逝去の報に衝撃を受けている人も多いであろう、プリンス。
1958年生まれ。ミネアポリス・サウンドを代表するアメリカの世界的歌手。
本名はプリンス・ロジャーズ・ネルスンであったことから、デビュー時のアーティスト名はプリンス(Prince)。後にレコード・レーベルとの関係悪化から、人気絶頂の最中にその名前を捨ててシンボルだけの存在になった時には、ラジオ局やテレビ局では読みあげるアーティスト名がなくなって大騒ぎ。シエスタを求めてスペインに移住したり、別名義が山ほどあったり、と多くの人が認める天才。
ファルセットを多用する歌唱スタイルとは対照的に、茶目っ気を垣間見せる低いトーンの語り口は大変知的で秘めた情熱を感じる。
米人気歌手・プリンスの歩み
父親はジャズ・ピアニスト、母親はジャズ歌手というサラブレッド状態に加えて、幼い頃からサンタナ、フリートウッド・マック、スライ&ザ・ファミリー・ストーンなどの影響を受け、中でもチョッパー・ベーシストのパイオニアであるラリー・グラハムとは親交が深く、後のアルバム制作にも参加している。ファンクやロックから90年代以降の心地良いシルキーなサウンドまで、全てにおいて高次元なクオリティを保ち続け、常に進化を続けた彼の音楽は、いち早くデジタル楽器を取り込んだサウンドも特徴的で、聴き始める時期が違えばまったく別のアーティストかと思うほど幅広く、そして素晴らしい。
「自分の音楽はインスピレーションに導かれて作っているのでカテゴライズはできない。ダンス・ミュージックと言われようがパーティ・ミュージックといわれようが構わないし、心が落ち着くと言われても嬉しい。インスピレーションは父や祖父、そして神からの贈り物だから。」
1978年に発表されたデビューアルバムは「FOR YOU」。すべての楽器をひとりで演奏するマルチな才能が遺憾なく発揮された名盤で、その後のライブツアーではメンバーがなかなか定まらずに苦労することに。ブリブリのファンクからギターが心地よいロック・チューンまで詰め込まれた楽曲の数々は、彼の才能の幅を物語っている。
死因をいぶかるニュースが飛び交うが、それはさして大きな問題ではない。もう彼は帰ってこない、でも残された音楽はたくさんあるのだから。
Rest in Peace.
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