ましのみ『ぺっとぼとリテラシー』でプチョヘンザしなきゃだめ
「奇才溢れるひねくれPOP。ピアノSSW系エンターテイナー」を銘打った、あらたな才能が世に放たれる。その名も”ましのみ”。ひらがな四文字の女性シンガーソングライターだ。
(ましのみ『ナンセンスに逆戻り』MV Short ver.)
ましのみとは?
ましのみは、キーボードの弾き語りスタイルで活動している現役女子大生シンガーソングライター。2016年、ヤマハが主催する23歳以下のアマチュア・アーティストを対象とした『The 10th Music Revolution』に出場すると、卓越したピアノの演奏力と歌唱力、独特な世界観で、約3000組の中からグランプリを獲得。インディーズでは2枚のアルバムを発表。
弾き語りスタイルというとアコースティックな演奏を想像するかもしれないが、ましのみはエレクトロ要素の強い弾き語りを得意とする。
(ましのみ『エゴサーチで幸あれエブリデイ』リリックビデオ)
ヒネリの効いた歌詞の面白さ
(ましのみ『プチョヘンザしちゃだめ』MV Short ver.)
ましのみのオリジナリティは歌詞によく現れている。
たとえば、配信限定リリースされていたシングル『プチョヘンザしちゃだめ』。タイトルからしてすでに独特の雰囲気があるが、サビのフレーズだけ抜き出してみよう。
プチョヘンザしちゃだめ手をあげないで あの子のいいなりにならないで
ラブソングにまで身をゆだねてちゃ Yes のアンサーそのもの
プチョヘンザしちゃだめ手はつないでて ライトの当たらないはじの方で
ベースの音 震えた心臓に追い打ちかけるようにキスをしてよ
おわかりの通り、この曲のテーマは恋愛である。
「プチョヘンザ」とは「put your hands up」のことで、「手をあげろ」という意味。
場所はライブ会場、主人公の隣には恋人(もしくは恋人未満の相手)がいる。ステージではおそらく知り合いの女の子が歌っている。場面はちょうどサビあたりか。フロアは湧き、お客さんは手をあげて盛り上がっている。そういう状況で、主人公の隣にいる彼も結構ノッているらしい。そんな彼への恋心と嫉妬心を歌ったのがこの曲なわけだ。
しかし、なぜ嫉妬しているのか? サビの手前の歌詞を聴いてみるとわかる。
だってあの子の歌に出てくる ゆるふわパーマのあなた なんて
君以外いないとわかるでしょう
「あの子」が歌っているのは明らかに「君」に対するラブソングで、そんな曲にノッてしまうことは「あの子」の気持ちに応えることになる。
つまりこの曲は「わたしを見て!」と言っているのだ。
しかし、「わたしを見て」でも「あの子を見ないで」でもなく、「あなたが好き」ですらなく、ましのみは「プチョヘンザしちゃだめ」と歌う。こうしたストレートではない独特な言い方で恋心を表すところに、ましのみというアーティストの独自性がある。
言い回しとしてはかなりひねくれているが、不思議と腹に落ち、心に残るフレーズでもある。「プチョヘンザ」という言葉だけで耳残りが良いのに、「だめ」という命令系を加えて意味の衝突を起こさせ、その上でふたつの命令系を「しちゃ」というくだけた日常語で繋ぎ、さらには「だめ」をひらがな表記にしてかわいさとのバランスを取る。といった具合に、このワンフレーズには様々な工夫が込められている。
このように、ましのみの歌詞はヒネリが効いていて、情報量が多く、なおかつ心に残るものが多い。
クセがすごい
【この後深夜2時43分!!】
TBSにて『たくのみ。』
第2話が放送だよわーい🤤#たくのみ #ましのみ
(@anime_takunomi )EDでましのみの『ストイックにデトックス』も聴ける(はず)なので皆様ぜひアニメと一緒にちぇけらしてねね
書き下ろした曲が映像と共に流れてくれるなんて超ドキドキだ…楽しみ pic.twitter.com/c8ymgRzDK9
— ましのみ (@mashinomi55) 2018年1月18日
上の動画を見てほしい。
ましのみはTBSアニメ『たくのみ。』のエンディングに『ストイックにデトックス』という、これまたタイトルの印象的な楽曲を提供していて、上のツイートは、いわゆるその告知ツイートなのだが……この独特の喋り方(なんとなく、声は大森靖子を、たたみかける喋り方は黒柳徹子を彷彿とさせる)と、最後の狂気を感じさせる目つき。そして何より、ウーロン茶と会話している?
こういった「架空の何か」との会話は、ましのみの動画やライブでは全然珍しいことではない。
こちらにLINELIVEのアーカイブが残っている。タイトルにも「寸劇」という言葉が入っている通り、ほとんどのライブでこのような一人芝居が挟まれる。しかも突然、ナチュラルに始まる。
……キャラのクセがすごいんです。
それから、ましのみと言えば水。とにかく水を飲む。
ライブ中には必ず2リットルの水を飲み干す。最近はインタビュー時などでも2リットルの水を手放さないらしい。2017年10月14日に渋谷WWWで行われたフリーワンマンライブでは、終演後に来場者へ2リットルの水が配られた。
……おみやげのクセがすごい。
そしてこのあと深夜2時43分!!
TBSにて「たくのみ。」第四話の放送ですね楽しみ!!ちなみに私は今日のリハで(いつにも増して)めちゃくちゃな量(4.5L)の水を飲みました#たくのみ #ましのみ #がぶのみ pic.twitter.com/Nl6ovMQF0m
— ましのみ (@mashinomi55) 2018年2月1日
(いやいや、4.5リットルはさすがに飲みすぎでしょ)
また、自己紹介がてら行う「ましらっぷ」も話題。このラップのやり方は少し、DJみそしるとMCごはんを想起させるかもしれない。こちらの動画はメジャーデビューへの決意表明を示した「ましらっぷ」。
(ましのみ『ましらっぷ〜これからのましのみのおたのしみVer〜』)
このラップ、はじめは息抜きとして始めたらしいが、今ではすっかりましのみを代表するコンテンツのひとつとなった。彼女の楽曲のポエトリーラップ的な要素も、この「ましらっぷ」で培われたのかもしれない。
そして毎回、動画の終わり方のクセがすごい……。
ちなみに『The 10th Music Revolution』でグランプリを取ったときの動画がこちら。
(ましのみ『Q.E.D.』10MR 東日本FINAL STAGE 1日目)
このシリアスな雰囲気。「ましらっぷ」と本当に同じ人? ……ギャップがすごい。
アルバム『ぺっとぼとリテラシー』でメジャーデビュー
2018年2月7日にはアルバム『ぺっとぼとリテラシー』でメジャーデビュー。ジャケットにまでペットボトルの水が……! しかもよく見ると、背景の工場と同じ形に積み上げられている。
前述した『プチョヘンザしちゃだめ』『ナンセンスに逆戻り』『エゴサーチで幸あれエブリデイ』のほかに、キュートでポップな『名のないペンギン空を飛べ』、ライブで最初に演奏されることが多い『Hey Radio』、TBSアニメ『たくのみ。』EDテーマの『ストイックにデトックス』、弾き語りバラードの『リスクマネジメント失敗』など、収録曲はボーナストラックを含めた全11曲。
ノれるエレクトロからしっとりした弾き語りまで。毒もあれば、キュートさとトリッキーさもある。たとえるならば、大森靖子の名盤『洗脳』のような鋭さと丸さを兼ね備えた作品であると言える。
カルチャー感度の高いみなさんは、早くこのアルバム『ぺっとぼとリテラシー』を聴いてプチョヘンザしなきゃだめです!
(ましのみ メジャー1stアルバム『ぺっとぼとリテラシー』全曲トレーラー)
作品情報
ましのみ メジャーデビューアルバム「ぺっとぼとリテラシー」
【初回限定盤】CD+DVD:PCCA-04602 / 3,000 円(税込)
【通 常 盤】CD ONLY:PCCA-04603 / 2,500 円(税込)
【収録曲】
1. プチョヘンザしちゃだめ
2. ナンセンスに逆戻り
3. 名のないペンギン空を飛べ
4. エゴサーチで幸あれエブリデイ
5. やりくりゲーム
6. Hey Radio
7. 灰かぶり姫
8. ミスター
9. ストイックにデトックス(TV アニメ「たくのみ。」ED テーマ)
10. リスクマネジメント失敗
(bonus track)チャイニーズ再履修
<全 11 曲>
【DVD 収録予定内容】
1「プチョヘンザしちゃだめ」&「ナンセンスに逆戻り」Music Clip
2 Digest of「ましのみフリーワンマンライブ@Shibuya WWW」 (2017.10.14)
3 mashinoMISSion
4 Making of「ナンセンスに逆戻り」Music Clip & Jacket Shooting
ましのみ ワンマンライブ@SHIBUYA WWW X
ぺっとぼとリテラシー
~別途ほとばしるショータイムへようこそ~vol.1
【日程】2018年3月11日(日)
【会場】Shibuya WWWX
【開場/開演】16:00/17:00
【チケット料金】前売り¥3,500(税込:D別)
*学生は500円キャッシュバック(当日、学生証をご提示ください)
【一般発売情報】
期間:1/20(土)10:00~
ぴあ 0570-02-9999(Pコード:103-621)
http://w.pia.jp/t/mashinomi/
ローソン 0570-084-003(Lコード:74395)
http://l-tike.com/search/?keyword=74395
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