『DICE』(’94)
(hide『DICE』MV)
hide3枚目のシングル『DICE』。過激でダーク。hideのディスコグラフィーを全体として見直すと、『DICE』にはXの色、あるいはヴィジュアル系の色が強めに出ているかもしれない。初期hideを代表する曲。複数の声を使いわけるhideだが、この曲では低音とデスボイス気味のシャウトが印象的。
「要塞ドラム」の異名をとるテリー・ボジオ、「スーパーベーシスト」T.M.スティーブンスという世界的名プレイヤーがレコーディングに参加していることもあり、通な音楽ファンからも評価が高い。
『ミュージックステーション』でのド派手なパフォーマンスも話題になった(檻のなかでの演奏、ガスマスクをつけたバンドメンバー、徐々に裸になりhideを襲う暗黒舞踊の踊り子たち)。
※MVはグロ注意。苦手な人は最後まで見ない方がいいです。
『DOUBT』(’93)
1993年リリースの1stシングル『EYES LOVE YOU』と同時リリースされた2ndシングル『50% & 50%』のカップリング曲『DOUBT』。ゴリゴリのインダストリアルサウンド、強いエフェクトのかかったボーカルなど、当時の日本の音楽シーンではかなり異色の作品。hideは『50% & 50%』制作の際、この曲を1日半で仕上げたという。
hide本人もかなり気に入っていたようで、この曲を「アンセム」だと発言したり、折に触れてリミックスしてアルバムに再収録したりしていた。本記事では、シングル『ROCKET DIVE』のカップリングに収録されていた「MIXED LEMONED JELLY MIX」バージョンをチョイス。公式MVは公開されていないが、死の直前に撮影されたスタジオライブでのゆるっとしたスーツ&メガネ姿の映像&写真は、以降繰り返し使われることになる。
なお、映画『HURRY GO ROUND』初日舞台挨拶にゲスト出演した生駒里奈(元乃木坂46)が『DOUBT』について「大のお気に入り」だと発言したことも話題になった。
『Beauty & Stupid』(’96)
(hide『Beauty & Stupid』MV)
6枚目のシングル『Beauty & Stupid』。中期hideを代表する曲で、彼の作品中もっともエロい曲。この曲で69の意味を知った当時の青少年も多いのでは?
あなた好みの Sixty-nine
いやよやめては OKサイン
(hide『Beauty & Stupid』より)
疾走感、グルーヴ、ユーモア、つい歌いたくなるコーラスなど、今聴いてもまったく古さがない。この曲を聴くとつい「アイアイアイアイ」とか「アハハ〜ン」って言いたくなる。フレーズによって微妙に声色を変えているところもポイント。
清春や東京スカパラダイスオーケストラなどもカバーした人気曲。ライブでは観客をステージにあげるパフォーマンスがおなじみ。なんと、当時少年だったFLOWのTAKEとKOHSHIもステージにあがったとか。
どーも 知ってる方も多いと思いますが…
hideが1996年に行った2ndソロツアー「hide solo tour 1996 -PSYENCE A GO GO-」
「Beauty&Stupid」でお客さんをステージに上げて踊らせるという演出に奇跡的に選ばれた我々兄弟は
この経験からさらに音楽、バンド、ROCK人生に加速していったのでありました pic.twitter.com/XKKLmJSWQi— TAKE_FLOW (@TAKE_FLOW) 2018年6月5日
『TELL ME』(’94)
(hide with Spread Beaver『TELL ME』MV)
1994年リリース、4枚目のシングル『TELL ME』。ポップで美しいメロディと儚い歌詞が特徴。hideのポップスセンスを存分に感じられる曲。ソロ初期から代表曲として多くのファンに親しまれており、ライブでは後半に演奏されることが多かった。
「次に出すシングルのカップリングとして、Spread Beaver全員で一発録りしたい」というhideの意志を受け、逝去後の2000年にSpread Beaverのメンバーで再レコーディング。ソロとして12枚目(hide with Spread Beaverとして5枚目)のシングルとしてリリースされた。
MVは2パターン公開されているが、全体的な音の厚みと終盤のドラマチックなギターの展開に1票入れて、Spread Beaverバージョンをチョイス。
ちなみに、1994年にシングルとしてリリースされた際は、カップリングにRYUICHI(LUNA SEA)とデュエットした『SCANNER』が収録されていた。
『HURRY GO ROUND』(‘98)
(hide with Spread Beaver『HURRY GO ROUND』MV)
事実上、最期の楽曲『HURRY GO ROUND』。死の数日前にもこの曲のデモをレコーディングしていた。
hideの死後、I.N.A.をはじめとした関係者の手により完成。『TELL ME』をカップリングに置いた「次に出す新曲」とはこの曲のことだった。
バラード調だが、高速ギターソロを挟んで4拍子から3拍子に変わり、ヒップホップやレゲエのリズムがさり気なくまざる名曲。
歌詞の一部に死を思わせる箇所があるため、「自殺」説の根拠のひとつになっている。神奈川県三浦市にあるhideの墓跡にもこの曲の歌詞が刻まれている。
少々ネタバレになるが、映画『HURRY GO ROUND』は、この曲の歌詞の秘密に迫った作品だとも言える。映画を観ると、楽曲に対する印象が真逆になるだろう。
(映画『HURRY GO ROUND』予告編)
あれっ、もう10曲終わってしまった。
え……、『In Motion』は? 『Junk Story』は? 『子 ギャル』を入れないで2018年にhideを語るってどうなの?
その前にソロデビュー作の『EYES LOVE YOU』とか『50% & 50%』を無視するのはナシでしょ。いやそれ言ったら『限界破裂』とか『DAMAGE』とか『Hi-Ho』とかもあるっしょ? いやいや、hideと言ったら酒、酒と言ったら『D.O.D(DRINK OR DIE)』じゃないの? いーやこのタイミングなら『BACTERIA』入れるべきでしょ。JとINORANと組んだユニットm×a×s×sについては触れなくていいの? 入門なら『GOOD BYE』がなきゃ、っていうかX時代の曲がなくない? 『CELEBRATION』とか『MISCAST』とかソロライブでもやってたし『DRAIN』(『WHAT’S UP MR. JONES?』)はzilchでもやってるし、つーかzilch紹介すんなら『SPACE MONKEY PUNKS FROM JAPAN』だろ!!
……とか思いながら書きました。今聴いても新しい名曲ばっかですね。
SHARE
Written by