「ここはどこ?」会場全体が不思議な魔法にかかった2時間のステージ
19時半を回り、会場に入ってくる蓮沼フィル一同。皆さんオーケストラといえどもラフな格好。やはり大きなストールを首に巻いた蓮沼執太の姿が印象に残ります。
まずは本公演来場者限定でお持ち帰りの出来た楽曲、『Meeting Place』からスタート。
蓮沼執太フィルの新曲「Meeting Place」も完成しました。アルバム制作と同じスタジオに入って録音してきました。手を抜いてません!2/25,26来場者全員にプレゼントします。会報誌には小崎哲哉さん @ozakitetsuya の寄稿文も掲載されてます。お楽しみに! pic.twitter.com/Vw1XIEIz2n
— 蓮沼執太 Shuta Hasunuma (@Shuta_Hasunuma) February 23, 2017
(おみやげ用のレコーディングは本公演の2日前だったそうです)
そこから『Earphone & Headphone in my head-PLAY0』、『Door of the Cosmos + Shangfai』、環ROYの楽曲『YES』を挟み、『NEW』、『5windows』を披露。どの楽曲においても特にマリンバとスチールパンといった打楽器の音が非常に心に残りました。
(環ROY 『YES』ミュージックビデオ。作曲は蓮沼執太。)
「あそこの廊下それか踊り場 それか帰り道とかどこか 気付かないままもしかしたら すれ違っていたのかもしれない」というリリックと、舞台を優しく包み込む音色とオレンジ色の照明の光、そして板目の床の多目的ホール。すべてのイメージから、私は夕焼けの中に映える地元の中学校の様子と変わる信号の前で立ち話をしていた、セーラー服を着た私と友達の様子を思い浮かべてしまったりしました……。
また、『5windows』は、特に曲後半でぐっと曲調が変わるタイミングでオーケストラが見せる表情の豊かさといったものを体感しました。それまでアップテンポで優しいメロディだったはずが、ぐっと哀しみを帯びたような様相を見せる……。
(『5windows』 蓮沼執太フィル ツアー2014 『時が奏でる、そして僕らも奏でる2014.4.27 スパイラルホール より。5:10以降から注意して聴いていただきたいです。)
その瞬間がたまらないほどに、私の心を掴んでいきます。
適度なゆるさと緊張感、そして心地よい揺らぎに包まれたの表参道の夜
その後簡単なMCを挟み、『ONEMAN』で前半戦を終了。20分弱の休憩に。
私は休憩中にステージの中央部分からステージ後方の、舞台と同じ位か少し低いか程の台の上に場所を変えました。靴を脱いで台に上がると、ステージをお客さんが取り囲む様子が良く見えました。また、私の目の前にはお酒を飲んで上機嫌に踊ったり、喋ったりするお客さんの姿が。いずれにせよ、久々の蓮沼フィルの公演に歓喜している様子が良く伝わってきました。
休憩後は「今日すごく楽しいですね~」「明日の当日券もまだありますよ~」といったMCからスタート。終始ゆるっとしたMCでした。その後は『Dryer』、『TIME』、『wannapunch!-Discover Tokyo-Sunny Day in Saginomiya』を演奏。後半戦ともあり、会場は先ほどよりもぐんと、でもどこかゆるっとしたまま盛り上がりを見せていきます。音楽に合わせて身体を気持ちよさそうに揺らす方々の多いこと……。
21時を回ったころ「メンバーの身体的疲労のバイアスが凄いんですけど……(笑)」と漏らす蓮沼執太。会場がどっと笑ったところで、次の曲は『Zero Concerto』。ゆるっとしたMCから一転、蓮沼執太がぴっと手を挙げ指揮を執りだすと、周りの空気はピリッと緊張しだします。
(“ZERO CONCERTO” 蓮沼執太フィル ツアー2014 「時が奏でる、そして僕らも奏でる」東京公演 at スパイラルホール2014.04.27 こちらも過去公演の様子ですが、雰囲気が伝わりますでしょうか。)
特に管楽器の音が記憶に残りました。曲が軌道に乗るまでのぴしっとした緊張感がかっこよく、そこからは自身も演奏に入ります。
曲中盤以降、「街はあかるく そこにはいない すべてが見える エトセトラ飛ぶ 小さく燃える 星が現われ」の歌詞が聴こえると、歌詞そのものの影響もあるのでしょうか……、目の前が一気に開けたような、目の前に光が差してくるような、そんな感覚になりました。また、そこでお客さんの気持ちもぐっとまっすぐ、ステージに向かって1つになったのを感じました。
そして、後半戦でも環ROYの曲から1つ『MeDeTaI』、そして「そろそろU-zhaanも(サイン会の為に)来ていると思うので終わりにしましょう」というMCを挟み、『Hello Everything』で本編は終了。アンコールがかかってすぐにまたステージに戻り、最後は『YY』でステージの幕を閉じました。
(本編ラストの曲、『Hello Everything』MV。新宿の街を舞う風船の様子にノスタルジーを感じる
今回私は「何とかこの状況を伝えねば」とどこか身構えていた部分がありましたが、身構えれば身構えるほど、心身に音楽が何も振動しないなぁと思いました。その時に「楽に聴いてみよう」と心身をほぐしたら徐々に気持ちよく感じ、身体も心も揺れて、気持ちよく音を楽しめたと思います。
とても優しく、そしてどこか深いあたたかさと、懐かしみを覚えた2時間でした。
TEXT_MILK_TAKANASHI
PHOTO_TAKEHIRO_GOTO
2017/2/25 Meeting Place
Shuta Hasunuma Philharmonic Orchestra
01 Meeting Place
02 Earphone&Headphone in my head-PLAY0
03 Door of the Cosmos-Shangfai
04 YES
05 NEW
06 5windows
07 ONEMAN
interval
08 Dryer
09 TIME
10 wannapunch!-Discover Tokyo-Sunny Day in Saginomiya
11 Zero Concerto
12 MeDeTaI
13 Hello Everything
EN YY
蓮沼執太 & U-zhaan 『2 Tone』
¥2,800(税別) commmons
- Tone Tone Tone & Tone Tone Two
- Green Gold Grey feat. Arto Lindsay
- Mixed Bathing World
- A Kind of Love Song feat. Devendra Banhart
- Sporty
- Music for Five Tablas
- Lal feat. Ryuichi Sakamoto
- Suudara-Bushi
- Radio S
- Dryer
- I like Peshkar
- ISO
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