DedachiKenta / Life Line
――こうして自分の言葉で歌うようになった今、表現者としての目的意識はどんなところにありますか?
Dedachi : 僕はすごくシンプルで、Peaceが好きっていうか(笑)。自分が聴いて励まされる歌しか作りたくないんですよ。だから、聴いていてなんかヘンな気持ちになる歌は作りたくない。あと、自分にとってのゴールとして、音楽がするべきことは、聴いてくれた人を励ましたりハッピーにさせることじゃないかと思っているので、自分も聴いてハッピーになれる歌を作りたい。それをいつも心掛けています。
――現在はLAで大学生活を送っているそうですが、大学の専攻も音楽?
Dedachi : はい。2年前くらいから、自分は音楽をやりたいし、音楽をもっと勉強したいからLAとかどうかなと考え始めました。大学には色々な科があるんですけど、僕はCommercial Musicといって、シンガー・ソングライターを育てる学科を専攻しています。
――大学で専門的に勉強するようになってから、音楽の聴き方は変わりましたか?
Dedachi : 変わりましたね。めっちゃ分析しちゃいます。「あの音はちゃんと処理していないからちょっと気持ち悪いな」とか考えたりして。ちょっと考え過ぎだと思うんですけど(笑)。
ハッピーであることを選ぶ、曲作り
――そしていよいよデビュー・アルバム『Rocket Science』がリリースされますが、率直にどんな気分ですか?
Dedachi : 1年間かけて作って、たくさんのことをやってきたので、それがこの1枚になるというのは、ちょっとシュール不思議な気分です。「現実なのかな?」みたいな感じですね、今は。これからもっとリアルになっていくと思うんですけど、ちょっとびっくりしています(笑)。
――このアルバムはDedachiさんの成長の記録だという印象を受けました。成長に伴う痛みや混乱と向き合う曲がたくさんあって。
Dedachi : そうですね。『Life Line』なんかはまさにそういうテーマです。混乱したり、不安になったり色々ある自分だけど、「このLife LIneにしがみついて前に進んでいく」というような希望がある歌です。『Alright』は自分に何回も何回も「It’s gonna be alright(きっとうまくいくから)」と言い聞かせている。そういう歌を書きました。
――じゃあ、少し気分的にダウンしている時に曲を書くことが多いんですか?
Dedachi : いや、ダウンな時に書くこともありますけど、歌を作る時に僕はいつも、“ただハッピーな歌”は作りたくないと思っているんです。「僕はハッピー!」っていう歌を悲しい人が聴いたら、どう思うのかなって考えるじゃないですか。だから「僕も悲しく思う時があるんだよ」とか、自分も完璧じゃないし、いつもハッピーなわけでもないけど、「僕はハッピーであることを選ぶ」というか、いつもそういうことを考えているよ、みたいなメッセージですね。
――そういう意味で、ひとつのテーマの下にストーリーを伝えている、一貫性のあるアルバムになりましたよね。シングル重視と言われる時代に、アルバムというフォーマットへのこだわりを感じさせます。
Dedachi : そうですね。去年曲をつくり始めた時はまだアルバムをつくろうというイメージは無かったんですけど。僕の中では常に“人生”というようなテーマがあったので、どんな曲をつくってもそういうテーマが入ってきた。だから結局アルバムにしてみたら、なんだかつながっちゃった……みたいな(笑)。『I’ll be fine』や『Rocket Science』はアルバムを意識し始めてから作った曲なんですけど、『Rocket Science』のポエトリー・リーディングもPlanning(カタカナのままでOK)してつくったものじゃなくて、最初はアルバム・タイトルの説明文のようなものだったんです。そのあとでアルバムの一番初めの曲を何にしようとかと皆で話していて、ちょっとシネマティックなイントロみたいな短い曲をつくってみれば?」というアイデアが出て。。そういう風に自然とテーマが合わさっていったんです。
20歳を迎え、次のステップへ
――ずばり『20』と題された曲が収められていますが、11月末に20歳の誕生日が控えています。タイミング的にこのアルバムは、10代の間にリリースしておきたかったんですか?
Dedachi : なんだろうな、「20歳になってから次のステップに行く」というような感じの作品を作りたいなと僕は思っていて。だから『Memories』みたいに、過去にお世話になった人たちに感謝の言葉を伝える歌を入れたし、『20』にもそういう面はあります。歌詞で“jumping into 20(20歳に飛び込む)”と言っているように、「これからも自分は頑張るよ。よろしくね!」みたいな歌ですから。
――サウンド面ではR&Bやジャズの影響が聴こえる一方、フォーキーなところもあったりします。制作中によく聴いていたアーティストと言うと?
Dedachi : よく聴いていたというか、KOSENさんと話していてよく名前が挙がった人は、トム・ミッシュとかホンネですかね。最近のクールなミュージシャンたちって、どういうことをしているのかな……みたいな感じで。僕はポップな歌を作りたかったし、そういうアーティストを聴いて影響されて作った曲もありますよ。『Step by Step』には一番影響が表れているかな。
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