シンガーソングライターのchayが4月24日(水)にシングル『大切な色彩(いろ)』をリリースする。2019年第一段シングルとなる本作は、サビの“「一瞬」止めて。もう一度だけ”という力強い歌声に耳を奪われる、青春のきらめきやかけがえのなさを歌った1曲だ。
昨年末にはCrystal Kayとのコラボによって新機軸を切り開いたchayだが、『大切な色彩』はフレッシュなバンドサウンドで、これぞまさしくchayという楽曲。しかしただの原点回帰ではなく、デビューから7年目の彼女の挑戦や、心境の変化も織り込まれていた。
Photography_Takaki Iwata
Interview & Text_Osamu Onuma
Edit_Alex Shu Nissen
chay 『大切な色彩』MV
青春時代を振り返ると、帰り道が思い浮かぶ
――新曲『大切な色彩』は前作から一転、chayさんらしいピュアな一曲ですね。
chay : 「chayらしい曲だね!」って色んな人から言っていただけます。こういうポップチューンが私のイメージなんだなって思いました。自分としても、改めてそう思います。歌謡曲調のレトロポップだった『あなたに恋をしてみました』や、Crystal Kayさんとコラボしたシックな『あなたの知らない私たち』など、色んなサウンドに挑戦してきましたが、『大切な色彩』の明るいバンドサウンドは初期の頃に多かった曲調でもあるし、“素のchay”らしさが出た一曲ですね。
――作詞やレコーディング中はどんなことを考えていたのでしょう。
chay : ある日「青春まっただ中!」って感じで楽しそうにしている女子高校生たちとすれ違った時に、ふと自分の青春時代を思い出したことが曲作りのきっかけになりました。
歌詞の中に「理由もなく はしゃいだ 帰り道」ってフレーズがあるんですけど、私は青春時代を思い出すときに帰り道が思い浮かぶことがすごく多いんです。なんでかよくわからないけどずっと楽しくて、お腹がよじれるほど笑ったり……。キラキラした日々の象徴みたいな風景なのかな。
でも、当時はそのキラキラした時間がどれだけかけがえないものかを知らずに過ごしていました。大人になった今だからこそ、青春の儚さがすごくよくわかる。今、28歳になった私の目線で、そんな一瞬一瞬の大切さを伝えられたらいいなと思って生まれた曲です。
――MVにも、制服姿の女の子とすれ違うシーンがありますね。
chay : そうですね。私自身、中3から高3までバンドをやっていたので、数人で楽器を背負って楽しそうにしている女子高生を見るといつも思い出すんです。そんなことをMV監督の岡川太郎さんにお話しして、取り入れてもらいました。監督と話しながら作っていったことで、春らしいとても良い作品になったと思います。
今作は「春を詰め込んだ1枚」に
――表題曲に加えて、カップリングの「With」「最後の春休み(松任谷由実のカバー)」も今の季節にぴったりの楽曲です。
chay : 今回のシングルは「春を詰め込んだ1枚」というテーマを掲げて、季節はかなり意識して作っています。2曲めの「With」は坂詰美紗子さんというシンガーソングライターの方に作曲をお願いしました。
坂詰さんはCrystal Kayさんの「恋に落ちたら」や「幸せって。」といった素敵な曲を作っている方です。もともとお名前は知っていたし、いつかご縁があったら良いなとずっと思っていて。今回、春を詰め込んだ1枚にしようと思った時に真っ先に坂詰さんが思い浮かんで、私から提案してお願いしました。
――「大切な色彩」とはまた違った、穏やかな春風みたいな曲ですね。
chay : 坂詰さんらしい可愛い曲だけど、chayとしてはこういうR&Bっぽいメロディはこれまで歌ったことのないものでした。今までにないくらいメロディラインの上下が激しかったり、高音をファルセットでやわらかく表現したり、歌っていて新鮮でしたね。
この曲で目指したのは「大人キュートな世界観」。自分としても視野が広がった一曲になりました。
――3曲目は松任谷由実さんのカバー「最後の春休み」です。ユーミンの春の曲というと「春よ、来い」や「卒業写真」がぱっと思い浮かびますが、この曲を選んだ理由は?
chay : この曲はプロデューサーの武部聡志さんが「chayちゃんに合うと思う」と選んでくださいました。武部さんは松任谷さんのコンサートツアーの音楽監督なども担当されている方で、せっかくの機会だから、一緒にユーミンさんのカバーをしたいと強く思っていたんです。この曲が入っている松任谷さんの『OLIVE』というアルバムがとても好きで何回も聴いていたし、今回のテーマにもぴったり。ぜひやってみたい、と思って決めました。
ユーミンさんの曲は、これまでにも「12月の雨」をカバーしています。好きな曲は挙げたらキリがないほどたくさんあるんですが、やっぱり「自分に似合う曲」ってあるんですよね。「12月の雨」は、歌詞の世界観もメロディも、私の声に合っているなと感じました。
武部さんが選んでくださった「最後の春休み」も、歌ってみて自分に似合う曲だと感じました。武部さんはすごく私を理解して、客観視してくれているので、とても信頼しているんです。
――この曲も優しい歌い方ですよね。「大切な色彩」や、これまでのchayさんのエネルギッシュな歌い方とは対照的です。
chay : 最初は感情移入して気持ちをこめて歌っていたし、その方が良いと思っていたんですけど、武部さんに「あまり感情を表に出さず、さらっと歌ってみて」と言われたんです。試しに歌ってみたら、すごくしっくりきて。ユーミンさんの曲は一つのストーリーを語りかけるように聴かせる曲が多いので、こういう歌い方の方が合っているんだなと勉強になりました。
次はどんな人が、世界に色を付けてくれるんだろう
――「大切な色彩」で周囲から「chayらしい」と言われて自分らしさを再認識したり、MVを監督に委ねてみたり、「最後の春休み」では武部さんからの提案を受け入れたり……なんだか色んな人から影響を受けながら新しい自分を発見していますね。
chay : それはあるかもしれないです。今はデビュー7年目なんですけど、デビューしたばかりの頃は特に自我が強くて、自分なりの美学や考えをとにかく貫こうとしていたんです。もちろん、アーティストにとってはそれも大事だと思うんですけど。そうして自分のこだわりを形にしてもらっていく中で、5周年を迎えたくらいからかな、自分の意見にこだわるだけじゃなくて、客観視してもらうことも大切だって学んだんです。
「自分はこうだ」って思っている以外のことに挑戦すると、新しい発見もあるし、やってみなくちゃわからないこともある。だからここ1年くらいは特に、周りの皆さんの意見をよく聞くようになりました。
――その変化のきっかけは何だったんでしょう?
chay : なんだろう? うーん……この変化って、音楽だけじゃなくてモデルのお仕事でも起こっているんですよね。少し前までは「こういう洋服がchayらしい」というイメージを守っていたけど、最近はボーイッシュからコンサバまで、色んなファッションに挑戦しています。
そうやって挑戦を繰り返して、「すごく良かった!」と言ってもらえた経験を重ねたことが大きかったのかも。今は冒険するのがすごく楽しい。デビューしたばかりの頃はchayの世界観を知ってもらうためにイメージをしっかり固めなきゃ! と思っていたけど、活動期間が長くなってきたことで、新しいことをしてみたいって気持ちにシフトしたのかもしれないです。
――昨年のCrystal Kayさんとのコラボもチャレンジングでした。
chay : これまで誰かと音楽作業を一緒にすることがほとんどなかったので、Crystal Kayさんとご一緒して、自分とは違う考え方ややり方に触れたのは良い経験でしたね。刺激されました。
――ちなみに、前回のインタビューでは「今度二人で飲みに行きたいね」と言っていましたが、もう飲みに行きました?
chay : あの後は年末年始を挟んだこともあって、二人ともバタバタしてしまって……。でも、連絡を取りあったり、インスタで交流は続いていますよ。この前もCrystal Kayさんのお誕生日にメッセージを送ったり。せっかく素敵な縁ができたので、ぜひ飲みに行きたいですね。
――そのお話が聞ける日を楽しみにしています! 色んな人から刺激を受けて変わっていくchayさんの今後が楽しみです。
chay : 人見知りなので、信頼している少しの人と過ごしていきたいタイプだったんですけどね。今は新しい人にたくさん会いたいです。「次はどんな人がchayの世界に色を付けてくれるんだろう」って、ワクワクしていますね。
――では最後に、『大切な色彩』を聞いてくださる人にメッセージをお願いします。
chay : 今が青春まっただ中の人には、この曲を通して一瞬の大切さを感じ取ってくれたら嬉しいです。バンドサウンドなので、バンドをしている人にはコピーもしてみてほしいですね。
そして、大人にも同じくらい聴いてほしい曲です。「あの頃楽しかったな、懐かしいな」って振り返りながら、大切な思い出に色を付けるような一曲になるといいなと思います。
chay 12th Single
2019.04.24
『大切な色彩』
WPCL-13040 ¥1,500円+税
[収録曲]
1.大切な色彩(富士フイルム #教室アルバム キャンペーン タイアップソング)
2.With
3.最後の春休み(松任谷由実カバー)
■chay ‘s room開催決定!
5/15(水)福岡 Gate’s7
5/16(木)大阪 心斎橋JANUS
5/24(金)東京 渋谷 Duo
詳細は chay.jp へ
■映画「ダンスウィズミー」
2019年8月16日公開
http://wwws.warnerbros.co.jp/dancewithme/
SHARE
Written by