美しい湖で知られる北海道・洞爺湖町で生まれ、今も札幌をホームに音楽活動を続けるシンガー・綾野ましろ。アニメ主題歌で知られる彼女の音楽は、儚さのなかに見え隠れする凛とした強さと透明感あふれる歌声で、多くのファンを魅了してきた。デビューから2年、満を持してリリースされる1stアルバム『WHITE PLACE』。綾野ましろの現在形と未来が見える、かけがえのない1枚に込めた想いと、彼女自身について話を聞いた。
このアルバムで「みんなの居場所」が
作れた気がしています
――デビュー2年目にして、ようやくフルアルバムをリリース。今の心境はいかがですか?
綾野 フルアルバムはデビューしてからのひとつの目標でもあったので、「やっと作れる!」と思いましたし、ファンの方からも「待ってました」という声をたくさんいただいて、とても嬉しいです。このアルバムのために作った新曲にも、すごく気合いが入りました。
――内容もとても豪華ですよね。
綾野はい。今までのシングル4枚、配信曲、コンセプトアルバムに入っていた曲も入っていて。この1枚を聴いていただくだけで、デビューから2年間の音楽の方向性も全部網羅できる、すごく盛りだくさんなアルバムになりました。ずっと「みんなの居場所を作りたい」と思いながら音楽活動をしてきたので、この1枚に詰まっているいろんな曲、いろんな歌詞の世界が、その居場所を作れたんじゃないかな?と感じています。
――そんなデビューしてからの2年間は、ましろさんにとってどんな時間でした?
綾野 約2年半ほど前、アニメ系の音楽雑誌の付録CDでプレデビューをさせていただいたときは、希望と同時に怖さもありました。そこから、正式にCDデビューをして、こうして今、『WHITE PLACE』が完成して……うーん、すごく、あっという間だったなと思います。
――そもそも歌手になろうと思ったのは、いつだったんですか?
綾野 すごく小さい頃、SPEEDさんが大好きで、島袋(寛子)さんのハイトーンに憧れたのが最初です。そこからいろいろな音楽を聴いていって、歌を仕事にしたいと思うようになったんです。中学、高校と進むなかで父親がとても応援してくれて、生まれ故郷の洞爺湖町を離れて札幌で音楽活動をするようになり、プロデューサー・安田史生さんとの出会いが、今の私へと導いてくれました。
北海道・札幌から音楽を届けることが
私にとっては、とてもナチュラル
――でも、普通ならメジャーデビューをきっかけに地方から上京する人が多いですが、ましろさんは今も札幌在住を貫いていますよね。それはなぜですか?
綾野 北海道には、バンドもいるしアイドルもいる。いろんな形で音楽活動をしている人がいるんですが、いわゆるメジャーデビューしてやっていく人がなかなか増えていかない現状があります。たしかに私もデビュー前、東京の音楽関係の方とお会いして、北海道に住みながら音楽活動をしたいというと、「それは難しいね」とか「そこまで面倒は見きれない」というように、とても冷たい反応をされることばかりでした。それが悔しくて、反骨精神というのかな?(苦笑) 札幌在住のままメジャーな音楽活動を続けていきたくて、道を探したんです。
――その途中で出会ったのが、安田史生さんだったんですね。
綾野 はい。安田さんも札幌にいながら音楽を続けていらっしゃるし、東京で活動されていたこともある方。安田さんのいろいろな経験を聞いて勉強させてもらい、私も頑張ろうと思ったんです。でも……頑なに北海道じゃなきゃダメ!というわけでも、じつはなくて。私はすごくマイペースなので、自然な流れで北海道にいるんですよねぇ……という感じなんです(笑)。
――ましろさんにとって、札幌に住んでいることがナチュラルなことだから、という結果論なんですね。
綾野 はい、そうなんです。北海道だから自然が大好き!というわけでもないし、大人になってからは虫も大嫌いだし、草を刈ったときのムッとする匂いも苦手だし……(笑)。でも、北海道で育ったからこその空気感みたいなものを、周りの人に感じとってもらうことはよくあって。
――分かります。ましろさんの音楽、歌声には、しっとりとした透明感と繊細さとスケール感が同時に漂っていて、すごく北海道っぽい。
綾野 あはは、そうなんですかね(笑)。でも北海道って開けっぴろげな人が多いですけど、私は自分の殻を守っちゃうし、人付き合いは苦手。だからこそ、音楽がすごく大事で。人と話すのが苦手は私が音楽で人と繋がれたことで、音楽に助けられました。でも最近は、音楽だけじゃなく、自分の言葉でちゃんと伝えていくことも大事だと思うようになっていってて。そこはデビュー2年で変わったことかも知れないですね。
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