人間椅子 20枚目のアルバムが開く異世界へのトビラ
バンド結成から今年でなんと28年! ライブの動員もぐんぐん増え、近年ますます勢いに乗る人間椅子が10月4日に20枚目となるスタジオアルバム『異次元からの咆哮』をリリースします。前作アルバム『怪談 そして死とエロス』は、「怖さ」と「ポップさ」が前面に出た人間椅子としてはとてもキャッチーなアルバムでしたが、今作はなんと「異次元」で「咆哮」 ときているから、どんなアルバムに仕上がっているのか謎が謎を呼んでいます。そのわくわく感は以下の和嶋慎治(Gt,Vo)のコメントからも伝わってくるでしょう。
世界が、我々に見えているものだけでないとしたらどうでしょうか。動植物は、どうも人間みたいな生活苦を抱えているようには思われませんから、彼らはもしかしたら、極彩色のエネルギーのめくるめく空間に暮らしているのかもしれません。人間はがんじがらめに条件付けされているゆえ、こう、としか現実を把握できないところがあります。それがため、さらに世界は単調で苦しみに満ちた景色に見えてきます。
多次元、異次元、という考え方があります。世界は単一のものではなく、無限に折り重なり、そこには多様の存在がひしめいている──想像しただけで、何かわくわくしてきます。ときに、音楽とは目に見えないものです。我々が音楽を聴いて感動するのは、それが目に見えない、異世界への扉を開いてくれるからではないでしょうか。
今回のアルバムでは、様々の異次元の住人が登場します。あるいは、異世界の精神を持って現実で暴れまわる男も出て来ます。まるで世界の閉塞感を、退屈さを嘲笑うかのように。未知なるものへの対峙は恐怖を伴うものですが、それは自己の変容を促すものでもあります。さあ、人間椅子と一緒に、怖くて楽しい異次元への旅行に出掛けましょう。
音楽=目に見えない異世界への扉、このアルバム『異次元からの咆哮』を聴き、体感すれば、未知への視点が手に入りそうな予感に満ち満ちています…。
今回この記事では、そんな人間椅子の魅力を改めて振り返ってみたいと思います。まだ人間椅子を知らない! 聴いたことがない! という方もぜひチェックして、この超かっこいいバンドの魅力に取り憑かれてしまってください。
BLACK SABBATHから始まった最強のバンド・人間椅子
人間椅子は和嶋慎治(Gt,Vo)、鈴木研一(Ba,Vo)、ナカジマノブ(Dr,Vo)のメンバーによる3人組バンド。1987年に高校の同級生だった和嶋と鈴木により結成され、「BLACK SABBATHなどに代表される70年代ブリティッシュハードロックサウンドに日本語の歌詞を載せる」というユニークなコンセプトから活動がスタートしています。BLACK SABBATHへのリスペクトは非常に強く、ミーティアで以前公開した記事「鈴木研一(人間椅子)のダークサイドな音楽」では鈴木が「人間椅子にとって神様のような存在」と紹介するほど。
https://youtu.be/0s1oz5vck3s
鈴木が「この曲はあまりに完璧すぎて、どうしても到達することのできない高みに鎮座する教典のようなもの」とコメントしたBlack Sabbath『Into The Void』。まだ聴いたことがないファンは要チェック!
「人間椅子」という強烈なバンド名は、江戸川乱歩の短編小説として今でも強い人気を持つ同名の『人間椅子』から。ヴィジュアルからも伝わってくるように「和」も人間椅子にとって大切なキーワードです。
和嶋が手がける歌詞からは江戸川乱歩や太宰治といった日本の文豪たちの空気が感じられ、故郷の青森津軽弁の発声を元にした歌唱法や津軽三味線的な旋律などもこのバンドならではの特徴でしょう。サウンドはもちろん、ビジュアルも洗練されていて超かっこいい! 視覚からも聴覚からも楽しませてくれる、そんなバンドが人間椅子です。
これを聴け!人間椅子のおすすめ楽曲
さて、ここで人間椅子の楽曲の中から特におすすめの楽曲を紹介してみようと思います。28周年というだけあって曲数も超膨大! お気に入りの名曲が見つかったら、その楽曲が収録されているアルバムを聴いてみたり、過去の名盤を追っていったりと、人間椅子の世界をぜひ辿ってみてください。
人間椅子『怪人二十面相』
2000年に発売されたアルバム『怪人二十面相』のタイトルナンバー。非常にドラマチックな展開を持つ楽曲でスリリング。残虐さ、哀愁が強く感じられます。それにしても本当に良いリフです…。
人間椅子『芋虫』
人間椅子を語る上でこの曲は絶対にはずせません。歌い方、歌詞、ギターのダークなダウンド、とにかくかっこいい。人間椅子がこの日本に打ち立てた記念碑的な作品といえるでしょう。
人間椅子『宇宙からの色』
近年発表された楽曲の中でも特に筆者のお気に入りなのがこれ。ハワード・フィリップス・ラヴクラフトによる小説『宇宙からの色』から取られたであろうタイトルが示す通り、「フォトンベルト」、「アセンション」、「ダークマター」などSF感あふれる単語が歌詞にふんだんに使われています。サビのキメのドラムがたまりません。
人間椅子『なまはげ』
4:11からの和嶋の痺れるようなギター、この部分を聴くために何度この曲を聴いたことか…。そこからの強烈な3人のサウンドも最高、鳥肌ものです。
人間椅子、異次元で叫ぶ!!
そんな人間椅子が10月4日にリリースする最新アルバム『異次元からの咆哮』、今から楽しみでなりません。クリストファー・ノーラン監督の映画『インターステラー』や、テッド・チャンの短編小説を原作にした映画『メッセージ』など近年、異世界、異空間を感じさせるSF映画がスマッシュヒットを続けていますが、『異次元からの咆哮』はそれらSF的な作品群が好きな人も楽しめる作品になっている気がします。詳細はまだ明らかになっていませんが、先に全国9箇所を巡るリリース記念ワンマンツアーの日程、会場が公開されているので、ライブでもアルバムの世界を存分に楽しめそうです。
アルバムの詳細もまもなく発表されることでしょう。「人間椅子、異次元へ!」、まだまだ快進撃は止まらない!!
■人間椅子『異次元からの咆哮』
発売日:2017年10月4日(水)
初回盤:CD+DVD ¥3,704(税別)TKCA-74561
通常盤:CD ¥2,685(税別)TKCA-74562
初回盤DVDには、今年3/25に赤坂BLITZで行われたライブ盤リリース記念ワンマンツアー『威風堂々』ファイナル公演のライブ映像が収録予定
■『異次元からの咆哮』リリース記念ワンマンツアー(全国9公演)
10月31日 仙台CLUB JUNK BOX
11月2日 弘前Mag-Net
11月4日 札幌cube garden
11月8日 神戸Chicken George
11月10日 高松Olive Hall
11月12日 大阪umeda TRAD(前AKASO)
11月14日 博多Be-1
11月16日 名古屋Electric Lady Land
11月19日 東京Zepp Diver City
*詳細は、後日発表
■人間椅子オフィシャルサイト
http://ningen-isu.com/
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