勝ちにこだわるクリープハイプ
少しの間を挟み、小川幸慈(Gt.)、長谷川カオナシ(Ba.)、小泉拓(Dr.)が現れ、やや遅れて尾崎が登場。大歓声の中で尾崎のMCからスタート。
「昔から、勝ち負けには縁がありません。それでも今日は勝ちたいと思います。……なあ、カオナシ?」
するとカオナシからは「勝ちに行くから、ついて来いよ。」と男前な返事が。
これにはオーディエンスも大盛り上がりで、熱狂の中、1曲目の『HE IS MINE』へ。「ストリップ」という言葉を冠したライブでこの曲をやらないはずがない。尾崎が大サビの前に「(Zepp Tokyoに隣接している、お台場・ヴィーナスフォートの)観覧車に乗っているカップルにも聞こえるような大きな声でお願いします。」と言うと、満員の会場に「SEXしよう!」の大合唱が響き渡った。
小泉拓(Dr.)
2曲目は『愛の標識』を披露。これはメジャー1stアルバムの1曲目に置かれた曲。歌い出しの「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」という歌詞はアルバムタイトルにもなっており、クリープハイプの原点と言える。3曲目は『寝癖』。テレビ朝日系の音楽番組『関ジャム完全燃SHOW』(4/16放送)に尾崎がゲスト出演した際、同じくゲスト出演したいしわたり淳治に「完璧」と絶賛された曲だ。この完璧な曲に、オーディエンスも完璧な盛り上がりで応えた。
小川幸慈(Gt.)
その盛り上がりを、尾崎らしい毒舌と愛のこもったMCでさらに加速させる。
「(twitterのエゴサーチで)また同じセトリでとかうるさいから、そんなに言うなら普段やらない曲でどれだけ反応があるのかテストします。みなさん、満点目指して頑張ってください。」
そう言って演奏し始めたのは『ABCDC』。初期の人気曲に、会場から絶叫に近い声援が聞こえる。『蜂蜜と風呂場』『週刊誌』と続けるとオーディエンスの熱はさらに高まり、尾崎によるテストは満点解答の結果になった。
アコギに持ち替えた尾崎は「本当に最高に楽しいです。ありがとうございます。機嫌が良いので、横にいるイケメンとデュエットします」と、『グレーマンのせいにする』を演奏。カオナシの高音はこの日特に冴え渡っており、色気を感じさせた。
長谷川カオナシ(Ba.)
さっきまでの熱狂がぐっと大人っぽい雰囲気に変わり始めたところで、新曲『NO SWALLOWS, NO LIFE.』へ。タワーレコードとプロ野球・東京ヤクルトスワローズによるコラボ企画の一環として5/31に発売されたばかりのこの曲は、新進気鋭のトラックメイカー・STUTSと共作したタワレコ限定シングル。観戦後に「勝ち負けに関係なく聴ける曲を」というコンセプトで作られた。勝っても負けても「やっぱりスワローズだな」という、ヤクルトファンである尾崎の愛を表現している。夜に合うメロウなR&B調の曲は、クリープハイプの新しい側面を垣間見たように思う。野球の試合には勝ち負けがあるが、クリープハイプのライブに負けはない。オーディエンスは「やっぱりクリープハイプだな」と思っただろう。
尾崎世界観(Vo/Gt.)
さて、本当の「ストリップ」はここからだ。
「対バンライブは苦手」と前置きした上で尾崎が口にした次の言葉は、多くのオーディエンスの心を撃ち抜いた。「やってみてまず良かったことは、ユニゾンのお客さんは真面目に聴いてくれる。ありがたくて、心の底から嬉しい。だからその分、自分たちのお客さんを本当に愛しく思った。本当にありがとう。めんどくさいメンヘラばっかだけど(場内爆笑)……、大事な客をとられたくないんですよ! だからそういう曲をやります」
そうしてイントロ部分にいつもより長いタメを作って『百八円の恋』を演奏。「痛い」と「居たい」を掛けたこの天才的な歌詞、解説は省くが、他のどんな言葉よりも尾崎の気持ちを雄弁に物語っている。
百八円の恋 MV
続く『社会の窓と同じ構成』から『社会の窓』への流れでは、会場にこの日いちばんの歓声がこだました。オーディエンスの「最高です!」の大合唱が、1曲目に演奏された『HE IS MINE』の「SEXしよう!」の大合唱と対になっているのは見事な構成だった。
それから菅田将暉主演の映画『帝一の國』主題歌でもある大ヒットシングル『イト』へとつなぎ、このライブをカタルシスへと導いた。最後の曲は『イノチミジカシコイセヨオトメ』。最高にエモーショナルな演奏に、涙をこらえきれないオーディエンスも続出した。
イト MV
アンコールでは、オーディエンスのことを「離したくないと思った」と『手と手』を披露。
こうして最初から最後まで大盛り上がりの中、『ストリップ歌小屋 2017』東京公演は幕を下ろした。
手と手 MV
「ストリップ」とは、服を脱いで裸になることだ。この日の尾崎は驚くほど素直で、オーディエンスの前で裸になっていたように思う。
心の服を脱いで、ファンと裸と裸の付き合いすること――それがこの公演の目的ではないかという気がする。
いま絶好調のクリープハイプ、彼らは売れれば売れるほど、オーディエンスに歩み寄ってくれる。
「ストリップ歌小屋 2017」@ Zepp Tokyo終了しました! UNISON SQUARE GARDENの皆さん、お越しいただきた皆さんありがとうございました! 「ストリップ歌小屋 2017」次は6/14(水)大阪です! pic.twitter.com/LgqOfu6GLo
— クリープハイプ (@creephyp) 2017年6月8日
なお、ツアーはこのあと6/14(水)に大阪・なんばHatch、6/15(木)に名古屋・Zepp Nagoyaへと続く。
ミーティアでは後日、大阪・名古屋、各公演の詳細なレポートを公開する予定なので、お楽しみに。
セットリスト(UNISON SQUARE GARDEN)
1. 箱庭ロック・ショー
2. シャンデリア・ワルツ
3. マジョリティ・リポート(darling, I love you)
4. 流れ星を撃ち落せ
5. 場違いハミングバード
6. オトノバ中間試験
7. 何かが変わりそう
8. シュガーソングとビターステップ
9. ガリレオのショーケース
10. アナザーワールド
セットリスト(クリープハイプ)
1. HE IS MINE
2. 愛の標識
3. 寝癖
4. ABCDC
5. 蜂蜜と風呂場
6. 週刊誌
7. グレーマンのせいにする
8. NO SWALLOWS, NO LIFE.
9. 鬼
10. 百八円の恋
11. 社会の窓と同じ構成
12. 社会の窓
13. イト
14. イノチミジカシコイセヨオトメ
En. 手と手
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