平成から令和の現代まで「歌姫」として君臨し続ける、倖田來未(こうだくみ)がデビュー20周年を迎え、オールタイムベストアルバム「BEST~2000-2020~」を12月6日にリリースする。デビュー当初からのファンは無論のこと、若い世代からも「憧れの存在」として支持され続ける彼女。
倖田來未が愛される理由は、数え切れないほどあるものの、そこには1つの共通点が。それは、いい意味で「変わらないこと」。本記事では、そんな倖田來未のデビュー当初から変わらぬ「魅力」と「存在感」について、あらためて深掘りしてみたい。
1.圧倒的な歌唱力
まず、誰もが認めるであろう、その「歌唱力」。
地声の音域は女性としてはやや低めであり、そこから繰り出されるハスキーかつ鳴りが強い声質が特徴。声帯がかすれる音も魅力のひとつで、切ない曲にもアッパーな曲にも独特な色気を纏わせる。倍音を含んだよく通る声は天性の賜物でもあるが、ヴォイストレーニングをしっかりと積んでいないと表現できないものなのではないだろうか。
また、彼女のエンターテイメントとしてのスタートは3歳からだという。祖父は尺八、母は琴の師範を務める音楽一家として育ったこともあって、幼い頃から日本舞踊を始めた。
そして、後にavexよりデビューすることになるのだが、数年間はくすぶり続けることとなる。
スクウェア(現:スクウェア・エニックス)から発売されたPlayStation 2用ゲームソフト「ファイナルファンタジーX-2」のテーマ曲に抜擢され、タイアップ曲が収録された7thシングル「real Emotion/1000の言葉」がオリコンチャート3位を記録した。しかし、テレビには出演させないという事務所の方針で、クラブなどで歌っていたため、その後1年間ほどシングルセールスには恵まれなかった。
そういった経緯もあり、デビューしたものの「下積み時代」とも言える辛い時期を過ごしたことを、さまざまなインタビューで語っている。
しかし、2004年に転機が訪れる。11thシングル「LOVE & HONEY」が、久々のトップ10入りを記録。
そして、このシングルに収録された、映画「キューティーハニー」の主題歌でもある、往年のアニメ曲のカバーヴァージョンは、彼女の存在・歌声を世代を越えて認知される転機となったスマッシュヒット曲となった。
『キューティーハニー』~ 20th Year Special Full Ver. ~
さらに、セクシーな衣装とダンスでテレビ出演も精力的に行う。このころから「エロかっこいい」が彼女の代名詞として定着していった。
Butterfly
その後も、テレビアニメ「ギルガメッシュ」の主題歌「Crazy 4 U」、テレビドラマ「コスメの魔法2」の主題歌「Butterfly」、Jリーグ中継テーマシング「奇跡」など、立て続けにヒットソングを連発。下積み時代に培った確かな歌唱力あってこその大躍進と共に、彼女は「歌姫」として世間に認知されてゆくことになる。
2.キレのあるダンス、ライブパフォーマンス
39歳となった現在でも、変わらない……いや“さらに進化している”とまで思わせる圧倒的なダンス、パフォーマンスを見せつける倖田來未。
後述する体系維持の努力も然ることながら、やはり彼女の運動能力、抜群のセンスが冴えわたる。ダンスと言えば、激しい動きのパートがフォーカスされがちだが、倖田の“静”部分の動きにも注目してほしい。爪の先まで計算されたしなやかで繊細なムーヴ。躍動感がありながらも一見、CGかとも思わせるような幾何学的な所作。
新曲「4 MORE」ミュージックビデオは、大人の恋の駆け引きを歌ったミディアムなダンスナンバー。サビの部分での“ラブモアダンス”と呼ばれる胸の前でハートを作って踊るダンスがTikTokなどのSNSで人気を呼びはじめており、
相変わらずセクシー
大人っぽいくてかっこいいのに、なんかかわいい。子供のころにはあまりわからなかった、エロかっこいいの意味が理解できた気がする!
などの声が上がっている。
『4 MORE』(Official Music Video)
また、【ダンス一発取り】である、「Killer MonsteR」の動画における緊張感溢れるダンスにも注目!
【ダンス一発撮り】No Edit at All 倖田來未/Killer MonsteR
3.いつも寄り添ってくれる恋愛ソング
デビューから一貫して、恋愛ソングを歌い続けているところも、彼女が幅広い世代から支持され続ける魅力のひとつ。片想いや両想い、失恋など、どのテーマを取っても共感できる歌詞は、倖田ワールドの礎とも言えるのではないだろうか。時にはシリアスで時には、チャーミング。そんな名曲におけるリリックの一部と、ファンたちの声を紹介したい。
・「hands」(2005年)
冷たく凍えそうな my hands
こんなに想ってるのに…
「本当は引き止めてほしい」
そう言いたかった…
冒頭の一節からその情景や、切なさがイメージさせられる初期の名曲。また、一人称が「僕」であることから、男性でも感情移入できる人は多いのではないだろうか。女性目線で「僕」とあえて言っているのか? など、二重の目線を想起させる奥深さにも注目。
・「愛を止めないで」(2011年)
失恋、そしてまだあなたに未練があるという心情をストレートに綴った歌詞。
それはカッコ悪く見えるかもしれないが、倖田來未は、きっと、ありのままの感情を歌っている。
もう一度だけ もう一度だけ
遅すぎない 出会いをください
愛しい人よ いつまでも笑顔のまま
愛を止めないで お願い 愛を止めないで
そんな誰にもありうる悲恋だからこそ、多くの人々の胸に突き刺さるのではないだろうか。
・「again」(2019年)
近年のラブソングでも、「後悔」や「未練」の描写は健在である。が、かつての楽曲より、「よき想い出」として書き上げたのではないかと想像させられる、大人の女性のバラードチューンだ。
あの時 あの場所で 交わす 言葉や
バラバラになった心も
あの時どうして 愛していると
言えなかったんだろう
上記、ブリッジ部の歌詞に特に共感したという声も、ネット上では散見された。
さまざまな世代の恋愛に、寄り添い続けてきた倖田來未。20年にわたり恋愛ソングを歌い続けているからこそ、彼女の楽曲を探せばいつも、自分の心にフィットする曲が見つかる気がする。
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