今こそ聴きたいhideまとめ 知っておくべき代表曲10選
X JAPANのギタリストとして、またソロとしても活躍したhideは、今なお世界中で愛され尊敬されている。1998年5月2日に逝去して以来、数々の未発表音源やトリビュート作品がリリースされ、ミュージアムが設立されたり大型イベントが開催されたりするなど、その魅力はまったく衰えない。
そうしたなか、hideが逝去して20年目の2018年、『hide 20th Memorial Project』が始動することに。
4月28日と29日には東京・お台場にてメモリアルイベント「hide 20th memorial SUPER LIVE『SPIRITS』」が開催され、hide with Spread Beaverのメンバーが久々に集結したほか、布袋寅泰や氣志團らが参加した。また、hideの共同プロデューサーであるI.N.A.(Spread Beaver)による回想録『君のいない世界〜hideと過ごした2486日間の軌跡〜』の出版や、hideが亡くなる直前3ヶ月の軌跡に迫るドキュメンタリー映画『HURRY GO ROUND』の公開、さらにはトリビュートアルバム『hide TRIBUTE IMPULSE』が発売されるなど、hideの業績を振り返る動きが活発化している。
そんな2018年だからこそ、hideをよく知らないという人に向けて、今だからこそ聴きたいhideの代表曲を紹介します。
『ELECTRIC CUCUMBER』(’98)
(zilch『ELECTRIC CUCUMBER』MV)
こういう時、ふつうならもっともポップで入りやすい代表曲『ROCKET DIVE』から紹介するのがセオリーだが、あえてzilchの『ELECTRIC CUCUMBER』からおすすめしたい。
zilch(ジルチ)は、hide、レイ・マクヴェイ(元プロフェッショナルズ、セックス・ピストルズのサポートなど)、ポール・レイヴン(元キリング・ジョークなど)の3人を中心としてニューヨークで結成されたユニット。パンクやメタル、グランジ、インダストリアルなど、様々なジャンルを取り入れたかなり前衛的なユニットだった。
ジャンル横断的であり、洋楽と邦楽の垣根や国籍を越えている点がユニーク。1995年に結成し、1996年にレコーディングが行われていたというから、かなり時代を先取りしていたと言える。zilchの楽曲を聴いたマリリン・マンソンから共演を求められ、「前座でもいいから一緒にやらせてくれ」と言われたという逸話も残っている。
zilchによる初のアルバム『3・2・1』はリリースが大幅に遅れ、hideの死後リリースされた。
『ROCKET DIVE』(’98)
(hide with Spread Beaver『ROCKET DIVE』MV)
hideと言ったらまずはこれ的な、問答無用のスーパー代表曲『ROCKET DIVE』。このMVはどこかで見たことある人も多いのでは? X JAPAN解散後、それまでソロツアーやレコーディングなどで一緒だったメンバーたちをSpread Beaverと名付け、hide with Spread Beaverとして最初にリリースした作品。
非常にポップで明るく、X JAPAN解散のショックで落ち込むファンへ向けた前向きなメッセージが込められている。「待ってるだけの昨日にアディオース」「何にもないって事、そりゃあ何でもアリって事」などパンチライン多し。良い意味で、ヴィジュアル系元祖の人間がつくった曲だとは思えないほどポップ。
こんなにポジティブな曲なのに、不幸にも生前最後のリリース作品になってしまった。
『PINK SPIDER』(‘98)
(hide with Spread Beaver『PINK SPIDER』MV)
デジタルとアナログを組み合わせたロックは、2018年の現在ならばそれほど珍しいわけではない。しかしそれを20年以上前に実践していたアーティストがいるとしたら?
当時、hideは「サイボーグロック」という言葉を使って自身の新しい音楽性を説明していた。その最高傑作がこの『PINK SPIDER』(シングルリリース時の表記はカタカナで『ピンク スパイダー』)。
超シンプルかつハードで歪んだリフ、複雑なメロ、キャッチーなサビ、その後の美しいメロディ、中盤の女性の長いセリフ(hideの声を加工してある)、MVの完成度、ファッション、歌詞の物語性や文学的比喩……などなど、聴きどころ、見どころが多すぎる。『ROCKET DIVE』の内容と対をなし、失敗と挫折、そこからの再生が歌われている。
これほど特異な曲がJ-POPのランキングに並ぶことはあまりなかったが、死後10日後にリリースされたこともあってか、オリコン1位のミリオンセラー作品。
なお、シングル版の3曲目には隠しトラックが収録されており、5分27秒間無音が続いた後、とつぜん『ever free』のサビが流れる。これは『ever free』の発売日が5月27日であることにちなんだもの。
『ever free』(’98)
(hide with Spread Beaver『ever free』MV)
前作『ピンク スパイダー』の約2週間後にリリースされた作品『ever free』。
イントロからのカッティングギターが特徴的で、『ROCKET DIVE』とはひと味違うポップさがある。楽曲全体を通したハッピーなムードと、どことなく寂しさを感じさせる歌詞との対比も良い。タイトルはhideによる造語で「普遍的な自由」を意味する。「デタラメと呼ばれた君の自由の翼はまだ閉じたままで眠ってる」など、この曲もパンチラインが多い。
hideは『ROCKET DIVE』から『ever free』までの一連の流れを3部作として考えていたという。間奏部分にさり気なく「Life is still going on」というセリフが挟まれており、これが3部作のラストだと考えると、実に味わい深い。
なお、シングル版の3曲目には隠しトラックが収録されており、5分13秒の無音が続いた後、とつぜん『ピンク スパイダー』のサビが流れる、これは『ピンク スパイダー』の発売日が5月13日であることにちなんだもの。hideはこうした遊びが大好きだった。
『MISERY』(’96)
(hide『MISERY』MV)
1996年リリース、5枚目のソロシングル『MISERY』。難病を患ったファンに対してつくられた曲だと言われており、そのファンとのエピソードはテレビ番組などで何度も特集された。
「Stay Free Your Misery」というフレーズが象徴するように、悲しみや災いを受け入れようといったメッセージが読み取れる。苦しみがテーマなのに、明るくポップで疾走感と抜け感があり美しい。ザクザクと切れ味のあるギターや打ち込みでつくられたドラムなど、『PINK SPIDER』で結実する「サイボーグロック」の要素を見出すこともできるが、それよりも圧倒的な優しさが際立っているため、とにかく泣ける名曲として知られている。
この曲をフェイバリットソングにするhideファンも多い。めっちゃわかる。
『FLAME』という姉妹曲のバラードもあり、そっちもおすすめ。
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