TEAM SHACHIが初の無観客ライブを無料配信で行った。このライブはコロナ禍の影響で予定していた「TOUR 2020~異空間~」の2月末以降の全公演中止を受け、「現時点での集大成を見せるべく準備してきたモノを多くの方になんとか届けたい」との想いからクラウドファンディングを実施。100%超の達成率を経て実現したもの。無料ながら時間にして2時間半。全25曲が熱唱/熱演された。
Photography_Kenichi Sasamori
Text_Sucao Ikeda
この日はまさに彼女たちが常に標榜してきた「super tough strong energy positive exciting soul」を終始実践。一夜ならではの編成や試み、機会だからこその演出も手伝い、新しい異空間が幾つも見受けられた。そして何よりもこれからも共に新たに歩んでゆくタフ民との、そのステージからの決意や気概、はたまた画面やコメント越しの力強い絆や信頼関係の新たなる誓いや結び直しも実感できたのも印象深い。
この日のバンドはTatsuya (Dr : Crossfaith)、masasucks (G : FULLSCRATCH/the HIATUS/RADIOTS/J BAND)、MIYA(B.)によるラウド面も長けた布陣。おなじみの女性6管「ブラス民」も加え、総勢9名+ゲストも交え、メリハリやコントラスト、ストーリーをもしっかりと堪能させてくれた。
バックヤードのTEAM SHACHIの秋本帆華、咲良菜緒、坂本遥奈、大黒柚姫に加えバンドメンバー、ホーン隊を交えた円陣と気合入れの場面を映し出された。放つ、いつもながらの自身のキャッチフレーズたちがことさらみなを鼓舞する。場面はデパーチャー映像へ。視聴者をこれからの海底遊泳へと想いを馳せさせる。
メインステージ後方の高い山台に4人の姿が。同時に本邦初公開の新曲「SURVIVOR SURVIVOR」(8/29配信リリース)がこの日のライブの幕開けを飾っていく。エレクトロラウドロックの上、クールな各人のラップやオートチューン性を降り交えた歌声が、歌われる
絶対にまちがいない。はぐれないでね
と共に深部へとグイグイ惹き込む。舞台を覆っていた紗幕が切り落とされると同時にスタンバっていたバンドと横一列に並んだホーン隊が現れ、「今日は最高の一日にしましょう!!」と秋本。
次曲「DREAMER」が
もっともっと輝きだそう、夢を夢で終わらせない
と視聴者も引き連れて走り出す。そしてドラムソロからのタオル旋回の自己紹介的ナンバー「Hello, TEAM SHACHI」では、私たちが世界中を鮮やかな色で彩ってやるとの強い宣誓がステージと画面越しで交わされるのを見た。
ライブはバンキッシュなゾーンへ。スカバンク性も映える「ROSE FIGHTERS」が軽快に場内を駆け回らせ、ギターソロを経て歌い騒げ踊れと「わたしフィーバー」が、そしてうって変わりミディアムながら力強い「You!」の際には
君は君のままで大丈夫。そのまま進んで行こうよ
と視聴者へ訴えかけた。また、名古屋愛溢れる「よろしく人類」では各人による各種の名古屋ホームチームのユニホーム姿も印象深い。
この日は幾つものサプライズも用意されていた。まずは大黒がグランドピアノへ。そこでの「カラカラ」の彼女によるピアノ初披露が我々を驚かす。同曲ではそのまま歌い出し、ピアノのみの演奏に3人の歌声がしっとりと切なさ溢れるユニゾンを響かせた。また「シャンプーハット」では優雅なストリングスも同期。マッピングやシャボン玉、優雅に泳ぐシャチの映像とも幻想的に融合し、この機会ならではの試みを見た。
この日はゲストも現れた。スリリングさ漂う「Rocket Queen」ではMCUが独特のラップで斬り込み、昨夏楽曲提供をしフェスを共に回ったヒダカトオルがギタリストとして迎えられた際には、そのヒダカ制作のシャチ版「Break away」ともいうべく「Rock Away」、ヒダカがアコギに持ち替え歌われた「なくしもの」では雄々しさたっぷりに、その4人のダイナミックな歌声を場内に広げていった。
無人ならではの試みが映えたのは中盤。客席にメンバーが登場した際だ。無人の客席の中で歌われた「BURNING FESTIVAL」が再びライブを盛り上げ、対するステージ上でも「こだま」がより4人のアクティヴな面を、「ULTRA 超 MIRACLE SUPER VERY POWER BALL」が彼女たちのワイルドな部分や一丸性を引き出した。また、和太鼓の荒々しいサウンドに乗せてマッピングと坂本の力強いダンスとの融合を経た、鼓童の土着的な躍動性溢れる「We Are…」、同じ和ながら対照的なキュートさ溢れる「Cherie!」、はたまた「グラブジャムン」ではあえてワンカメがメンバーを追いかけ、これまた無観客ならではのステージ上での自由さを感じた。
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