toe(読み方:トー)は美濃隆章(Gt)山嵜廣和(Gt)山根敏史(Ba)柏倉隆史(Dr)の4人で2000年に結成されたポストロックミュージックを展開するバンドである。メンバーは全員toeが本業ではなく、他に職を持っている。ドラムの柏倉はthe HIATUSのメンバー、ギターの山嵜は「Metronome Inc」というデザイン事務所にてデザイナーとして活動。ベースの山根は「OPEN YOUR EYES」というアパレルブランドの社長を務めているのだ。なんとも多彩なtoeが展開する聴きごたえのある楽曲、そこには躁鬱を日々感じるメンバーの深みが隠されていた。そんなtoeたちの楽曲の魅力を紹介しよう。
安定したビートに心地よいメロディが特徴のSong Silly
ドラムとベースの重厚感のあるずっしりとしたビートに、すっと入ってくるメロディ、まるで楽器のようなボーカルの声。これらがSong Sillyという曲の心地よさを生んでいる。toeは世界にも評価されており、日本に限らず世界中にファンがいる。どこか寂しげなこの曲、虚無と憂鬱をひっそりと表現。しかしただ寂しいだけでなく、灯りもしっかりともっているというなんともミステリアスな曲なのだ。この寂しさと灯りの灯った相反する性質を持ったSong Sillyはとても人間らしい部分があり、歌詞は少なくとも音楽だけで共感性を生んでいる。SPECIAL OHTERSの曲は歌詞が少なくほとんどインストと言って良い曲だが、全て共通して音楽だけで伝えたいことが伝わる、そんな人間の心に寄り添った魅力が隠されているのだ。
躁鬱の塩梅を交えた「グッドバイ」は人の心にすっと浸透する名曲
フジロックで常連となっているtoe、グッドバイは名曲としてファンの間で親しまれている。次、どのような展開になるかというワクワク感が聴いているうちに溢れていく。決して飽きさせることのないこのサウンドが日本のみならず、海外人気を誇っている理由なのだろう。グッドバイでは、上手くいかない日常を歌っており、終わりと始まり、そして少しだけ垣間見える可能性や絶望をちらつかせている。色々な方面からとらえることのできる曲で、切なさ、悲しさの中に人生のリアルな感覚を肌で感じることができる。「躁鬱はデフォルト」と語るtoeのメンバー、その闇がこの奥深い楽曲を生み出している。深い闇は、人々の共感を呼び、今日も誰かの心に響いていることだろう。ただ鬱を語るだけでなく、聴き手側のことを考え少しだけ前向きになれるようなポジティブさも交えられているグッドバイ。明日は嫌でも来てしまう、しかし少しの可能性を見出して生きて行こうという何か決意のような前向きさにはグッとくるものがあるのではないだろうか。
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