福永的『鋼の錬金術師』推しセリフBEST3
<推しセリフ1>
「イシュバールで我輩は戦いから逃げました。己れの戦場に背を背けたのです。我輩は戦場に残ってその『間違ってるもの』と戦うべきだった!!」
(14巻『イシュバールの傷』より)
福永(浩) : 『鋼の錬金術師』で推しセリフを3つ選ぶのは本当に難しくて今でもまだ迷っているけど、まずは、アレックス・ルイ・アームストロングという軍部の少佐の言葉を紹介します。「剛腕」の名を持つ国家錬金術師で、中央司令部に勤務しているヒューズの部下ですね。ルイ・アームストロングは強くて心優しいキャラクターです。彼はイシュバールの戦争では優しさを見せてしまい、女性と子供を殺せなかったんです。それを思い出しながら言うセリフです。めちゃくちゃ良いセリフですよね!!
福永(誠) : シブい……。でも『ハガレン』のファンには良いチョイスだと思ってもらえそう!
<推しセリフ2>
「家族ごっこ。たしかにそうだ。あれは上に与えられた『息子』だ。息子だけではない。『大総統の座』も『部下』も『力』も全て与えられた。いわば権力者ごっこだ。だが、妻だけは自分で選んだ」
(第20巻『瞼の父』より)
福永(浩) : 大総統キング・ブラッドレイの言葉です。彼は軍の最高責任者で、事実上の国家元首です。7巻の段階で明らかになるんですが、実はこの人、ホムンクルスだったんです。しかもそれが明らかになる場面では、別のホムンクルスと戦ってるんですよ。めちゃくちゃ衝撃を受けるシーンですね。
福永(誠) : 味方だと思っていた人が敵だったもんね。
福永(浩) : キング・ブラッドレイは、ホムンクルスのなかで唯一、かつて人間だったホムンクルスなんです。だから時々人間らしさが見えることがある。僕が特に好きなのは20巻。血の繋がっていない人間を家族として与えられたことについて「家族ごっこ」だと言われる。それに対する彼の答えがこれです。カッコイイ!! カッコ良すぎだろ!! 背中越しに語ってくれる感じも最高!! 僕は推しキャラもキング・ブラッドレイです!! この連載を始めてから、自分が敵を好きになりがちだってことがわかってきました。
<推しセリフ3>
「愛だの悲しみだのと下らぬ言葉を垂れ流すな小娘。なめるなよ。あれは私が選んだ女だ。私とあれの間に余計な遺言など要らぬ」
(第26巻『神の御座』より)
福永(浩) : これもキング・ブラッドレイの言葉で、彼が死ぬ時の最後のセリフです。最後に妻に遺す言葉はないかと聞かれてこう答えるんです。カッコイイーーー!!! うわあ良いわぁー。
福永(誠) : その3つかぁ。確かに素晴らしいセリフだけど、王道ではないね。
――今回の推しセリフは全部おじさんのセリフですね。
福永(浩) : そうなんですよ。『鋼の錬金術師』はおじさんたちがみんなカッコイイんですよね。
福永(誠) : 「お父様」のあのセリフはどう?
「おまえ達人間は地を這いずる羽虫を見て『おろか』と思うか? 虫ケラが足掻いてもレベルが違いすぎて何の感慨もわかないだろう? 私がおまえ達人間に思うのはそれと同じだ」
(第54話『愚者の足掻き』)
福永(浩) : 君らしいね。今気付いたけど、そのセリフは『鬼滅の刃』の無惨さんに通じるね。
――ネットではミーム化している「君のような勘のいいガキは嫌いだよ(第5話『錬金術師の苦悩』より)」というセリフもありますよね。
福永(浩) : それはマコが号泣したシーンですね。マコは子供の頃から号泣しちゃう人なんですよ。僕は逆で、男の子だから人前で泣くことに対して恥ずかしい感覚があって、みんなで映画を観る時も涙をこらえてしまう。
福永(誠) : 僕はその横でボロボロ泣いてしまう。
福永(浩) : そういう素直なところが好きなんです。このセリフもすごいシーンなんですよ。初めて読んだ時はゾクッとしました。
漫画の話は、今日も尽きない
福永(浩) : 漫画に限らず、小学生の頃からこうやってマコと2人でいろんな話をしてきたよね。今でこそ彼もたくさん漫画を読むようになったけど、当時は共通して読んでいる漫画はそんなに種類が多いわけじゃなかったから、『鋼の錬金術師』と『NARUTO-ナルト-』がメインだった。
福永(誠) : 『NARUTO-ナルト-』は多頻度で物語が進んで、『ハガレン』は年に2回ガツンと更新されるから、これだけで漫画の話は尽きなかったよね。
福永(浩) : でも今はあんまり漫画の話はしないかも。最近はゲームの話が多い。今日も取材前から一緒にいて、ずっとポケモンやってたんです。この後はうちに泊まりに来てまたポケモンしますし、遊戯王カードもやります(笑)。
――小学校時代の友達と今でもそれほど仲良しなのはすごく素敵で、羨ましいです。ここまでずーっと喋りっぱなしですが、実はすでに1時間以上経っているんですよね。話は尽きなそうですが、言い残したことはありますか?
福永(浩) : 言い残したことしかない!! 全然語り足りないですね!! 僕はキング・ブラッドレイのように「ない」とは答えられません……。師父(しふ)のセリフも良いしなぁー。
福永(誠) : 師父やばいね(笑)。
福永(浩) : 名前も出てこない脇の脇みたいなキャラなんですけど、意外とめっちゃ良いこと言ってるんですよ。「世界を変えるためにはまずおまえが変わらねばならぬだろ?」とか「『耐える』と『許す』は違う」とか。シフーーッ!!
福永(誠) : シフーーッ!!
――また2人ともリアクションがそっくり(笑)。
福永(誠) : でも子供の頃は師父のシーンはすっ飛ばして読んでた。スカー(傷の男)という悪者に対しての言葉だし。
――「現実を受け入れる」というメッセージがありそうですよね。死んだ母親は結局生き返らない、ということは、この物語は死を受け入れる物語でもある。そして父親と家族になる話でもある。
福永(浩) : そうかもしれない。出産のシーンも結構長めにあるんです。命の繋がりを大事にしているように感じます。
福永(誠) : 俺はこの漫画を通して、エドが壁にぶつかってはくじけ、それでも道は続いていて、また進んでまた壁にぶち当たっては乗り越えていくさまに人間模様を感じました。だからエドが好きなんです。
福永(浩) : だから君は『NARUTO-ナルト-』だったらNARUTOが好きって言うタイプなんだよ。
福永(誠) : いやNARUTOは違うんだよ。というか『NARUTO-ナルト-』は好きなキャラクターが多すぎる。
福永(浩) : 俺は、いちばん好きなのは桃地再不斬(ももち・ざぶざ)。
福永(誠) : わっ、良いね。でも再不斬といえば、どっちかと言ったら俺でしょ。
福永(浩) : いやいやそこは俺でしょ。
――何の張り合いなんですか(笑)
福永(浩) : 『NARUTO-ナルト-』の回ではまた彼を呼びます!
最後に、雨のパレード担当のレーベルスタッフから一言・・・・・
漫画から生まれる永遠の友情!これぞ少年漫画の錬金術!!
それにして、ニューアルバムを出したばかりなのに一切触れない福永・・・それもよし!
※次回は『金色のガッシュ!!(雷句誠)』を予定しています。お楽しみに!
今回マンガを語った場所は……
池袋の「Comic Cafe&Bar しょかん」さん!
コミック4500タイトルの「しょかん(1巻)」だけを集めた、池袋にあるコミック&カフェバー。ゆったりとした空間で、ドリンクやお酒を楽しみながら、各々の時間を楽しめます。1巻のみ揃っているので、気になる漫画の試し読みをできるのが嬉しい!
公式サイト
https://www.shokan.co.jp/
https://twitter.com/SHOKANfirst
福永浩平(雨のパレード)
3人組バンド「雨のパレード」の中心人物であり、コンポーザー。
柔軟な音楽観、クールなビジュアルとは裏腹に真っ直ぐでエモーショナルなメロディー、繊細な歌詞が国内外で高い評価を受ける。大きな変革期を迎えたアジアの音楽シーンにおいて、新時代を切り拓く可能性を秘めた重要人物。漫画や映画などのサブカルチャーラヴァーの側面も。オフィシャルサイト
http://amenoparade.com/
https://twitter.com/kohei__33
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YouTubeチャンネル
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