関西続いてますが最後となりました。大阪です。
くいだおれの街、天下の台所、大阪。
ローカルフードを語る上で外せない銘店が数知れず存在する大阪。
今回は食をクローズアップしてご紹介します。
人間の三大欲求である食欲、性欲、睡眠欲。
その中でも、現代人の欲で一番強いのって食欲だと私は思います。
ビンテージビルディングのコーヒー屋さん
骨董品、ビンテージ、アンティーク
古いものを長く愛用する。とても素敵なことだと思います。
私も古物好きの一人で、自分のブランド MARU TOを着る以外では古着屋さんで見繕うことが多いかも。
大阪淀屋橋にある芝川ビル
1927年に竣工されたということは、90年以上前に建てられたんですね。
木造建築が主流だった時代の洋風近代建築の歴史あるビルです。
100年経っても200年経っても
その時代の人にも芝川ビル建築の良さはきっと伝わるんだろうなあ。
ビルのエントランスを抜けるとすぐに、薄暗い蛍光灯で照らされた美しい廊下と階段が
現れます。
その階段を下っていくと、一軒のコーヒー屋さんがあります。
「Mole & Hosoi Coffee」
日本語訳すると、『モグラと細井のコーヒー』…
とてもかわいい。
店内は細長く、カウンターのみ、10席ほどの小さなお店です。
私が訪れたのはお昼を少し回ったくらいの時間帯だったけど、店内はほぼ満席。
近所のオフィス街で働くちょうどランチをしに来たお客さんでいっぱいでした。
カウンタースツールに腰掛けて店内をぐるっと見渡したあと、目の前のキッチンに視線を置いてしばらく。
コーヒーにトーストに、その日のランチメニューにと、細いキッチン内をテキパキと動き回るオーナー細井さんとスタッフさんの二人三脚に圧倒。
その息のぴったりさはまさに美しい阿吽の呼吸!
かなりの時間見惚れてしまった。
お昼の時間帯だったのでその日のランチメニューだったチキンストロガノフとコーヒーのセットをオーダー。ストロガノフはロシアの煮込み料理。
後でインスタグラムをチェックして気付いたのだけど、Moleさんのランチメニューではしばしばロシア料理がメニューになっているみたい。
コーヒー屋さんで本格ロシア料理って珍しいですよね。
ロシア料理ハチャプリさんのご飯がMoleさんのランチで食べることができる。
スパイスが効いたストロガノフとバターライス。
バターライスはふんだんにバターが使われているのかコクがしっかりあり、マッシュルームがたっぷり。添えられていたキャロットラペもとても美味しかったです。
オーナーの細井さんは、まさに喫茶店のマスターらしい寡黙な人。
カウンターの細井さんの前を陣取ってしまったばかりに少し緊張してしまって、
機敏にコーヒーをおとしながら洗い物、それからオーダーを取ってと、動き回る細井さんにさらに緊張。
食後に出していただいたコーヒーをいただきながら少し店内も落ち着きだした頃合いに、お話をさせていただきました。
話すと、独特なテンポだけどとても丁寧に対応してくださり、細井さんは「Mole & Hosoi Coffee」を営む前、これまた船場にあるビンテージビルディング 大阪農林会館の中にあるセレクトのお店「YAMAGUCHI STORE」にいたそうだ。
細井さん、大阪ビンテージビル界隈の重鎮です。個性あふれる素敵な方でした。
コーヒーのお供にいただいたクッキーがのった器は、同じビル3階の「yumiko iihoshi porcelain」さんのものだった。
同じビル内でのこういう繋がりがあるのって、ヒトを感じてとてもいい。
芝川ビルを楽しみたい方は、「Mole&Hosoi Coffee」に必ず訪れて欲しいです。
Mole&Hosoi Coffee
URL:http://mole-and-hosoicoffees.com/
住所:〒541-0044 大阪府大阪市中央区伏見町3丁目3−3 芝川ビル
営業時間:[火〜金曜]11:30〜21:00 [土・日]9:30〜19:00 [祝]12:00〜19:00
定休日:月曜日
TEL:06-6232-3616
大阪らしい純喫茶
学生時代、大阪の専門学校に通っていました。
梅田駅。京都から通う阪急電車の終点駅、御堂筋線に乗り換えて難波まで毎日1時間半かけて通った通学路。通学路・通勤路って毎日通るけど、わざわざ立ち止まって寄り道をする機会ってなかったりするものだ。
学校が終わってバイトに向かって、空腹感と疲労感で一直線に帰宅していた日々。今思うとわたしって本当に真面目だったなあ。笑
大人になってからの方が、京都も大阪も住んでいた頃より知ることが多くて、なんでもっとフラフラ寄り道して遊ばなかったんだ、学生の頃のわたし。
ここも今回初めて訪れた喫茶店。
「純喫茶 マヅラ」
戦後間もなく創業した「純喫茶 マヅラ」は、もともと闇市にて15坪の小さな喫茶店としてスタート。オープン当初からすぐ大盛況のお店となったそうで、その後、梅田にある駅前第一ビルディングに移転。
お店は15坪から今の約100坪へ。広々としたスペースの現在のマヅラの姿になった。100坪の喫茶店…200名の貸切パーティができちゃうそうです。
マヅラは内装がすごいんです。
テーマは宇宙船
アポロ11号が月へ降り立った問いうニュースや、大阪万博の開催がちょうどこのころの話題だったこともあり、お客さんに夢を見てもらいたいと思って宇宙船のテーマに決めたという。
実はこの内装、オープン当時から現在まで手を入れていない。移転当時のまま約50年同じ姿を残した宇宙船なのです。
当時と変わらないのは、内装だけではない。
コーヒー 250円。
この価格でコーヒー一杯飲める喫茶店、他にあるのだろうか。
私が知る喫茶店のコーヒー価格はだいたい500円前後。
創業当時から変わらず続けることって、そう簡単なことじゃない。
変化していくことが普通だし、時代は移ろい変わりゆくものだ。
どんどん加速する時代変化の中で創業当時の色を残すことは容易いことではないのではないか。内装そのまま、コーヒー価格そのままのこだわりは、マヅラの”どんな状況でも変えることをしない”という確固たる美学を感じます。
とても不思議な空間のマヅラさん、創業当時はとてつもなく衝撃的な喫茶店だったんだろうなと想像できるよ・・・
マヅラ喫茶店
住所:〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田1丁目3−1 大阪駅前第1ビルB1F
URL:https://www.1bld.com/shopguide/gourmet/10361/index.html
営業時間 :9:00~21:00
定休日:日曜日・祝日
TEL:06-6345-3400
専門店には、オーナーさんそれぞれの強い気持ちを感じることができる。
そういうお店のこだわりが私は好きだ(食べることも好き。)
ただ、そうはいかないことも最近は多く見られるのがとても悲しい。オーナーさんには強い拘りと信念を持って続けていただきたい、と簡単には言えないことだけど。
だけど言いたい。自分らしいお店、できていますか?
それって私自身にも言えることなのだけれど。
インスタ映え、SNSで話題、TVで紹介されたから、みたいな理由は好きではない。
かっこいいと思えるお店と出会ったとき、なぜいいのか?その本質を知ることが伝える側の大事なことだと思う。
今回、ご紹介した「Mole&Hosoi Coffee」さんと「純喫茶 マヅラ」さん。
テイストは全く相異なる喫茶店ですが、それは建物や内装を当時を維持することであったり、メニューやプライスへのこだわりであったり。
どちらも歴史や古いものを大切にしていく、ここで働く人たちの心には共通点がある。
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