「生きたいというより、まだ死ねない」どこかに蟠りの残る言葉をラップに乗せる。それが今ヒップホップ界で人気沸騰中のKOHHだ。彼の自由奔放でシンプルなかっこよさを持つラップは高田純次のラフさに影響を受けているようだ。ヒップホップの王様”KREVA”も彼を絶賛しているという。プロも目が離せないというそんなKOHHの魅力に迫る。
世界が注目するKOHHが奏でるヒップホップミュージック
1990年4月22日に東京都のとある団地で産声をあげたKOHH、韓国人の父と日本人の母を持つハーフだ。弟もLIL KOHHという名前でラップを刻んでおり、兄同様その才能は徐々に頭角を現している。KOHHがラップを始めたのは2008年。初めて日本人が作り出したラップを聴いた時カッコイイと思っていたそうだが、ある時から「日本人のラッパーはダサい。俺の方がカッコイイんじゃねえか?」という思いが芽生えたんだという。この思いが自分の音楽活動を始めるきっかけとなり、KOHHフィーバーとなる今に至ったわけだ。もちろん今も「カッコイイヒップホップを作り続けていきたい」という気持ちは変わらず持って活動している。
レーベル契約後も自分のスタイルを貫き通すストイックさを持つKOHH
18歳の時にエンジニアとして活躍している理貴と一緒にレコーディング活動を始め、多い時は1日に7曲作っていたそう。そしてその後どんどん活動の場は広がり、ヒップホップ界では間違いないと評判のプロデューサー318の目に止まり、GUNSMITH PRODUCTIONと契約に至った。レーベルと契約しても自分らしいミュージックは衰えることなく、むしろ加速していく一方。芯がぶれることなく一見チャラそうに見えて中身のあるKOHHにしか出せないラップを確立させていった。今までにありそうでなかったこのありのままのKOHHサウンドが大受け、ヒップホップ界に波紋を呼ぶこととなり、一躍有名になったのだ。2016年には有名な音楽番組「SPACE SHOWER」が展開する最も優れたアーティストに授与される賞のヒップホップ部門で受賞するほど彼の実力は広がっていった。
お金のためではなくあくまでも自分の人生のため…エモーショナルな心
お金は必要だけれども、俺は自分のために生きる、好きなようにいきたいという気持ちを表現した一曲「Business and Art」。この曲からもわかるように彼は自分のために自分らしく、好きなように人生を歩んでいることがわかる。「お金のために生きるなら死ぬ」という曲中の歌詞にもあるように決してお金に媚びることもなく、ただ好きなことをやるために生きているKOHH。この真っ直ぐでシンプルな生き方は簡単なようで実はなかなかできないものだ。
シンプルでまっすぐな生き方はラップにも…これからも目が離せない!
しかしこの誰もを虜にする生き方の裏には、複雑な家庭環境を乗り越えてきたKOHHの苦悩も見え隠れしている。北区のとある団地で育ったKOHH。父親は小さい頃他界、母親は小さい頃家を空けていることが多い上、薬物依存症だったという。お金もなく、精神もボロボロ、そんな過去もあったからこそ、奥深いラップを作り出すことができるのかもしれない。何にもとらわれずに自らの道を自らの手で人生や可能性を切り開いていっているのだ。そんな姿勢に日本を超え世界中が惹かれている。彼の生き方を象徴したようなヒップホップサウンドは今、社会でもがく人々の心に浸透し、また救いになっていることだろう。みんなの心に嫌味なく染み渡るKOHHのラップ、一度聴いてみてはいかがだろうか。
SHARE
Written by