mameの水沢ダウンにうっとり
繊細でエレガント。計算し尽くされたシルエットで、着るだけで美人になれるファッションブランド〈マメ〉。先日、相変わらず美しいプロダクトばかりの2017年秋冬コレクションも発表され、話題になりました。そんなマメが9月22日、スポーツメーカー〈デサント〉が作る「水沢ダウン」とのコラボダウンを発売。
水沢ダウンとマメのコラボは今回で3回目。コラボ当初から“ドレスに似合うダウン”というコンセプトでリデザインされたダウンは、ダウンジャケットのイメージを覆す女性らしいシルエットが特徴。マメらしいデザインと鮮やかなパープルに、ついうっとりしてしまうほどです。
(引用元:公式HP)
発売日となった9月22日には、「DESCENTE BLANC 代官山店」にてマメのデザイナー・黒河内真衣子(くろごうちまいこ)さんと水沢ダウンの生みの親でもあるデサント オルテラインのデザイナー・山田満(やまだみつる)さんのトークイベントが開催。コラボに至るまでの流れや、今回発売したダウンへのこだわりも語られました。
◆スポーツブランドならではの高機能に惚れた、黒河内真衣子。
コラボ前、東北にリサーチに行った黒河内さんがたまたま目にしたのが水沢ダウン。そのクオリティの高さに感動し、コラボの話を持ちかけたそう。
水沢ダウンは、もともとオリンピックのスキー選手のために作られたウェア。スポーツブランドならではのこだわりがたっぷり詰まっています。例えば、ダウン独特の縫い目。普通ダウンは表地と裏地の間に羽毛や綿を入れて暖かさを出していますが、その羽毛や綿が下に落ちないように数段に分けてキルティングされています。しかし、縫い目を作ることでそこから水が入ってしまったり、熱が逃げてしまう欠点がありました。それを水沢ダウンは熱接着することで解消。キルティングで生まれてしまう縫い目の穴を排除し、欠点を解消したのです。もちろん、表地は防水性・防風性・耐久撥水性を兼ね備えるハイテク素材。さらに、首周りのチャックの中に収納されているフード。これをスマートに出すため、救命胴衣などに使われているファスナーを使用。オープン方向と逆に引っ張ることで片手で簡単にファスナーを開けることができるのです(本当にワンタッチでフードが出る!)。まさに、スポーツブランドならではの高性能を兼ね備えたダウンなのです。
(引用元:公式インスタグラム)
そんな高性能ダウンにマメらしいデザインが施されると、瞬く間にドレッシーになるから不思議。ドレスや繊細な洋服にも羽織っても、エレガントさは損なわれません。ドレッシーさを出すために、コラボダウンには黒河内さんのこだわりがつまっているそう。例えば、シルエット。実は身幅はメンズのXXXLくらいがベース。着丈を詰めることで、ロングドレスやハイウエストのパンツ・スカートを着た時にも合わせやすい形になっているのだとか。デザインをしていく中でいろんな装飾も付けたくなったそうですが、水沢ダウンの防水性をキープするために金具を付け替えたり、肩のドロップを工夫することでマメらしさを出していったと言います。
◆マメのアイデアの源は、固定観念からの脱出?
トークイベントの中ではデザインする際の試行錯誤も語られていたのですが、印象的だったのが黒河内さんの「(山田さんに)突拍子もないことをいろいろ言ったと思う」という言葉。この言葉こそ、マメのルーツなのかも。というのも、マメのコレクションを見るといろんな題材が組み合わさっているから。
黒河内さんはコレクションごとに旅をしてリサーチを行ない、旅の中のいろんなことからインスピレーションを受けてデザインに落とし込んでいます。2017年秋冬コレクションは北日本の旅からヒントを。2016年秋冬コレクションのテーマは「Alchemist(錬金術師)」。旅先で出会ったものを“黒河内フィルター”をかけてデザインに。そして2016年春夏コレクションはアメリカ・ニューメキシコに焦点を。毎晩見た夢からインスピレーションを受けたと言います。そんな中、2017年春夏コレクションだけ少し毛色に違いが。テーマは「TIMELESS」。これは、芥川賞受賞作家・朝吹真理子さんの小説「TIMELESS」のこと。黒河内さんは移動が多いため本を読む機会が多く、この「TIMELESS」も移動中に読んだ小説のひとつなんだとか。普通、旅から生まれたコレクションが続くとつい“旅縛り”をしたくなってしまうもの。しかし、なんの固執もなくスッと新しいテーマに切り替えられる勇気はスゴイ。このテーマの切替もある意味「突拍子もないこと」なのかもしれません。
(引用元:公式インスタグラム)
物を生み出す上で、「これはこう」という固定観念を持つのはナンセンス。私たちが生きている世界には、アイデアのヒントしかない……のかもしれない。
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