お久しぶりです、ヘアメイクの安藤瞳です。
この企画では、わたしの好きな映画の感想をヘアメイクで表現してます。
今回紹介する映画は、「ゆれる人魚」(The lure)。
ふたりの少女に惑わされるキッチュで曇り空みたいな映画。
日本では2018年2月に公開され、2019年現在、Amazonプライム・ビデオでも視聴可能になったということでこれを機に撮影しました。
この映画のあらすじ:
海から現れた美しい人魚の姉妹が、1980年代をほうふつさせるナイトクラブを訪れる。セクシーかつワイルドな彼女たちは、一躍スターになるが、一人が美形のベーシストに恋をすると、姉妹の仲はたちどころに悪化し……。
引用:シネマトィデイ
「決してあなたを食べたりなんかしない。」
ハンス・クリスチャン・アンデルセンの人魚姫のお話の内容知っていますか。
脚を引き換え、声を失い、舌を切り、最終的に泡となる。
私は、そんな人魚が好きで。最近行った自分の個展のモチーフにもしていました。
感情優先で、白か黒。堕ちるも甘いも自分で選択する、めっちゃパンクでかっこいいじゃん人魚姫って。
そんな浅薄な理由で彼女たちの海に憧れています。
歌声で人を惑わせる人魚ですが、この映画ではアイディンティティの部分で人間に惑わされていました。
食すること、欲することにどこか臆病で、食することがまるで悪いことの様、人魚なのに。愛すること、憎むことにはむき出しで泳ぐ。美しく。
人間に恋する姉シルバーと人間を餌とみる妹ゴールデン。
しかも姉のシルバー、めちゃくちゃ顔のいいベーシストに恋するんです。
映画観てる途中で絶対あかんやんけって思うはずだし、結果もわかりやすい。そりゃそうよな、感。
人間や生活に対して前向きな恋するひとりと軽蔑と愛の葛藤で塞ぎ込むひとり。
それぞれの強い目から放つ甘い決断や深い欲望は、思春期のメタファーで。
“彼のため”なのか”自分のため”なのか、誤魔化しながらもみえなくなる盲目な姿は人間の初恋そのもの。
この人魚たちってとっても普遍的でもしかして私?って。
メイクはそんな彼女たちの尾びれと強い眼からこぼれる涙を表現しました。
陸の生活は、海からきたふたりには絶望と挑戦だったのかも。
それでもネオンが光る街や愛おしいあの人は輝いてみえたはず。
人を食べちゃうのも愛しちゃうのもしょうがないよね、初めてだし、の赤い口唇。
めちゃくちゃ生臭さくて誰も報われない、よくある恋愛模様を人魚がすべてをつかって魅せます。
わたしは普段真紅のリップを塗っているんですが、気を抜いて食事するとカトラリーが真っ赤に染まるんです。そんな時この映画を思い出す。
タバコやお酒、ナイトクラブ、ファーストキス。
初めてのことたちは、美しくて特別だけど勢いがありすぎてちょっとグレーなきもち。
でもどうか、泡にはならないでいてね。
使用コスメ
アイメイク:マジョリカマジョルカ/ラインマニアBK999、milcott/ローズバーガンディ、CLIO(クリオ)
プロ アイ パレット シンプリーピンク
リップ:innisfreeビビッドコットン インクティント 15 ヴィセ アヴァン マルチスティックカラー CACAO 6G ブラウンで口角を
ヘア:オイルをつけて濡らす
【Special Thanks】
モデル:アリスムカイデ https://www.instagram.com/arismukaide/
モデル、DJ、「MV女優」
「surrearis」アパレルブランド・ディレクター
撮影:浅野杏子 https://www.instagram.com/asn_kyk/
衣装:https://www.instagram.com/surrearis/
ヘアメイク・執筆:hitomiandoh https://www.instagram.com/he_to_mean/
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