アーティストと映像作家の打ち合わせ現場に潜入!どんな話をしているの?
SNSや動画メディアなどの発達で、ミュージシャンにとってMVなどの映像表現はますます重要になっています。さまざまなアーティストが印象的なMVを発表し、映像がきっかけで大ブレイク!なんてことも珍しくありません。でも、アーティストと映像作家が一緒に映像をつくる現場って、あんまり見たことがないような……? そもそもMVって、どうやってつくられているの? どんな話をして制作に入っていくの?
そこで、2018年6月6日にメジャー1stアルバム『POP is YOURS』をリリースする“絶対的、鍵盤系ドラマチックポップバンド”クアイフのALL TRACKS TRAILER(アルバム全曲告知映像)制作に密着させてもらうことに。今回制作を担当する映像作家“たかやとらい”さんにもご協力いただき、映像制作最初の打ち合わせ現場に潜入取材を敢行。クアイフのニューアルバムが気になる人はもちろん、これから映像制作を目指す人も参考になることうけあいです!
Photography_Reiji Yamazaki
Text_Sotaro Yamada
Edit_Kenta Baba
クアイフとは?
名古屋を中心に活動するスリーピースバンド。森彩乃(Vo./Key.)、内田旭彦(Ba./Cho./Prog.)、三輪幸宏(Dr.)からなる“絶対的、鍵盤系ドラマチックポップバンド”。バンド名は、元オランダ代表の伝説的なサッカー選手ヨハン・クライフに由来している。名古屋グランパスユースでのプレー経験がある内田が、憧れのサッカー選手クライフの名をもじってバンド名とした。
2017年11月にシングル『愛を教えてくれた君へ』でメジャーデビュー。同曲は、TVアニメ『いぬやしき』のエンディングテーマとして起用され、アニメとの見事なシンクロも話題になった。各種チャートを席巻し、“泣ける神曲”としてロングヒット。
2018年3月にはメジャー2ndシングル『ワタシフルデイズ』をリリース。同曲は名古屋近鉄パッセ『Pass’e 大感謝祭』TV-CMソングに起用された。また、2016シーズンから継続して地元名古屋のJリーグクラブ名古屋グランパスのオフィシャルサポートソングを担当するなど、地域に密着した活動が強く支持されている。
映像作家“たかやとらい”とは?
1994年生まれの映像ディレクター。今年バンタンデザイン研究所を卒業。卒業後はフリーランスとして、様々な映像ディレクターのもとで活動中。バンタンデザイン研究所の卒業制作として、日食なつこ『廊下を走るな』MVを制作。「きれいに澄んだ純水みたいな映像(日食なつこ)」など、高い評価を受ける。
他の代表作に、evening cinema『原色の街』MVや湯木慧『存在証明』MVなど。アルバムのダイジェスト映像としては坂口有望『blue signs』ダイジェスト映像などがある。
クアイフとの接点は、名古屋グランパスの2018シーズンサポートソングとして書き下ろされた『未来emotion』のリリックビデオを制作したことがきっかけ。
(クアイフ『未来emotion』リリックビデオ)
今回は、クアイフのメジャー1stアルバム『POP is YOURS』のALL TRACKS TRAILERを担当する。
クアイフと映像作家のたかやさんご対面
5月某日。ソニー・ミュージックのオフィスにて、クアイフの3人とたかやさんが集合。実は今回が初対面で、映像制作の仕事はアーティスト本人と会わずに仕事が完結することも珍しくないらしい。たかやさんによると、「今の時代はリモートがほとんどです」とのこと。
たかやさんが以前制作した『未来emotion』のリリックビデオは、サッカーというテーマありきでの制作だった。しかし今回はまっさらな状態で打ち合わせスタート。アルバムのイメージやコンセプトから話を発展させ、映像的にどんなことが可能か話し合っていく。
打ち合わせスタート
たかや:まず、テーマカラーやモチーフの話から始めたいんですが、アルバム『POP is YOURS』は、ジャケ写の黄色が目をひきますよね。ほかにも黄色を取り入れたアイテムがあるんでしょうか。
森 : 黄色にしたのは、単純にわたしが好きだからです(笑)。でも印象的だとは思うので、MVにも黄色を取り入れたい気持ちはありますね。ツアーグッズにはアルバムのテイストに揃えたものもあります。タオルとか。
内田 : ジャケ写のデザインでいうとバーコードのラベルがついていて、それをレジで読み込むと実際の値段が表示されるんです。だから、自分たちが商品となってお客さんのもとに行くという感覚です。
森 : 届けた瞬間に「これらのポップソングはあなたのものになる」というメッセージですね。ジャケットの裏表紙は山積みの買い物カゴの画ですし、わたしたちはマネキンみたいだし。お買い物感を演出したかった。
三輪 : だから、歌詞カードも取扱説明書っぽくしているんです。
たかや:ほおーなるほど。タイトルの「ポップ」はキーフレーズなのかなと思いますが、この言葉にはどんな意味が込められているんでしょう?
森 : メジャーデビューする少し前から、どうすれば人に伝わりやすいものをつくれるか、ということをずっと考えていました。クアイフがつくるポップソングは、「聴いてもらった瞬間にあなたのものになる」「あなたの気持ちを歌っている」という深い共感を目指しているんです。「ポップ」という言葉には、なんとなくカラフルなイメージがありますよね。でも、ストレートにカラフルなものをつくりたかったわけじゃないんです。もっといろんな解釈ができるポップ。ハッピーで明るい曲もあれば、切ない曲も悲しい曲もあるし、闇を感じるラブソングや、寄り添ってくれたり励ましてくれたりする曲もある。だから、映像もストレートにカラフルな表現にはしたくないんです。
たかや:今回はダイジェスト映像なので、1曲あたり長くても20秒くらいですよね。このお話をいただいた時に最初にイメージしたのは、黄色い背景に、メンバーがメイクや衣装を変えて何度も登場したり、小物を抱えて登場したりする、というものでした。たとえば『Take me out』では3人がいて、カメラに向かって1サビを歌う。曲が変わる際に効果音が流れてフレームアウト。2曲目の『I love ME !』が流れるともう一度フレームインして、さっきまでの衣装やメイクとは違う3人が現れる。それを曲によって変えていく。
内田 : 曲ごとに衣装や変えていく感じは合うと思います。
たかや:トレーラー映像でよくあるのは、ワンカットで映像が流れていて、何かのきっかけで曲が変わっていくもの。たとえば、バンドメンバーが順番にイヤホンを耳につけていって、その度に流れる曲が変わっていくとか。
三輪 : ああ、面白いですね。
内田 : ぼくはシュールな表現が好きなんですけど、これを見て「“変わっていくもの”と“変わらないもの”の対比表現がうまいもの」が自分は好きなんだと思いました。イヤホンを外したら音が止まって、またイヤホンをしたら音が流れる。空間としては変わっていないけど、流れる音楽が変わっていく。その対比がすごく上手な映像で、ぼくは好きです。
森 : あ、でも自分たちが登場するとなると、スケジュール的な問題も出てくるのか……。
スタッフ:今回かなりタイトなので、新規映像の撮り下ろしが難しいんです。2週間後にはリリースしたいので。
(納期目標が2週間と告げられ一瞬時間が止まったたやかさん)
森 : ……ま、まあ、自分たちが登場するにしろしないにしろ、背景を一貫して黄色にするのかそうでないのかで、だいぶ変わってきますよね?
たかや:そうですね。そこは黄色で統一した方が良い気がしています。内田さんの言葉で言えば「変わらないもの」としての黄色。
内田 : たとえばですけど、写真を喋らせるアプリを使うのはどうですか? 3人が並んでいる写真は変わらないものとしてあって、1曲ごとに1人ずつ喋っていくとか。
たかや:おお、それ良いですね!
森 : 気持ち悪くて良い(笑)。
内田 : 曲が激しくなったら口の動き方も激しくなるとか。そういうのって可能ですか?
たかや:可能です。面白いですね。
止まらない森彩乃と内田旭彦のアイデア
「そもそもクアイフとは?」な話にはじまり、テーマやモチーフ、スケジュールなどをすり合わせていく。すると“変わっていくもの”と“変わらないもの”、 “シュール”、というキーワードが出た。軸が決まると、そこからアイデアがあふれ出てくる。
内田 : たとえば、森だけを踊らせることってできますか? あるいは手だけ動かすとか。
たかや:できます。どれだけ動かすかにもよるけど。
森 : 3人はフレームアウトしないで、曲によっていろんなアイテムが着せ替えのように追加されていくとか? 悲しい曲なら涙とか、『I love ME !』だったらハートが出てくるとか。
たかや:写真をトレース(書き写す)してデータ化することで身体の部位を分解することができるので、そういうことは可能です。ただ、それだけで10曲持つかどうか……。曲ごとに登場メンバーが違うのはOKですか? それとも、全員すべての曲に登場した方がいいですか?
森 : それはどちらでも良いですね。あ! たとえば『さよならライアー』は別れの曲だから、わたしがフレームアウトして行くのを2人が追いかけて行くのはどうでしょう。『じゃあ、またね。』も別れだから、3人が離れて行くとか。……いや、解散を予感させるからダメだな(笑)。
内田 : それか、カメラの角度だけ変えて画面に1人だけ映すとか。このダイジェスト映像って、最終的にはYouTubeにアップするんですよね?
スタッフ:YouTubeと、あとはSNSに埋め込みます。
たかや:全部で1分くらいですか?
スタッフ:秒数はとくに決まっていませんが、やはりダイジェストなので、1曲あたり20秒弱でトータル200秒程度、が良いのかなと思います。SNSへの埋め込みを最優先するとなると、もう少し短い方が良いかもしれないですね。
内田 : たとえば、スマホでMVを見るとクアイフが映って、またそのMVのなかにスマホがあってクアイフが映って、という合わせ鏡のように曲が変わっていくのはどうですか? スマホじゃなくて昔のブラウン管テレビでもいいけど。
森 : それか、ショッピングモールに入っていったらわたしたちのマネキンがいて、入った瞬間に黄色の世界になるとか。お買い物からスタートして、最終的にはこのCDを買って帰る、みたいなストーリーで。
(実際にマネキンのポーズをする森さん)
内田 : 渋谷の街なかで、人がいっぱいいる風景のなかにぼくら3人のマネキンを立たせることはできますか? そういう違和感が面白いと思うんですよね。背景の人並みだけを早送りして、曲は普通に流すとか。
たかや:良いかもしれませんね。一般の人の顔をボカせば。
内田 : 髪型を付け替えることはできますか? 替える瞬間にハゲになるのも面白いと思う。
三輪 : え、ハゲにするの(笑)?
森 : わたしはスキンヘッドにしても全然大丈夫なんだけど、それがクアイフにとってプラスになるのかどうかわからない(笑)。
スタッフ:……ええと、アーティストイメージというものがあるので、髪型をそこまでイジる(=スキンヘッドにする)のだとしたら、それはちょっと大人の確認が必要かもしれません……。
内田 : まあ、それはそうですよね(笑)。あ、いま思いついたんですけど、『POP is YOURS』のバーコードをピッと読み込むシーンからはじまって、値段の代わりに曲名が表示されるというのはどうですか?
たかや:曲名の出し方としてはすごく良いと思います。それで背景を変えていく。黄色い背景、ショッピングモールの背景、街中の背景、夜の高速の背景、というように。
内田 : 実写の背景だけじゃなくて、アニメーションの背景もありですよね?
森 : でも実写とアニメを混ぜたら面白い映像になるのか、それともゴチャゴチャの映像になるのか、どっちなんだろう。
たかや:混ぜる良さもあるけど、統一性を考えると、どちらかひとつにした方が良い気がしますね。
三輪 : 歌詞を出すのか出さないかでも変わってきますよね?
たかや:歌詞があった方が情報は多くなるので、映えるとは思います。ただ説明的になってしまうかもしれない。
内田 : キーワードとなる歌詞だけ出した方がいいのかなあ。中途半端に出しても、その言葉に引っ張られすぎるかもしれないし。
森 : ……これまで話してきたなかで、現実的に取り入れられそうなアイデアってありましたか?
たかや:どうでしょう。さっき森さんが言っていた「ショッピングモールに入ると黄色の世界で」というのは、あんまりイメージがまだ沸かないですね……。
森 : そ、そうなのか……。
三輪 : 森がイメージしてるのは、『ファニチャードーム』のCMみたいなのでしょ? 東海地区にある家具屋のテレビCMなんですけど。
たかや:ああ! 見たことあります……これですね?
(『ファニチャードーム』CM)
三輪 : そう、これこれ。あとマネキンで言えば、『Oh! Mikey』とコラボしているCMもありました。
(『Oh! Mikey×ファニチャードーム』CM)
内田 : シュールだなあ。
たかや:内田さん好きそうですね(笑)。
曲ごとのイメージを詰めていく
ここから、たかやさんの質問をきっかけに、1曲ごとの細かいイメージが明らかになっていく。クアイフの楽曲は、その歌が想定している時間帯まで1時間ごとに設定されている。
たかや:曲によって「こういうテイストが良い」というのはありますか? たとえば実写にするならこの曲、とか。
内田 : 『Take me out』は、夜のネオンがある感じが良いですね。舞台は東京っぽいところ。『I love ME !』は午前中のイメージです。
森 : 時間の話(笑)?
内田 : 午前中の日光の感じじゃない? でも、9時の太陽と11時の太陽って全然違うよね。
森 : 『I love ME !』は『ミューブ♪ 〜秘密の歌園〜』という、女子高生が主役のドラマの主題歌なんですけど、昼休みの屋上で「わたしだってヒロインだーっ!」って女子高生が叫んでるイメージ。だから昼間。9時はちょっと早いかな。
内田 : 12時から13時ってこと?
森 : 時間をぜんぶ細かく設定したいのか(笑)。
内田 : それによって光の当て方が変わるかなと思って。『ワタシフルデイズ』は、満員電車のなかでイヤホンから聴こえてくるイメージですね。「ああ今日も怒られるんだろうなあ」と思いながら会社か学校に向かっていて、イヤホンから「頑張れ」って言ってくれている感じ。
(クアイフ『ワタシフルデイズ』MV Short Ver.)
三輪 : 行きの電車ってことだよね。
内田 : そうだね、帰りではない。天気は晴れ。『こだまして』は、水曜日の夜9時くらいかな。
森 : えー? 深夜2時とか3時じゃない?
内田 : バンドマンにとっての深夜2時とか3時って、普通の人にとっては夜9時くらいじゃない?
森 : というより、夜ずっとネットを見続けちゃってそんな夜中になっちゃった、みたいな感じでしょ? 夜9時ってまだ活動的な時間じゃん。じゃなくて、もうみんなが寝ている時間に、ベッドで横になって、スマホでネットサーフィンしている、というイメージだと思うけど。
内田 : この曲は、Twitterで一般の方が有名人の悪口をツイートしているのを見て、「なんでこんなこと書くんだろう」と思ったことがきっかけでつくったんです。よく考えれば、自分のなかにも人の悪口をツイートしてしまうような汚い部分はある。誰しもそういう部分を持ち合わせて生きている、そう思って作った曲でした。
森 : でもそれ、夜9時なの?
内田 : ……そのツイートを見てそう思ったのが、たまたま夜9時頃だったわ。
森 : たまたまかよ(笑)。まあ、でもこの曲は夜中だよね。『じゃあ、またね。』は、たぶん夜ではないかな。歌詞には「夜」って出てくるけど、昼に思い出している曲だと思う。
内田 : お昼休憩の時?
三輪 : 夕方くらいじゃない? 昼が夜に変わろうとする時間の、ちょっとセンチメンタルになる時。
森 : あ、そうだね。まだ日が落ちてない変わり目の時だ。夕方仕事が終わって一息ついて、「君のことを思い出しちゃう」みたいな。
たかや:どんな人に向けてつくったのかがわかれば、映像もつくりやすいです。『ワタシフルデイズ』の満員電車の話みたいなのが欲しいですね。『I love ME !』だとどうですか?
森 : これはタイトルだけ見るとハッピーな曲だと思われるかもしれないけど、「自分のこと愛さなきゃ! じゃなきゃ始まんないじゃん!」という曲なので、葛藤の中から生まれた曲です。自分のことを好きじゃないと思っている人に向けて歌っています。
内田 : 『こだまして』はネットやSNSをストレスのはけ口にしているような人に聴いてほしいですね。そうなってしまう時って、匿名で人を蔑むことによって自分の価値観を確かめようとしているんじゃないか。ぼくにもそういう部分があるので、自分のダークサイドを見せた曲です。
たかや:なるほど。いいですね。他の曲はどうですか?
森 : 『じゃあ、またね。』は、「こんな辛いことがあったけど、ちゃんとしなきゃ」という女性の曲。「頑張らなきゃだめだよ!」じゃなくて、「そういうことあるよね」って寄り添うイメージ。
内田 : 『愛を教えてくれた君へ』は、亡くなった人の視点で歌われる曲です。死んだあと、生きている家族や恋人を眺めた時にどう感じるかを掘り下げてつくりました。隣にいるんだけど、もう自分は死んでいるから、触れられないし気付いてもらえない。その切なさや霞んでしまう感じを曲にしました。時間帯は深夜で、星がきらめいている。
(クアイフ『愛を教えてくれた君へ』MV Short Ver.)
内田 : 最初のサビでは「今の日々を愛さないで」と歌い、最後のサビで「今の日々を愛しいていて」と歌っています。言葉だけ読むと矛盾しているけど、それが人間の感情だと思うんです。たとえば「君のことが好きだ」という気持ちも、俯瞰で見たら「好きだ」という気持ちだけに見えるけど、近くで見ると「君のことは好きなんだけど、昔の人のことがまだ忘れられない」とか「好きだけど、将来が不安」といったネガティブな気持ちもある。
内田 : 「好き」という気持ちは、いろんなものが複雑に関わり合っていて曖昧な感情だと思うんです。クアイフの楽曲は人間の感情を切り取って音楽にしているし、人間の感情は曖昧だという考えが前提にあるので、矛盾した言葉が出てくる。この気持ちを映像で再現するとしたら、たとえば、近くで見ると「嫌い」「うざい」「将来が不安」みたいなネガティブな言葉が並んでいるんだけど、カメラを引いて上から見たら「君のことが好きだ」という言葉になっている、とか。
たかや:ああ、なるほど。視点を変えると別の言葉に見えるというのは面白いですね。
森 : 『タイムマシーン』は、未練タラタラのドス黒い失恋ソングなので、ちょっとイヤミな感じが出れば良いかなあと思います。時間を戻すためのモチーフがあっても良いかも。『さよならライアー』もラブソング。駆け引きしていて、まだはっきりしない恋愛の曲。「月の下」という歌詞が何度か出てくるので夜のイメージです。もうすぐMVが公開されるはず……。
(クアイフ『さよならライアー』MV)
森 : 次の『Polaris』が星だから、月から星へ繋がる感じかな? さっき『愛を教えてくれた君へ』で星って言っちゃったけど、ここで星が出てくるから、『愛を教えてくれた君へ』では星を出さない方が良いかも? でも『愛を教えてくれた君へ』が空から見下ろすイメージだとしたら、『Polaris』は下から星を見上げているイメージですね。『EverBlue』は、パーティー感のある曲なので、最後にワーっと楽しく終わる感じが伝われば良いなと思います。
たかや:なるほど、了解しました。これまでの話をまとめると、やっぱりベースとしてはCDのジャケ写がマネキンのようにあって、メンバーの出し入れや背景、手元の小物などで変化をつけていく、という感じにはなると思います。その変化を、それぞれの楽曲のイメージに合わせます。
3人 : はい! そんな感じでお願いします!
俺、中身は女子だから。
たかや:最後にひとつだけ質問いいですか? 「この曲は自分がソロで登場したい!」という曲はありますか?
森 : それは意外と難しい質問ですね。男たちがソロで出る曲ってどれだろう?
内田・三輪 : ……(笑)。
森 : いや、わたしは歌ってるからどの曲に出ても違和感ないけど、2人がソロで出るとなると……。「僕目線」で歌ってる曲を選べば良いのかな? たとえば内田くんの場合は、自分と似たような人に向けてつくった『こだまして』とか。
内田 : あっ、そうだね。じゃあぼくは4曲目をお願いします。
三輪 : じゃあぼくは『タイムマシーン』かなあ。未練タラタラだから。
森 : めちゃくちゃ女子な曲だよ?
三輪 : 俺、中身は女子だから。
森 : たしかに(笑)。
打ち合わせ終了! 今後の工程は?
1時間強の打ち合わせが終了。途中からどんどんアイデアが出て時間が足りなくなり、最後は駆け足に。特に、作詞作曲を担当している森さんと内田さんからは、ノンストップで次から次へとアイデアがあふれまくっていました。
この後は、たかやさんがコンテをつくり、それを見てさらにやり取りを重ねて細部を詰めていく。が、スケジュールはかなりタイトで、完成までたったの2週間!
普段はもう少し余裕を持って制作するらしいのですが、今回メジャー初のアルバムということもあって、チーム・クアイフはかなり多忙。この打ち合わせのあとも、メンバーは北へ南へと全国を駆け回っておりました。名古屋を拠点に活動しているとはいえ、全国各地からクアイフを求める声が増えつつあるようです。
クアイフ『POP is YOURS』は2018年6月6日発売!映像も無事完成しました!
というわけで、この打ち合わせから約2週間後の本日(6月6日)、クアイフのメジャー1stアルバム『POP is YOURS』が無事リリース! おめでとうございます! それにともない、たかやさんによるALL TRACKS TRAILERも完成しました!!
今回の打ち合わせを経て完成した映像がコチラ↓
(クアイフ『POP is YOURS』ダイジェスト映像)
話していた内容がバッチリ映像になっています!
映像を手がけた、たかやとらいさんからも打ち合わせから公開にいたるまでの感想コメントをいただきました。
メンバーのみなさんから沢山アイデアを出して頂いたので、僕はそのアイデアを、見ている人がこういう楽曲だと分かるように、映像に落とし込むだけでした。スケジュールも近々で、撮影することも難しい状況の中、映像でありながら大半が写真やグラフィックを用い映像として展開している部分は少し大変でした。メンバーのみなさんと直接お話しして、アルバム各曲に対する想い入れを強く感じたので、1曲10秒程度の短い時間の間で、メンバーさんの想いが映像を見て伝わっていれば嬉しいです。ーたかや とらい
さて、「映像制作現場に密着!」と言いつつも実際に密着したのは最初の打ち合わせだけだったわけですが(←)、ものづくりにおいて多くの場合、やはりいちばん最初の打ち合わせがもっとも重要で、それさえうまくいけばスムーズに物事が進行していくということがよくわかるケースでした。
MVを制作する際、映像作家とアーティストが何を確認し合うのか。映像ではどんなことができるのか。アーティストが何を大切にしているのか。楽曲と映像で、どんなことを表現したいのか。そしてなにより、クアイフとはどんなバンドなのか。本記事をふまえると、アルバム『POP is YOURS』をより楽しむことができるのではないでしょうか!
クアイフの1stアルバム『POP is YOURS』購入はこちらから。
Spotifyでの視聴はこちらから。
<クアイフ オフィシャルサイト>
www.qaijff.com
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