酸欠少女さユりは2.5次元パラレルシンガーソングライターである。3人に分裂し、3次元と2次元で神出鬼没に活動する、それが自らを2.5次元と称するさユりというアーティストだ。2015年8月26日、フジテレビ系ノイタミナアニメ「乱歩奇譚 Game of Laplace」のエンディングテーマ「ミカヅキ」でメジャーデビュー果たし、人気急上昇中の彼女が、6月24日に配信限定EP「るーららるーらーるららるーらー」をリリースした。酸欠した世界を独自の解釈で光と翳を歌う彼女のアーティスト性に迫る。
2.5次元パラレルソングライターが紡ぐ光と翳の世界
2.5次元という言葉は、まさに彼女のために創りだされた言葉であり、彼女以外の誰のものでもない表現である。パラレルワールドを研究し、幽霊を見たいと望んでいる3次元のさユり、境界線を確認しながら歩く2次元のさゆり、鉄塔を見ると拝むこちらも2次元のサユリ。現実と空想の狭間で活動する彼女たちの生態は、いまだ謎に包まれている。アコギをかき鳴らし、力強い声で歌う彼女は、本当に3次元のさユりなのか。そんな疑問を生み出す彼女の存在こそが、2.5次元というワードを身に纏う彼女が彼女たる所以であろう。
2012年のThe 5th Music Revolutionにて、4123組の中から出場最年少でのグランプリに輝いた彼女の快進撃はとどまるところを知らず、ROCK IN JAPAN FES.2016にも出演が決定している。
隠された素顔か作られた個性か
彼女のTwitterを覗いてみれば分かることだが、宣伝ツイートがなければ、メンヘラじゃないかと疑われそうな呟きが散見される。勘違いしないで頂きたいのだが、メンヘラチックでナイーブな部分というのはアーティストとして不可欠な要素であり、SNSでそれをさらけ出す彼女は、一般の人の目から非常に魅力的に映るだろう。
これもまた”アーティスト・さユり”を際立たせるための巧妙な罠か、はたまたリアルな彼女の存在を曖昧にするためのカモフラージュか、もしくはその両方か。何にせよ、独自の世界観の強調には成功しているという捉え方もできる。彼女の得体のしれない空虚なアーティスト性に惑わされ、惹かれる人が多数いるのにも納得ができる。
彼女の今後の活動、そして新たなる次元へのステップアップに目が離せない。
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