワキコウスケ/ハグレヤギ) (@YamawakiKosuke) 2016年7月9日
瞳に興味があります。動物を描いているんですけど、僕は別に動物が好きなわけではないんですよ。瞳を描きたいというのがまずあって、最初は自分のポートレートを描いていたんです。でも、それは(対象との)距離感が近すぎて、あまりうまくいかなくて。
動物を描くと良い距離感なんです。動物というのは、皆が共有できる一つの喩えです。自分の顔よりも、ライオンとかの方が(共有しやすい)。要は記号で、そこに対する思い入れは全然ないです。
制作中 pic.twitter.com/CFMsGGqPOx
— 山脇紘資(ヤマワキコウスケ/ハグレヤギ) (@YamawakiKosuke) 2016年5月8日
ただ、その代わりに先にも言った「瞳」への興味は本当に強いです。瞳って、無限の可能性があると思っていて。
禅の時に使う「円相」と、瞳の形は同じだと思ってるんです。宇宙の喩えでもよくいわれることですが、瞳、虹彩をずっとクローズアップしていくと無限の星のようになりますよね。で、その虹彩を更にクローズアップすると何があるのか……?キリの無い話になっちゃいますけどね 。
実家に帰って前に描いたフクロウを久々に観ようと思ったら明らかに無理があったので一枚で諦めた
四分割されていてもワンピースが2メートルある
合わさると4m×3.2m。 pic.twitter.com/ll6b3PiRw9— 山脇紘資(ヤマワキコウスケ/ハグレヤギ) (@YamawakiKosuke) 2016年3月17日
合わさるとこうなる pic.twitter.com/w2NSK725sA
— 山脇紘資(ヤマワキコウスケ/ハグレヤギ) (@YamawakiKosuke) 2016年3月17日
その先、どうなっていくかは僕にも分からないですけど「クローズアップ」というのは面白いことだと思います。
――禅の「円相」と瞳に合い通じるものを感じたということは、「円」にすごく興味がお有りなんですね。
山脇:そうですね。シンメトリーなものや円が好きなんですよ、すごくシンプルで。日本の国旗もすごく好きですし、蜂の巣も好きです。
僕はすごく不器用なんですよ。コラージュもするんですけど、シンプルなものを作っていて。あまり複雑なことをするよりも、一つのことに注力するほうが向いてるんですよね。シンプルなものを作り、そこから何かを読み解いていくという感じです。
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ハグレヤギが考える、規律と自由の重要さ
――皆さんがYouTubeにアップロードされている『oh life』の動画が、強く印象に残っています。山脇さんのアパートで、山脇さんが弾き語りをする中、メンバーの一人の方は床に寝ていますよね。小杉さんは本を読みながらコーラスを付けています。
皆が思い思いに振る舞うことが出来て、ひとりひとりの違いに寛容なグループなんだなと感じます。
山脇:それが結果、解散という結果を生んだんでしょうね。『oh life』の動画は、その後に起きることの予言だったのかもしれないです。人間ってあれやりなさい、これやりなさいって課せられて「これをやらなきゃいけない」となってくると非常に億劫ですよね。そういうのは出来るだけ排除したくて。ただ、難しいのはそういった要素が全くなくなると……。自由ほど恐ろしいものはなくて、全く自由な中でも、ちゃんとやれる人というのは本当に才能がある人です。
なにより、いい塩梅が大事なんだと思うんです。規律と自由の中で生きていくというか。僕も言う時は言いますし、時には「北風と太陽」の太陽のように振る舞ったりもしますし、何も言わない時は何も言わないです。
この一年半は、その塩梅をうまくコントロール出来なかったのかなって思いますね。
小杉:規律と自由は、ほんと大事だと思いますね。めちゃくちゃ喧嘩も多かったですし。
山脇:殴り合いもしたよね?
小杉:してない!塩梅が大事って言ったじゃん!だから、あなたの冗談もほどほどに――。
山脇:なんかうまいこと言って、話纏めてよ。
小杉:そう、こういうのがきっかけで喧嘩になったりしましたね。
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