タイ発のインターナショナル野外音楽フェス「Maho Rasop Festival」への道のり
近年、韓国やオーストラリアまでは来ても、来日公演が実現しないアーティストがいたり、逆に日本のバンドが中国や台湾でワンマンライブが行えるほど人気だったり、一体、東アジアで何が起こってるのだろう?ちょうど、去年、水曜日のカンパネラのコムアイとyahyelのコラボナンバー「生きろ。」の取材時、「日本に戻ってくると老人の国みたいに感じる」と話していたり、中国、韓国、台湾のトラックメーカーが台頭していたことも手伝って、こりゃ一回、現地に行かねば!と、急遽飛んだのが香港の「Clockenflap」。このフェス自体は欧米のビッグアーティストが目玉で、現地事情を知るにはさらにドープなクラブやライブハウスに行くべきだとは思いつつ、早い話が日本以外のフェスを体感したかった。しかも去年の「Clockenflap」は同年のコーチェラのYouTube配信で感動したデヴィッド・バーンが出演(残念ながら日本はスルーされた)。欧米人の多い香港の社交場でもあるこのフェスは、ラインアップの割にはパリピ多めで、ライブが見たいのか騒ぎたいだけなのか、若干疲れたものの、東京で言えば銀座か渋谷近くの広めの野外スペースでカリードやエリカ・バドゥ、コーネリアス、Suchmosまで見られるという日本ではちょっと考えられないフェスだった。今年は来場者やアーティストの安全第一で直前に中止になったものの、来年は開催されることを祈るばかりです。
贅沢しなければチケット&エア&宿泊で
4万程度で行ける気楽さも魅力
一度香港に行ったぐらいですっかり数時間で行ける東アジアのフェスに魅了された私。今年の早い段階で、発見したんですよ。本稿のお題である「Mafo Rasop」を。もともとはnever young beach(もしくはThe fin.)がタイのフェスに出演するというバンドのツイートからだったと記憶しているけれど、そこからは電光石火でチケット購入、まだ6月だったので2Daysチケットが約8,000円。時期は早いほどチケットはお得なのはどの国のフェスにも共通している。早めに決めたのでエアチケットも良い時間のLCCをゲット。フェスの2Daysチケット+エア+宿(ツインルーム3泊)で4万強でした。安っ!
ちなみにこのフェスのメインどころの出演者はBombay Bycicle ClubやThe Drums、The Horrorsら、今年来日がなかったバンドや、フジロックで、今はメタルモードの渦中にあることを知ったKing Gizzard & The Lizard Wizard、タイのスイートなAORプリンスPhum Viphurit 、日本からはアジアツアーの続きでnever young beachとCHAI、そして日本より海外で動員があるThe fin.やLITEなどなど、明らかにタイで一部盛り上がっているインディ・ミュージック寄りのラインアップなことがわかる。そこにどんなタイっ子が集合するのか?が気になって参加したというのが一番の理由だ。
郊外のワイルドな道越しにライブが聴こえる……
意外な場所ながら公共交通機関で行けるフェス
さて、初日。スタートが15:00なので、昼間はタイ名物の週末巨大マーケット、チャットチャックで、タイ名物のパチモンTシャツや、香辛料、タイティーの葉っぱ屋さん、なぜか日本人にウケが良いように見えたフライタグ風に米袋をリサイクルしたオリジナルのバッグを売る店などを冷やかしながら過ごす。約15,000店舗が軒を並べるスケール感はすごいが、押しが強くないから気は楽だ。
晩秋の東京から日中は気温33°、湿度70%超えのバンコク。ウロウロするだけでも結構バテる。そろそろ「Maho Rasop」の会場であるLive Park(Rama9)に移動することに。フェス公式サイトに従って、近隣の駅で下車し、道路に降り立ったはいいが、グーグル先生曰く「ここから徒歩20分」にしたって、ライブ会場なんてあるんか?とにわかに信じがたい超がつくほどの郊外、昔ながらの平家が並ぶ界隈だ。野良犬が昼寝し、広い割には信号もない埃っぽい道を行くこと20分。どうやらこの片側4車線、かなりの交通量の道路を突っ切った先に会場はある。たぶん。
“タイマナー”に則って、その広い道路を突っ切った先から音がしてきた!さすが世界のグーグル先生である。が、入場の際に電子チケットの登録作業をすっ飛ばしていた私は友達とスタッフの力を借りて、必要事項を入力し、ようやくリストバンドをゲット。ちなみに学生スタッフを相当数、動員して運営しているようで、みんな元気だし、問題を解決してくれる気持ちを感じる。リストバンドはClockenflapもそうだが、入場後にICタグに必要な金額をチャージして使うシステムが取られていて、マーチャンダイズもドリンク&フードもこれでスムーズに買える。
一つセキュリティ上、なかなか厳しかったのはペットボトルもタバコも持ち込み禁止。友人から説明を聞くと封を切ってないタバコはOKで、そうじゃないのは何が紛れ込んでるか分からないから没収らしいのだが、机の上には新品のタバコが並んでました……。近場にコンビニもないので地味に辛かったです。加えてタイの青少年向け条例で14:00〜17:00は屋外でのアルコール販売は禁止。この暑さの中、ビールで乾杯できないのも辛い!ただ、ビールそのものは80バーツ(250〜300円)なので良心的。どうりでみんな夕方からしか来ないわけだな。
乾杯できないんならマーチャンでも見よう!で、このフェスのマーチャンがどれも良いデザイン。ゆるふわなようでアーティスティックでもあり、特定のジャンル感がないイラストは相当、センスがいい。私はライターそしてトートバッグをゲット。何が書いてあるのかタイに知人がいる友達に調べてもらったら「音楽の祭典、グッドミュージックを楽しもう」ぐらい、普通のことが書いてあった。
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