もしかすると、より日常的にヒップホップやラップに親しむ機会が多いかもしれない沖縄出身。Rude-α(ルード・アルファ)は若干19歳という若さながら、すでに骨太な「男」を感じさせるボイスの持ち主。これまでは沖縄を中心に活動してきたが、いよいよ東京に本拠を置くことを決心したのだとか。本当の意味での挑戦を始めようとしている、若きパフォーマーに期待大!なのである。
沖縄で生まれ育ち、育まれたリズムセンスと言葉の感性
15歳の頃からダンスを始めたということだが、その頃からリズムセンスやテンポよく韻を踏む心地よさといった「好きになる基本」は備わっていたのかもしれない。同じ沖縄出身の先駆者的先輩ラッパー「KDT」のパフォーマンスに刺激を受けてヒップホップ/ラップの世界に足を踏み入れてからは、楽曲のリリース、ショウケースやライヴバトルへの出演、ほかのアーティストたちとのコラボレーションなど、一気に活動の幅を広げてきた。
1997年生まれなので、2016年現在ではまだ二十歳前。ですが、声の質からはとても厚みのある男らしい印象が感じられる。その活動も、とても男らしい決断力と行動力に溢れている。2014年10月に開催されたBAZOOKA!! の第6回高校生RAP選手権に参戦し、みごとに準優勝を飾ったが、本人的には満足がいかなかったのだとか。ストリート系での積極的なパフォーマンス活動を経て、そこで知り合った仲間たちと1stミニアルバム「098オーケストラ」を製作した。ここでつけられた「098」は、那覇市など沖縄の多くの都市に該当する市外局番のことである。
故郷のグルーブを世界に広げるために、旅立つ
Rude-αが「098」とともにそのアルバムに込めたのは、沖縄独特のグルーブを全国に届ける、という意気込みでだった。その後に発表された楽曲には、沖縄という独自の風土が育んだヒップホップ/ラップカルチャーに対する想いが、常にこめられているように思える。だからこそ、彼が本格的に東京でアーティストとしての活動に取り組むことを決意した時に製作したアルバム「ADOLESCENCE」は、多くのファンにさらなる熱狂とともに受け入れられることになる。CD販売は沖縄県内のみ、配信をメインとするリリースでしたが、そこに収録されたEP三部作には、郷土愛といってもいい彼の音楽の原点が息づいているように思える。
その原点に対して、ファンからは応援するエールが届いている。「ADOLESCENCE」の配信が始まったのが2016年3月末だが、その1ヶ月ほど前にYouTubeで公開されていた「風穴」のMVは、上京直前にしてすでに大きく成長しているような、力漲るRude-αのラップが描かれていた。そのコメントの中にも、「上京するとういうことで、今までのrude君は郷土愛ラップのイメージが強かった訳で、でもこれからは郷土愛ラップからの脱却をしなくてはならない」と、厳しくも温かいエールが…。
いつでもどこでも、忘れない想いがRude-αを支えるハズ
エールは、「上手い奴がわんさかいる東京で挫折せずに長い間音楽続けてほしい」と締めくくられていた。おそらくは同郷のファンなのだろう。たとえ本拠が変わったとしても、Rude-αのバックには圧倒的な沖縄の熱狂と支持がついていることを、改めて思わせてくれるコメントでした。故郷を忘れない想い、故郷が忘れない想い、ふたつの失われない力がある限り、彼は「沖縄が生んだラッパー」として、世界中で愛されることになるのかもしれない。
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