水彩で描いたような淡いグラデーションの音像。太陽の光で目が覚めたベッドルームから外をぼんやりと眺めた時のような、ふとした瞬間に思い出した子供の頃の記憶のような、日々訪れる小さな感情の起伏が揺らめいてたゆたうような。スティーブン・ウィルキンソンの1人ユニット、Bibio(ビビオ)が紡ぐ音楽はそんな感じだ。
前置きはちょっと長くなるかもだけど、まずはビビオの音楽をすこし。
そんなビビオに絶賛されたニッポン人、オオモリアツヒトによるソロ・プロジェクト Ex Confusion(エックス・コンフュージョン)。2015年にはビビオとのコレボレーションも果たした。
去る11月23日、エックス・コンフュージョンが待望の新作『Last』を発売。11月25日の本日19時、新作の中から『A beautiful Farrewell』が公開。
あれやこれやと言うよりも、ビビオからのコメントにすべてが詰まっているね。
僕はEx Confusionを初めて聴いたのは2013年だった。アツヒトが2枚のCDを送ってくれたんだ。「Embrace」はすぐに僕がよく聴くCDになっ た。真っ暗の中ベッドに横になりながら何にも邪魔されない時にね。また、Ex Confusionは雨や霧の中で一人で歩くときに合う音楽だって事にも気づいたんだ。実際彼の音楽は、美しく神秘的な景色の中で自分が一人だった時のこ とを思い出させるんだ。アツヒトは複雑で微細な感情を捉える才能があると思う。僕はそれには結構中毒性があると思う。説明するのは難しいんだけれども、一 種のメランコリーに心を奪われて、忘れられないようになると思うんだ。これらの感情は彼の作品にずっとあったもので、彼の深く滑らかなドローンには独特で 特別な彼の個性を感じている。神秘的で隠れているものの、常に存在していて、まるで遠くに映る、他に類を見ないシルエットのようだ。そして僕はEx Confusionの音楽はとても「視覚的」だとも思うんだ。想像の中で僕は毎回同じ見知らぬ景色に自分がいることに気づくんだ。
2014年にアツヒトは「Last」という曲の初期バージョンを送ってくれた。僕はその曲が本当に好きで、日本のタイコクラブというフェスでDJをやったときに最初の曲としてかけた。
長野の山奥から眺める夕暮れにとても合うんじゃないかと感じたんだ。
Bibio (Warp Records)
この冬は、エックス・コンフュージョンとビビオの音楽を近くに置いて過ごそうね。
アルバム詳細はこちらから。
Ex confusion:
えっくす・こんふゅーじょん/オオモリアツヒトによるソロ・プロジェクト。2010年に活動開始。主にギター、ピアノ、古いテープレコーダーを用いて楽曲を製作している。活動開始後、数々の海外ネットレーベルより作品をリリース、コンピレーションアルバムへの参加を果たす。2010年にU-Coverから限定CD-R作品『Something To Remember』をリリースし、2012年、2013年にはn5MDより2枚のアルバムを発表。2014年にはFoxes In Fictionが運営するレーベルOrchid Tapesから『Flow』をリリースした。そして2015年にはBibioとのコラボを果たし、Bibio + Ex Confusion名義にて共作曲『Swift』が公開された。
Bibio:
びびお/英ウェストミッドランズ在住のスティーヴン・ウィルキンソンによるソロ・ユニット。名前は、父と釣りに行った際に使ったフライと呼ばれる毛針の一種が由来。ロンドン大学時代にエイフェックス・ツインやオウテカ、ボーズ・オブ・カナダなどに出会い、大きな影響を受ける。ボーズ・オブ・カナダのマーカス・イオンの紹介を経て、2004年にアルバム『Fi』でデビュー。アシッドでアンビエントな世界観が各誌で絶賛される。2006年、2ndアルバム『Hand Cranked』を発表。同収録曲はトヨタのCM曲にも使用され、話題に。2013年5月、アルバム『シルバー・ウィルキンソン』をリリース。
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