15周年アニバーサリーのトリを飾る”祭り”
気付けば、”We are Fighting Dreamers 高みを目指して”と叫んでいた青年たちは、あっという間に高いところへ飛び立っていた。この代表曲『GO!!!』を、FLOW(フロウ)がリリースしたのはもう15年も前のこと。同曲は『NARUTO -ナルト-』の主題歌に。その後も様々なアニメ作品の楽曲を手掛け、バンドはアニメという文化と密接な関係を築いてく。実際にそれがきっかけで、国内で開催されるライブ以外に海外でも多数ライブ出演をしてきた彼らは、昨年も日本と中南米を回る『FLOW 15th Anniversary TOUR 2018「アニメ縛り」』を終えたばかり。そんな記念すべきアニバーサリーを締めるべく開催したのが、この日の『15th Anniversary Final「FLOW LIVE BEST 2019 in 日本武道館~神祭り~」』だ。武道館で初めてライブをしたあの日から10年。ひたむきに”高みを目指して”きた彼らには、どんな景色が見えたのだろう。この特別な日をレポートする。
Photography_Eri Shibata
Text_Sota Nagashima
FLOW印のアグレッシブなナンバーで開幕
FLOWのバンドTシャツで赤く染まった武道館。期待と興奮の入り混じった空気は、5人の登場と共に一気に熱気へと変わる。その熱に応えるかのように1発目に繰り出したのは、昨年リリースしたこれぞFLOWといったアグレシッブな曲『Break it down』。歌詞が縦横無尽にスクリーンに映し出される演出も健在。その勢いのままハードなロックナンバー『JOY TO THE WORLD』、『7th Heaven』と畳み掛け、次の『Steppin’ out』では観客も高く飛びその勢いに応える。ゆるくウォーミングアップなんて暇はなく、序盤から客席をヒートアップさせるパフォーマンスは、オーディエンスの沸点を軽く飛び越えていく。
今日、この1月30日のFLOWのライブは、みんなでしか作れない
今回の赤い武道館Tシャツで染まった会場だが、よく見ると10年前の武道館公演のTシャツを着てる人もチラホラ。それを知ってか、KEIGOが「10年振りに来たよっていう人もいるかもしれない」と懐かしみつつ、「でも今日、この1月30日のFLOWのライブは、みんなでしか作れないんだからな!」と”今”のFLOWの充実感を表す一言と共に、次の曲『赤いサイレン』へ。観客の持ったペンライトで会場全体がカラフルに変化する。『Red Hot Riot』では赤色、『ブレイブルー』では青色、『COLORS』では虹色と、それぞれ曲名から連想するカラーリングで会場が彩られる。特に何か指示する訳でもなく、バンドと観客が一緒にライブを作りあげる。ライブというフォーマットの一種の理想形だと思える素敵な瞬間だった。
皆さんを招いてやるから神祭りなんです
「我々が別に神なんじゃないんですよ。皆さんが神なんですよ。皆さんを招いて行うから神祭りなんですからね」。そう今回のタイトルを説明するKEIGOとKOHSHI。そして、「皆さん日々日常と戦ってらっしゃると思うんですよ。今日集まってくれた全ての皆さんに元祖FLOW流応援歌を持って来ました!!!」というTAKEの合図と共に『メロス』のギターリフが鳴り響く。初期の人気曲が合唱されると、お次はKOHSHIが「外は真冬だけど、夏の暑さでいこうぜ」と叫び『常夏エンドレス』へ。そして、切なくも儚いサウンドがFLOWの新境地とも言える『音色』。ツインボーカルによるサビがエモーショナルに響く『Answer』。軽快なロックンロールと観客のハンドクラップがラリーする『Shakys』と続いていく。
FLOWの過去と未来を繋いだ武道館
KEIGOが静かに10年前のことを語り出す。「10年前と今とでは、決定的に違うことがあって。5年目で立たせてもらった武道館は、まだFLOWが、俺たちはどういうバンドなんだろう、とちょっとフワっとした感じがあって。言葉にできずに、でもライブでみんなと繋がりたくてがむしゃらにやっていた。あれから10年、デビューから15年以上の月日が流れて、今はっきり言えるのは、FLOWは”みんなでライブを作り続けているバンドです”」としっかりとした口調で話した。続けて、「学生だろうが、社会人だろうが、男だろうが、女だろうが、日本なのか、海外なのか、アニメかロックか、そんなものは本当にどうでも良くて。来てくれるみんなとその日しか出来ないライブをずっと作り続けていきたい」そう語り、今回の武道館公演のために作ったという『ONENESS』へ。「みんなで歌って1つになって完成する曲」そうKEIGOが話す通り、会場とバンドが一体化し、サビの”Woh oh oh~”の部分を全員でシンガロング。なんとも言えない多幸感で武道館が包み込まれる。
盟友、GRANRODEOの登場
少し感傷的になっていた会場の大型スクリーンに、突如あの2人の映像が流れる。そこに登場したのは盟友であるGRANRODEO。アニメ『七つの大罪』テーマ曲のために結成された7人組スペシャルバンド、FLOW×GRANRODEOによるライブの開幕だ。力強いロックナンバー『Howling』で挨拶をしたのも束の間、次の曲で最後になるのを惜しむKISHOW。それでも最後は7人で『7-seven-』を全力で演奏。今後も切磋琢磨していくであろう2組の相性の良さを再確認できた。
神祭りの大団円
GRANRODEOがステージから去った後も休むことなく、ライブ終盤へ畳み掛ける展開で進んでいく。ラウドなギターリフが印象的な『愛愛愛に撃たれてバイバイバイ』では、GinyuforcE&RAB(リアルアキバボーイズ)によるヲタ芸とブレイクダンスが融合したパフォーマンスで、まさにお祭り騒ぎ。その後『HERO~希望の歌~』、『Sign』、『風ノ唄』など、全てアニメを彩った名曲たちを立て続けに披露。アニメの名曲と言ったら忘れてはいけないのは、本冒頭でも触れた『GO!!!』だ。武道館の花道を駆け回りながら観客を煽るKEIGOとKOHSHI。走りながら歌っても全くクオリティの落ちない彼らのパフォーマンス力には頭が下がる。観客のボルテージが最高潮に達し、地響きで武道館が揺れるのが伝わってくる。「今、目の前にいる全員が、オレたちがバンドやってる理由だ!」というファンにとっては泣けるKEIGOの台詞と共に本編のラストソング『Garden』が始まる。優しいメロディラインと共に15年分の感謝をファンへ告げた。
とっておきのニュースと共にアンコールへ
アンコールが合唱されTシャツ姿に着替えたメンバーがすぐさま戻ってくる。そして、ニュースがあるとKEIGOが発表したのは、3年ぶり11枚目となるオリジナルアルバム『TRIBALYTHM』を4月10日(水)にリリース。それに伴い、アルバムを引っさげた全国6公演ツアー『FLOW LIVE TOUR 2019「TRIBALYTHM」』の開催も決定。アンコールでは、その最新アルバムの中から『PENDULUM』、デビュー曲である『ブラスター』を順に歌い、過去と未来の地続きにいる現在進行形のFLOWを見せてくれた。最後はしっかりと全員でステージの端から端まで歩いて観客に挨拶。名残惜しいけれども、これからのバンドの進む未来がまた楽しみになる、そんな期待感の高まる幕引きであった。
〈セットリスト〉
1. Break it down
2. JOY TO THE WORLD
3. 7th Heaven
4. Steppin’out
5. 赤いサイレン
6. Red Hot Riot
7. ブレイブルー
8. COLORS
9. メロス
10. 常夏エンドレス
11. 音色
12. Answer
13. Shakys
14. ONENESS
15. Howling
16. 7 -seven-
17. 愛愛愛に撃たれてバイバイバイ
18. HERO~希望の歌~
19. Sign
20. 風ノ唄
21. GO!!!
22. ANTHEM
23. Garden
En1. PENDULUM
En2. ブラスター
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