「カイ、ジューイ、ケン」より、「ギョーイ、ラモーン、シューイ」のほうが、しっくりくる。そういうスリーピースバンドが、話題を呼んでいる。いちおうお断りしておくけれど、3人ともたぶん知っている人たちである。公式HPをご覧あれ。白衣のクマのぬいぐるみが可愛い。ベビー服のおっさんは少しキモい。いわば「キモ可愛い」なんだけど、微妙にツボを外しているあたりが、奥田民生らしくておかしい。あ、バレちゃった?
「カイ・ギョーイ」たる者、時に熱く時にユルく未来を元気にしよう!
「1stフルアルバムに、「サンフジンズ」presents「サーフジーンズ」という曲が収録されている。言葉遊びにもウイットが重要。そのあたり、さすがに奥田民生は秀でている。
失礼。ギター&ボーカルを担当する彼は「カイ・ギョーイ」と呼ばれている。
2015年の音楽イベントに、奥田がふたりのゲストを招いたことがきっかけで結成された。芸名はツイッターで募集、厳選の末が「カイ・ギョーイ」だ。
カイの豊かな社交性は、多くのアーティストとのコラボを見てもよくわかる。「日本一のロック大将」の異名を持つだけに、兄貴分的な一面も。慕われる理由は、そんなところにもある。
その楽曲は熱い。その上で、少しユルめの言葉の連なりが独特の心地よいテンポ感を生む。
「医者じゃないけど、未来の君を元気にするんだ」という「サンフジンズ」のコンセプトには、カイならではの想いがしっかり込められている。
「ジューイ・ラモーン」は、くるりくるりとドクターを楽しんでいる。
結成後、初の音源は「じょじょ」。ユルさの中に、ハートフルなメッセージが込められたキュートな一曲だが、その歌詞の中で「くるり」が登場する。
これはもちろん、岸田 繁を意識した、遊び心の賜物だ。
失礼。彼は「ジューイ・ラモーン」と呼ばれている。
1996年に結成された伝説的ロックバンド「くるり」の第1期からのオリジナルメンバーでありフロントマンで、ボーカル、ギターを担当している。ほとんどの「くるり」作品を、彼が作詞・作曲してきた。
「サンフジンズ」では、カイ・ギョーイとともに作詞・作曲を手掛けている。作詞・作曲とも彼が担当したのは「さっさっサンフジンズ」。「奇数したい」「ちゅーきんキング」「富士夫人」といった、タイトルからして民生節が炸裂している楽曲に関しては、作曲を担当している。かなりわかりやすい。
ちなみに白衣に眼鏡の出で立ちは、3人のメンバーの中ではもっとも「お医者さん」っぽい。
「ケン・シューイ」は、伝説のふたりに負けない“覚醒”を見せ付けた
2015年のツアーは「全国オペ“過注射”」、2016年の対バン企画は「問診過注射」と題された。演奏中は「手術中」のランプが点灯しているらしい。
そこでちょっと心配になったのが、伊藤大地のこと。
失礼。若き「ケン・シューイ」は、伝説的なフロントマンであるふたりの大先輩が「尿を採ってこい! 」なんて観客に叫んでいる絵に耐えられるキャラだったか?
耐えられるキャラだった!!
「SAKEROCK」「good luck heiwa」「Cherry’s」など、参加バンドは多岐にわたる。
メジャー級のシンガーとともにレコーディングに参加、名作を手がけてきた。
ステージでは、ふたりの“伝説”にまったく引けをとらないプレイを見せる。いや彼だからこそ、ふたつの強すぎる個性をハーモナイズドできるのかもしれない。
元気になりたいなら、ぜひ一度、オペを受診してほしい。「カチューシャ」は、かなり痛そうだけど。
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