東京・府中発のギターロックバンド、kobore。確固たる決意を持って始まったわけじゃなかった彼らは、持ち前の負けん気で必死にライヴへ臨み、感じたその瞬間を曲にしてきた。結成から4年、驚異的なスピード感で駆け上がり、今や大型フェスにも当たり前のように名を連ねるほどの存在感を示している。そんな彼らに、ミーティア初となるインタビューを行った。
Photography_Reiji Yamasaki
Text_Ryuji Yakou
周りの強い後押しのもと、ひたすらに走り続けたkobore
――初登場となりますので、まずは結成の流れを教えていただけますか?
佐藤赳(Gt.Vo) : 僕が高校を卒業して大学へ行ったんですけど、特に面白くもなくて(笑)。高校時代にコピーバンドで出演したことがある地元・府中のライブハウスで働き始めたんです。
伊藤克起(Dr.) : 大学はすぐに辞めたよね?(笑)
佐藤 : ちゃんと通ってたのは3ヶ月ぐらい(笑)。だから、ライブハウスで働きながらやりたいことを探そうと思ってたら、店長に「お前は華があるし、弾き語りからでもいいからバンドをやれよ」と言われ、弾き語りで歌うようになったんです。で、1年ぐらい経った後、その弾き語りをバンドサウンドでやってみたくて、SNSで暇そうにしてた安藤とまだ高校生だった田中(Ba)に声をかけたのがkoboreの始まりになりますね。
――そうなると、最初はメンバーもサポートみたいな感覚だったというか。
安藤太一(Gt.Cho) : ホントにそんな感じでしたね。(佐藤は)やりたいことに関して、具体的なイメージを持ってたんで「こんなことをして欲しいんだな」みたいなところがあったし。
佐藤 : 言っちゃえば、(佐藤)赳バンドみたいな感じでしたね、最初は。
――ソロプロジェクトをバンドスタイルでやってるような。
佐藤 : ただ、それが結構いい感じにまとまってきて、「次のライブを決めようか」みたく……じゃなくて、決めさせられたんですよ、店長に(笑)。
安藤 : 完全にパワープレイです(笑)。
――いい感触がありつつも、周りの強い後押しがあったと。
佐藤 : そうしたら、止まらなくなっちゃって、ここまで走ってきちゃった感じですね(笑)。
――その頃の様子を伊藤さんは知ってるんですよね。
伊藤 : 当時、僕は高校生だったので、先輩バンドとして観てました。そうしたら、ドラマーが抜けるということでサポートを頼まれたんです。曲も全部知ってるのでやることにしたら、いちばん最初のスタジオで新曲を作り始めて。「ノリノリで作っちゃったな〜」と悩んでたら、安藤から「入っちゃえば?」と言われました(笑)。
佐藤 : 振り返ると、koboreは周りの後押し系バンドですね(笑)。
伊藤 : 僕は2つのバンドを同時にやりたくなかったんで、koboreをやるためにそれまでやってたバンドは解散させて、加入しましたね。
――そういった勢いもそうですけど、koboreといえば、同じシーンにいるバンドの中でも飛び抜けてライブの数が多くて、バンドらしいバンドだなと思ってまして。
佐藤 : 年間で150本ぐらいやってますね。
――体力的にも精神的にもキツいところがありますよね。
佐藤 : めちゃめちゃキツいです。ただ、これは自分たちの意志なんですよ。周りからとやかく言われたくなかったというか。地元から出たときに概念を覆されるのが嫌だったし、むしろ僕たちが壊したいと思ったとき、必要なのは誰にも負けないライブ本数と強靭なメンタルかなと。ライブをめっちゃやれば自ずと強靭なメンタルもついてくるから、4日連続でライブして、1日オフがあって、その後すぐに5日連続でライブがあったりとか。
伊藤 : あったね〜!
佐藤 : 誰もお金を持ってないんで、公園に寄ったり、物販の売上をかき集めて銭湯へ行ったり(笑)。
――ひと昔前のバンドから聞くようなエピソードですね(笑)。
伊藤 : 年間100本やれたらすげえなと思ってたんですけど、数えてみたら9月頃ですでに100を超えていて。メンタルはズタズタになってましたけど(笑)。
――ツアーバンドあるあるで、移動し過ぎてどこにいるかわからなくなるとか。
安藤 : あ〜、全然ありました。
佐藤 : みんな携帯も止まってるんで、ライブハウスに連絡もできないから、絶対に定刻の1時間前には到着してましたね(笑)。
――koboreは結成のいきさつが緩やかだったじゃないですか。どうして、そんなに突っ込んでいけたんでしょうか?
佐藤 : 地元のライブハウスの存在が大きいですね。ノリで組んだバンドに対しても、バンドはバンドという考え方があって。言われる言葉のひとつひとつが凄く悔しかったんです。僕ら、めちゃくちゃ負けず嫌いだし、「だったら、マジでやってやろう。どのバンドも越えるぐらい最強になってやるよ!」っていう気持ちにもなったから。まあ、最初はメンバーを引きずりまわした感じもありますけど。
――お二人は何か疑問を感じることもなく?
安藤 : そう感じることもできないスピードで進んでいったんですよ(笑)。地元のハコの特性かもしれないですけど、始め方は教えてくれるのに終わり方は教えてくれないんです。
伊藤 : ホントにそう!
佐藤 : ピストルは鳴らしてくれるけど、ゴールテープは張ってくれない(笑)。
――ハハハハ(笑)。そういったアクティブな活動は曲にもフィードバックされましたか?
佐藤 : そうなりましたね。あれだけライブをやってると、ツアー中も制作期間になるし、観てる景色やそこで経験したことを歌詞にしていくしかなかったし。だから、暗かったkoboreがだんだん明るくもなっていって。暗いとやっていけないんで、やっぱり。
――自分たちを奮い立たせるようなことを綴ったり。
佐藤 : しかも、そういう歌詞しか書けなくなりました。
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