シンガーソングライターの山田タマルが、2018年10月にベストアルバム『山田タマル ALL-TIME BEST とっくに愛してる』をリリース。12月にはシングル『恋をしなさい』をリリースした。近年では有名アニメ作品の挿入歌や主題歌を手がけるなどして、海外からの人気も上昇している。では、山田タマルとはどんなアーティストなのだろうか?
Text_Sotaro Yamada
山田タマルとは?
山田タマルは、東京出身のシンガーソングライター。
〈資生堂〉『マキアージュ』のCM曲(作詞 Morgan Fisher / 作曲 中谷靖)をもとにした『My Brand New Eden』で2006年にメジャーデビュー。篠原涼子、伊東美咲、蛯原友里、栗山千明の4人が登場する豪華キャスティングや、ギターリフと口笛が印象的な〈資生堂〉『マキアージュ』のCMは当時かなり話題になったので、覚えている人も多いかもしれない。
楽曲が話題になり、同作はオリコン初登場15位を記録した。その後も楽曲リリースやライブ活動をしながら、テレビ番組のテーマ曲やCM曲、部隊や映画の音楽監修などもつとめる。
テレビアニメ『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』のテーマ曲と挿入歌を手がけたことで2017年よりアニメ界隈からも注目を集め、それまでのイメージとは異なるアニソンシンガーとして新境地を開く。2018年には人気テレビアニメ『フルメタル・パニック』の新シリーズ『フルメタル・パニック! Invisible Victory』のオープニング&エンディング曲を担当。
昨年10月にリリースした初のベストアルバム『山田タマル ALL-TIME BEST とっくに愛してる』はセルフセレクトによる全17曲入りで、これまでのすべてのシングル曲、配信限定曲、インディーズ曲、アニメ2作品からの4曲などで構成されている。
また、音楽活動以外にも、女優としてもNHKドラマ10『聖女』に出演するなど、テレビドラマや舞台と幅広く活動。環境保護活動にも取り組んでおり、2012年よりフォレスト・サポーターズに加入している。
ナチュラルでしなやかなボーカル
山田タマルの最大の特徴は、ナチュラルでしなやかなボーカルにある。まずはデビュー曲『My Brand New Eden』を聴いてみよう。
山田タマル『My Brand New Eden』MV
ビートルズを彷彿とさせるポップロック・サウンドが心地よい。爽やかなメロディと耳の残るフレーズ、ナチュラルな歌声にポップスセンスが垣間見える。
山田タマルはこの曲で、Goose House(当時はPlayYou.House)のメンバーとコラボレーションを果たしている。中心メンバーの斎藤ジョニーの他に、関取花、神田莉緒香、竹渕慶がコーラスとして参加。もともと弾き語りスタイルで活動していたこともあり、歌とギター、歌とピアノといったシンプルな演奏は非常に得意だ。
山田タマル+PYHOUSE『My Brand New Eden』
アニソンシンガーとしての才能が開花
ポップス、ロック、ジャズ、カントリーやボサノヴァなど、さまざまなジャンルをクロスしてポップに仕上げる面に加えて、山田タマルにはもうひとつ、アニソンシンガーとしての側面がある。
たとえば、山田タマルはテレビアニメ『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』に音楽制作で参加しているが、第一話の挿入歌として使用された『Always in my heart』は、アニメと楽曲の世界観が絶妙にマッチしており、ファンからは「神曲」と評価されている。
テレビアニメ『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』PV
上のPVで流れている曲が『Always in my heart』。壮大なストリングスと美しいピアノの音色を背景に、伸びのある歌声は透明感と強い意志を感じさせる。
『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』は、全12巻(第一部と第二部合計)、シリーズ累計90万部以上を突破しているライトノベルを原作としたアニメだが、超大作であるゆえ、アニメ化するには登場人物やプロットが多い作品でもある。そうした複雑な作品が第一話から多くの人々の感情移入を誘い、国内外で評価されるに至ったのは、最初の重要なシーンでこの曲が流れるからだ、とするファンも多い。心にしみる歌声と楽曲、そして作品の登場人物の心情を的確に捉えた歌詞が、アニメファンの心を打った。
デビュー曲がタイアップ曲だったことも考えると、山田タマルは、何かしら制約がある場合に才能を発揮させるタイプのアーティストなのかもしれない。作品に寄り添ってその魅力を伝えることがうまい音楽家だと言えるだろう。
『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』の仕事をきっかけに、山田タマルは『フルメタル・パニック! Invisible Victory』で主題歌を担当することになる。オープニング曲『Even…if』は、『Always in my heart』等とはまったく異なるイメージのロックナンバー。
山田タマル『Even…if』MV
別人が歌っているのでは?と思うほど力強く勢いのある歌声に驚く人も多いだろう。実は彼女は、高校生の頃はロックバンドに所属していたという。『フルメタル・パニック! Invisible Victory』での成功以降、中国やインドでの公演も増えている。
TV番組に出演し、ふたたび話題に
また、2018年8月にはAbemaTV『Wの悲劇〜日本一過激なオンナのニュース〜』に出演。彼女がデビュー後に経験した紆余曲折話に出演者のSHELLYや姫乃たまが心を動かされ、即興演奏では長谷川まさ子(芸能リポーター)や錦光山雅子(「ハフポスト日本版」ニュースエディター)に絶賛された。
誠実なキャラクターもあいまって、再び注目を集めそうだ。
山田タマル 公式サイト
山田タマル Instagram
山田タマル Twitter
『山田タマル ALL-TIME BEST とっくに愛してる』特設サイト
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